韓国・光州(クァンジュ)の民主化運動鎮圧(1980年5月)のために投入された戒厳軍情報兵の娘が「同じ歴史が繰り返されないことを願う」として、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾を訴える集会の参加者にコーヒー1000杯を寄付した。
この女性は「グリダ」の名前で活動するフランス在住のキュレーターで現在39歳。グリダは、ソウルの国会議事堂近くにある「南大門(ナムデムン)コーヒー汝矣島(ヨイド)店」に1000杯分のコーヒー代金を先払いし、SNSを通じてこの行動を公開した。カフェ側も「支援の理由を聞いて深く感銘を受けた」とのコメントを発表した。
グリダの母親は情報兵だった。グリダはSNS上で、母親が入隊した経緯や光州で目撃した悲劇について語っている。
その時、母親は「光州に行き、そこに集まった共産主義者たちを撲滅しろ」という命令を受けた。だが、母親がその場所で見たのは極めて平凡な市民であった。
情報兵だった母親は街には出なかったものの、絶えず聞こえてくる歓声と銃声、引き裂かれるような悲鳴と号泣、罪のない人々の壊れた体と当惑した顔。そのすべてが地獄のようだった――。
当時、母親の心の中には「絶対にあってはならないことが起きている」という感覚が芽生えたという。
グリダは「同じ歴史が繰り返されるべきではない」との思いを込め、「革命の国フランスから1000杯のコーヒーを送る」と語った。彼女は「母が背負った光州への罪滅ぼしを一生かけて果たしていきたい」と結んだ。
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