【KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の非常事態宣言を発端とする「12月3日内乱事態」と、それに続く弾劾政局が長期化する中、政治的な不確実性が消費心理を冷え込ませ、飲食店の年末予約が相次いでキャンセル、延期されている。これにより年末商戦で売り上げ増を期待していた自営業者や流通業界は、不安定な政局が消費の冷え込みに拍車をかけるのではないかと危惧している。
ソウル市光化門周辺で飲食店を経営する自営業者は15日、自身の店の団体予約リストを示しながら、「ここに書かれているのはすべてキャンセルされた団体予約だ。12月3日以降だけで10件ほどキャンセルされた」と語った。これらの予約はすべて20人以上の大規模なものだったという。少人数の予約はまだ残っているものの、年末の書き入れ時に期待していたこの業者にとっては大きな打撃だ。
光化門周辺の自営業者らは、政府ソウル庁舎やソウル警察庁といった官公庁の近くに店舗を構えていることから、今回の政局の影響をもろに受けている。非常事態宣言と弾劾政局が続く中、官公庁の職員らが忘年会などの年末行事を控える傾向にあり、これが売り上げ減少に直結している。
飲食店経営者は「予約がキャンセルされるだけでなく、新規の予約もほとんど入らない。今年ほど商売が厳しい年はなかった」と述べた。昨年と比べて売り上げは約半分にまで減少したという。この業者によれば、2016年のパク・クネ(朴槿恵)大統領(当時)の弾劾時には、光化門広場でのデモによって周辺店舗が集客の恩恵を受けたこともあったが、今回は状況が異なる。デモの主要な舞台が光化門から汝矣島(ヨイド)へと移り、さらに官公庁職員が慎重な年末を送っているため、周辺の商業圏が大打撃を受けている。
また、光化門近くで飲食店を運営し、以前は新型コロナウイルスの流行時にも健闘していた業者も、今回の政局で売り上げが30%近く減少したと述べた。この業者は「官公庁の職員や弁護士が主な客層だが、最近の状況を受けて、例年満員になる年末予約がほとんどない。今年の状況は深刻だ」と嘆いた。
小規模事業者連合会が12日に実施した「非常事態宣言関連の緊急実態調査」では、回答者の88.4%が売り上げの減少を訴え、訪問客の減少を感じたとする回答は89.2%に達している。政治的な混乱が続く中、自営業者たちの苦境は年を越しても続きそうだ。
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