【KOREA WAVE】ソウルに住む20代会社員の女性は、3日の非常戒厳事態以降、SNSで「2025年の国運」や「ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の運命」といったコンテンツをよく見るようになった。非常戒厳の発令後、SNSのアルゴリズムが今回の事態を数年前に予言していた占いや命理学の動画を推薦してきたため、興味を持つようになったという。
「運命や命理学を信じているわけではないが、いくつか当たっている部分があって目が離せなくなる。年が明ければ計画を立てる時期だが、先が不透明すぎてこうした動画に頼ってしまう」
彼女はこう話した。
非常戒厳の余波で韓国内外の状況が不安定になる中、2025年の韓国の未来を占ったり、ユン大統領ら主要政治家の運命を分析するコンテンツが人気を集めている。
専門家は、非常戒厳の発令で日常の安全が脅かされた市民が、心理的安定を求めて選択した手段の一つであるとしつつ、過度な信仰には注意すべきだと警鐘を鳴らしている。
韓国では3日午後10時23分、ユン大統領が非常戒厳を発令し、市民は12・12軍事反乱の再現を懸念して国会に集結した。武装した軍人が国会内部に投入されるなど緊張が高まった。
この事態は国会が戒厳令の解除を決議し、ユン大統領の弾劾訴追案が可決されたことで収束した。ただ、ユン大統領が内乱首謀者として指名され、軍・警察関係者が次々に捜査を受けるなど、余波は続いている。
非常戒厳の発令で外交や経済など多方面で不確実性が高まり、韓国の未来を予測する「占いコンテンツ」が人気を博している。数カ月前に非常戒厳を予言していた「2024年後半の国運」や「ユン大統領の運命」の動画は40~50万回以上再生され、「予言の地を巡礼に来た」といったコメントが多く寄せられている。
また、ユン大統領の観相を分析して性格や今後の対応を予測したり、与党「国民の力」のハン・ドンフン(韓東勲)代表や最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表の運命を分析し、韓国の未来を占う動画も高い人気を誇る。
ソウル市江西区の会社員男性は「非常戒厳以降、国内株式市場の暴落や外国首脳の訪韓スケジュール変更など悪いニュースばかり聞こえてくるため、つい興味が湧いてしまう」と話す。
専門家によると、こうした占いコンテンツの流行は、市民の不安がそれだけ大きいことを物語っている。「戒厳トラウマ」という言葉が出るほど、市民の間で不安感や無力感が高まる中、これらのコンテンツが一種の防衛機制として注目されていると分析される。
檀国大学心理学科のイム・ミョンホ教授は「社会的・経済的な不安定性が増し、国家の未来に対する国民の関心が高まっているために起こる一時的な現象だ。占いを通じて互いに励まし合い、感情を浄化する効果もあるが、非科学的な要素が多いため過信は禁物だ」と警鐘を鳴らしている。
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