【KOREA WAVE】デジタル葬儀屋の数が増えるにつれ、専門性に関する論争も拡大している。韓国国内では国家公認の資格ではないため参入障壁が低く、信頼性に欠ける業者を排除する手段が事実上存在しない。
顧客が削除依頼した映像を悪用するなどの事例が発生する。専門家は厳格な資格審査制度を導入し、職業の信頼度を高める必要があると指摘する。
◇誰でもできる「有望な職業」
デジタル葬儀屋は通信販売業者として申告すれば誰でも登録できる。高価な機器を用意したり、スペースを借りる必要がないため、1人で起業するのに適しており、年齢や性別、経験も問われない。
個人情報流出被害が深刻化する中、デジタル葬儀屋は2016年に韓国雇用情報院が発表した「5年以内に注目される新しい職業」に選ばれた。翌17年には、放送通信委員会と韓国生涯教育振興協会が主催する民間資格が登場し、その重要性が認められた。
必ずしも民間資格が必要なわけではない。資格基本法によると、民間資格は国家職務能力基準に適合する検定基準と検定科目に対する試験に合格した人に一定のレベルと内容の職務を遂行できるように資格を与える制度だ。デジタル葬儀屋関連の国家公認資格はない。
◇「削除依頼」なのに流出
特別な資格がなくてもデジタル葬儀屋になることができるため副作用もある。実際にデジタル葬儀屋がわいせつ物サイトと結託して流通を幇助したり、削除依頼を受けた顧客の個人情報を悪用した事例があった。
2018年には、デジタル葬儀屋A氏(40代)が違法撮影物削除業務を独占させてほしいと、わいせつサイト運営者に600万ウォンを渡したとして有罪判決を受けた。運営者は被害者が削除を要請するとA氏を紹介し、A氏はお金を受け取った後に初めて違法撮影物を削除していたのだ。
この問題に詳しい弁護士が次のように解説する。
「デジタル葬儀屋が顧客の性犯罪物を無断で流布する場合、性暴力処罰法で処罰される可能性がある。未成年者の性的搾取物であれば、青少年性保護法が適用される。削除依頼を受けた映像の流通を幇助した場合、幇助犯として処罰される。顧客の個人情報を流出させると、個人情報保護法違反に該当する。顧客との信頼関係を裏切り、個人情報を悪用、性的搾取映像を流布したり、流布を放置した場合、業務上の背任罪が成立する可能性がある」
◇専門家「国家公認資格が必要」
一部のデジタル葬儀屋が顧客の絶望を利用して金儲けをする事例が発生すると、免許制や登録制などを通じてこれらに対する管理・監督を強化し、専門性を高める必要があるという指摘が出る。
デジタル葬儀社は業務特性上、犯罪の誘惑があるのに、個人の良心に任せなければならない。犯罪に発展すれば、刑事処罰と民事上の損害賠償責任を負担することになる。デジタル葬儀屋の運営条件を強化したり、国家公認資格制度を導入するなど、制度的な補完が必要だ。
先述弁護士は「公認資格を運営する場合、性犯罪歴などがあれば資格取得を制限する。取得後に違法行為を犯せば資格を取り消したり、停止させたりすればいい。定期的に倫理教育を受けるようにし、運営過程で犯罪が発生しないように規制することもできる。しかし、あまりにも厳しい条件は職業選択の自由を侵害する可能性があるので注意しなければならない」と指摘する。
ただ、専門家らは公認資格制度だけでは問題を改善するのは難しいと口をそろえる。違法行為に対する法的処罰の強化も必要だ。捜査機関の積極的かつ迅速な対応のためのインフラ確保、関連法令の整備など総合的な対策が必要だ。
順天郷大学情報保護学科のヨム・フンヨル教授も「デジタル葬儀屋の民間資格があるということは、公式に必要性を認めることだ。公認資格ができれば、今よりもデジタル葬儀屋に対する認識を高め、重要性を強化するきっかけになるだろう」とみる。
ただ、資格審査制度を導入しても、いま発生している問題を解決できるかどうかはわからない。公認資格を持つデジタル葬儀屋の違法行為が発生した場合、簡単に追跡することができるだろうか。法執行機関の役割を強化し、技術的な制度を設けることについての議論も必要だ。
(おわり)
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