◇「有名人ならもっと高くできる」
米国のオンライン葬儀会社「ライフ・エンシュアード・ドットコム」(Lifeensured.com)は、デジタル葬儀屋の始祖と評価されている。
2005年に設立されたこの会社は、入会費300ドルを払った会員が遺言を残すと、それに応じてインターネットアカウントを退会し、投稿を削除した。また、故人の死亡のニュースをメールなどで伝えたり、自動応答サービスを通じてオンライン上の知人に知らせたりした。
ライフ・エンシュアード・ドットコムを筆頭に、日本や米国などでオンライン葬儀屋がいくつも誕生した。レガシーロッカー、デッドスウッチなどはオンライン記録物の事後処理サービスを提供し、日本の「Seppukoo」はSNSメッセージを削除する役割を果たしている。ただし、これらオンライン葬儀屋のホームページは現在、ほぼ閉鎖されている。
韓国国内でのデジタル葬儀屋の役割は、こうした会社とは全く異なる。故人のためのサービスより、生きている人の記録を削除することに焦点を当てている。
あるデジタル葬儀屋の代表は「故人より生きている人に関する依頼が実質的に多い。故人関連の依頼は月に1~2件程度しかない」と話した。
実際にポータルサイトで「デジタル葬儀屋」を検索すると、数多くの業者が表示される。ホームページを見ると、顧客の要請に応じてインターネットの投稿、写真や動画、SNSアカウントなどを削除し、メディアで報道された内容も消す仕事をしている。芸能人など個人や企業に対する評判管理も主な業務の一つだ。
また、ディープフェイク、リベンジポルノなど、デジタル性犯罪関連の投稿削除チームを別に作った会社もあった。社員の経歴欄にハッカー集団のメンバーであることを強調しているところもあった。
◇価格は千差万別
あるマッチングサービスプラットフォームには、デジタル葬儀屋サービスの平均費用が1件当たり5万ウォンで、最大15万ウォンまで価格が設定されていると書かれている。
しかし、実際のサービス価格は業者によって千差万別だ。問い合わせの結果、サイトの位置や拡散範囲などによっても価格が異なっていた。サービス提供期間を月単位で増やして包括的な費用を取るところもあった。
ある業者は次のように解説する。
「1件当たりの費用は、サイトの位置や違法性によって差が出るだろう。削除が比較的容易だった過去には1件当たり10~20万ウォンの場合が多かったが、最近では簡単に処理できないサイトが多く、料金は言い値になる。依頼1件当たり3000万ウォンを受け取る業者があるとも聞いている。依頼者が公人の場合、一般の個人より流布される量が多いため、費用が同じではない」
「一般的に1カ月の管理費用は150~200万ウォンだ。主に違法アダルト物など、長期間管理が必要な案件は、1件当たりの価格を設定するのが複雑で、被害者も月単位の管理を好むため、長い期間を決めて作業する場合もある」
1件当たり10万ウォンを受け取っているという別の社は「海外SNS、国内SNS、ユーチューブ、メディア、ブログなど投稿の種類によって金額が異なる。海外サイトは国内より高い」と指摘する。他の社も所要時間と削除の難易度を見て価格を決定していた。
デジタル葬儀屋の関係者は「一般商品のように費用を一概に言うのは難しい。理由は、仕事を処理する上で決まった形で遂行するのではなく、状況によって業務量が変わるからだ。依頼者の名誉価値も費用設定に反映される」と話した。
(つづく)
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