山口県下関市豊浦町では小正月の時期に祝い事などがあった家庭に藁でできた「盗餅馬」を届ける伝統が残っています。盗餅馬を届けに来た人たちに水をかける習わしがあるこの行事、届ける方も、届けられる方も楽しみながら伝統を守り続けています。
下関市豊浦町川棚で行われた伝統行事の「盗餅」(とへ)。
藁で作った「盗餅馬」に祝儀を添えて事業所や結婚、家を新築するなど祝い事があった家庭を回ります。
縁起物の盗餅馬をもらうとお礼にお金や酒などを盆にのせて返しますが、届けに来た人たちには特別なもてなしが…
なんと水をかけるんです。
盗餅」を守り、続けてきたのは、地元の青年部の人達です。
届ける盗餅馬も藁を編んで自分たちで作ります。
担い手不足によりこの地区の盗餅は昭和30年代に、一旦、途絶えましたが1979年に当時の消防団の人達が復活させました。
今年、盗餅馬を届けたのは去年の倍のおよそ30軒。
家を新築したり家族が二十歳を迎えた家庭が多く、盗餅を復活させて以降最も多い軒数だという事です。
ある工房には、道沿いに長い塀があり、毎年、子ども達が、塀から派手に水をかけてきます。
水をかける習わしは、家の幸せを持ち帰るな流して行けという意味があると言われています。
また、ある歯科医院では、水をたっぷり入れた、風船を用意して待ち構えていました。
「盗餅馬」を届ける方も、届けられる方も楽しみながらこの伝統行事を守り続けています。