過疎高齢化が進む中高度な医療を担う専門医のいない地域、いわゆる「医療過疎地」
この地域に住む高齢者の健康への不安や通院の負担を和らげようという取り組みがこのほど、宇部市で始まりました。
(女性)
「左側の頭がチクチクっとなる」
(医師)
「私もそういう頭痛があることもある」
健康についての悩みを遠く離れた医師に伝えます。
宇部市小野地区のコミュニティセンターでインターネットを使った健康相談の試験運用が今週から始まりました。
この取り組みは山口大学とアプリの開発などを行なうクオリアシステムズが共同で行っているもので小野地区に住む人が無料で医師の健康相談を受けることが出来ます。
タブレット端末のボタンを1度押すと山口大学医学部付属病院の医師との健康相談が始まります。
(女性)
「ひとり暮らしなんですけど起き上がったときに後ろ頭がキリキリっとする2,3日続くと脳外科に行ってみようかなと思うのですけど、次には痛みが出てこない。」
(医者)
「(脳神経外科)では腫瘍があって頭痛があるではないかと精査して、そうでなければ偏頭痛や肩こりから来る痛みになります。お話を聞く限り頭の中に何か出来ているとかそういうものではないと思います。そういう時はずっと痛かったり朝に鈍痛がずっと続くなどが一般的な脳腫瘍の頭痛」
(女性)
「気持ちの上で楽になったというか小野地区に医者がいないのが寂しくてならなかったです」
現在の小野地区の人口はおよそ1000人で高齢化率は6割近く。
過疎高齢化が進むなかまちにあった病院は10年ほど前に廃業し、高度な医療を担う専門医のいない「医療過疎地」となっています
(地元の人)
「(車で)小郡の病院まで行きます行政が違うから不便なこともあります。」「車に乗れなくなったらどうしようか・・・」
オンライン健康相談に携わる脳神経外科の石原秀行教授は自身の分野でも様々な課題が医療過疎地にはあると話します。
(山大医学部付属病院脳神経外科 石原秀行教授)
「高齢化が進んでいる地域では脳外科疾患がすごく多い。(県内では)脳神経外科医がそれほど多くなくて内陸・日本海側の病院は殆ど脳外科医がいない状況」
医療過疎地での不安や負担を和らげようと始まった今回の取り組み。
毎週火曜の11時半から小野ふれあいセンターで当面の間行なわれます。
また、今月中にはタブレットを希望者に貸し出し自宅で脳疾患に関する医療相談を受けられる試験運用も行なっていくということです。
(石原秀行教授)
「このシステムがあればよりひろく患者さんに利用していただけて必要になるのではないかと。やっぱり病気にならないのが1番なので病気の予防などにも拡がっていくのでは」
将来的にはシステムを商品化し各地の病院への導入を目指して研究を進めていくとしています。
この記事の動画はこちらから再生できます