薪の炎で焼き上げる――陶芸の原点を求める岩国市の窯元では、東京から弟子入りした男性がその手法を受け継ごうとしています。
師匠と弟子、2人の作品展示会が、4日から岩国市の周東パストラルホールで始まります。
花を活ける器、「花入れ」です。
薪の炎や降りかかる灰に彩られ、唯一無二の表情を持ちます。
この作品を手掛けたのは田村悟朗さん、83歳です。
萩焼の窯元で修業したのち、1987年に地元の岩国市周東町に「通化寺窯」を開きました。
コストがかからない電気窯やガス窯が主流となる中でも、薪の炎で焼くことにこだわり続けました。
この手法に惹かれ、2021年にはひとりの若者が東京から弟子入りしました。
フランス人を父に持つ、ドゥマンジュ・ニコラ・湧太さんです。
1週間炎を絶やさずに、窯と対話をしながら焼き上げていく――。
昔ながらの器づくりを、師匠から学んでいきます。
4日から開かれる展示会では、ニコラさんが弟子入りからの4年間で作ってきた器が並びます。
全てが、薪窯で焼かれたもの。
師匠・田村さんの作品同様に、土と炎が織りなす荒々しさや、奥ゆかしさが宿っています。
(ドゥマンジュ・ニコラ・湧太さん)「灰が被った場所や、炎が通って緋色がきれいに出たのを見に来てもらえたら。今回初めて(田村)先生の作品と一緒に展示するので、先生から受け継いだものを作品を通して感じ取ってもらいたい。」
焼き物の原点を追い求めた師匠とそれを受け継ごうとする弟子。
さらに、窯を共同利用する別の陶芸家2人による個性的な焼き物も並びます。
作品展は周東パストラルホールで4日から26日まで開かれるほか、ニコラさんの作品はホール近くの通化寺窯でも販売されています。
(展示会は月休、窯は火水休)
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