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640馬力に進化したベビーランボ「ウラカンEVO」はサーキットでも運転しやすいスーパーカーだった

くるまのニュース 2019年7月13日 16時10分

富士スピードウェイで、ランボルギーニ「ウラカンEVO(エボ)」に試乗しました。640馬力のエンジンを搭載した最新スーパーカーは、どんなパフォーマンスを発揮したのでしょうか。

■640馬力までパワーアップされた「ウラカンEVO」

 2019年3月に日本上陸を果たした最新スーパーカーが、ランボルギーニ「ウラカンEVO(エボ)」です。

富士スピードウェイの本コースでウラカンEVOを試乗

ベースモデルの「ウラカン」は、世界中で大ヒットした「ガヤルド」の後継車として2014年に登場。日本でも同年夏に発表されました。

 6.5リッターV型12気筒エンジンを搭載する兄貴分「アヴェンタドール」に対し、ウラカンは5.2リッターV型10気筒エンジンをミッドシップに搭載しています。

 外観は2台とも似ていますが、アヴェンタドールが同ブランドの名車「カウンタック」のような跳ね上げ式ドアなのに対し、ウラカンは普通のスイングドアを採用しているのが大きな違いです。

 今回試乗したウラカンEVOは、その名のとおりウラカンの進化モデルです。自然吸気の5.2リッターV型10気筒エンジンは640馬力/600Nmまでパワーアップ。4輪駆動でその力を余すことなく路面に伝えます。

■富士スピードウェイの本コース走行でわかった扱いやすさ

 2019年7月9日、富士スピードウェイで「ESPERIENZA DINAMICA CORSA(エスペランサ・ダイナミカ・コルサ)」が開催されました。これはサーキットというクローズドのコースで、一般道では体験できないランボルギーニモデル(今回はウラカンEVO)の実力を余すことなく試すことができる、オーナー参加のイベントです。そのイベントに行ってきました。

 ピットレーンに並んだウラカンEVO。まずは1165mmと低い車高に戸惑いながら乗り込みます。センターコンソールにある赤いカバーを上げてスタートボタンを押しエンジン始動。その後、コラム直付けのパドルシフトの右手側を手前に引くと、ニュートラルから1速に入ります。ピットレーンを出て、いざ本コース走行です。

 ウラカンの運転モードは「ストラーダ」「スポーツ」「コルサ」の3つがありますが、スポーツモードを選んで走ります。

 第1コーナーを曲がり左のコカコーラコーナーへ。ハンドリングはクイックで、意のままにクルマが動く感覚に驚かされます。

 よく効くブレーキと粘る足。ハイパフォーマンススポーツタイヤのピレリPゼロコルサとのマッチングの良さもあり、路面に吸い付くような安定感を覚えます。全長は4520mm、全幅が1933mmという大きさですが、もう少し小さいクルマを運転しているような感覚になっていきます。

 右コーナーの100Rを過ぎブレーキングをしてヘアピンに進入。そこから加速しつつ300Rを超えS字のダンロップコーナーへ。走行前は、640馬力もあるスーパーカーなので「じゃじゃ馬」なクルマを想像していましたが、とても扱いやすくジェントルで好印象です。

 もちろんパドルシフトを駆使して手動で変速をおこなうこともできるのですが、オートでも違和感がありません。ダウンシフトの際に背後から吠えてくる、V10自然吸気エンジンの乾いた音がわくわくさせてくれます。

 ブレーキングをおこなうと自動的にブリッピングをしてシフトダウン、ウラカンEVOは7速DCTを採用していますが、走行中、オートでも自分の感覚と異なるギア選択は一度もありませんでした。

 先が見えない終盤のコーナーをクリアし、奥にいくにつれてきつくなる最終コーナーのパナソニックコーナーを抜けメインストレートへ。ここでインストラクターからの無線で「240km/hまで加速してください」との指示が入りました。

 アクセルペダルを床まで踏み込むと、レスポンスも良く加速していくウラカンEVOですが、シートに背中が食い込むような強烈な加速感があっても、フロントが浮くような不安定な感覚は出てきません。

 ウラカンがEVOになり、進化したもののひとつが空力特性だそうです。エアロダイナミクスを見直すことで、ダウンフォースは第一世代ウラカンのじつに5倍以上。その効果ははっきりと体感できました。

 ウラカンEVOは最高速度が325km/h、0-100km/h加速は2.9秒という怒濤のパフォーマンスを持っていますので、今回のサーキット試乗ですらその実力の片鱗しか見えませんでしたが、高揚感を与えつつも運転しやすく、しかも速いという、究極のスポーツカーの真髄を味わいました。

■ウラカンEVOはドライバーの意のままに動くスーパーカー

 次に、場所を移動し、ウラカンEVOでパイロンスラローム、そして円旋回のカリキュラムをおこないます。

円旋回では前輪が内側を向いた状態で4輪ドリフト

 細かく置かれたパイロンコースでしたが、とにかくクイックに良く曲がるのには感心します。リズミカルに、そして丁寧にステアリングとアクセルを操作すれば、タイヤを鳴らしながら楽にクリアしていきます。

 まるで地面に座っているような低いアイポイントなのでロール感はまったくありませんが、かといってガツッと踏ん張った硬い感じでもありません。
  
 走行モードは「コルサ」を選択すると、よりソリッドなステアリングレスポンスになり、さらにリアの滑りの許容度が大きくなるので、「ストラーダ」や「スポーツ」モードよりもこうした場面には有効です。

 全長4.5m、全幅1.9mもあるクルマの動きとは思えません。まるで「クルマを着た」ような、四隅まで自分の神経がいき渡るような感覚になります。もちろん大きく打てば大きく響きますが、小さく打ってもきちんと小さく応える、そんなスーパーカーなので、とても扱いやすいです。

 次は円旋回です。アクセルペダルを踏み込み、ハンドルを右に切って時計回りに旋回していきます。

 ふつうのクルマであれば、リアタイヤが滑り始めると同時にハンドルを逆に切り、カウンターステアを当ててクルマの体勢を整える必要がありますが、ウラカンEVOは違います。ハンドル操作は右に切ったまま、アンダーステアを出しながら後輪もドリフトしていきます。アクセルペダルを緩めれば旋回円が小さくなり、踏み込めば大きくなります。

 運転している最中は違和感はまったくないのですが、そのドリフトシーンを外から見ていると、4輪が滑りながら円旋回をしているのに、前輪が円の内側を向いているという、じつに不思議な感じに見えます。

 じつは、ウラカンEVOが進化したのはエンジンだけではなく、4輪に作用する「トルクベクタリングシステム」や、ハンドル操作に対し前輪だけでなく後輪も動く「4輪操舵」機能が新たに加わっています。また車両のさまざまな動きを統合制御する「LDVI」を、ランボルギーニのモデルとして初めて搭載しています。このLDVI、リアルタイムで得たさまざまな走行情報を分析して処理、ドライバーの次の動きを予想して、車両のダイナミクス制御をおこなうといいます。 
 
 おそらくこのLDVIの制御により、こうした挙動になったのでしょう。豪快に振り回すのも簡単なのに、繊細さも併せ持つ「ベビーランボ」がウラカンEVO。確かに一般道ではその実力を知ることはできません。クローズドのコースでしか味わえない、底知れないすごみを体感した一日でした。

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 ウラカンEVOは、3223万735円(消費税込。以下同様)。オープンモデルのウラカンEVOスパイダーは3545万3810円となります。

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