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よくぞ大メーカーが作った! 奇抜すぎる珍車5選

くるまのニュース 2019年9月17日 6時10分

クルマのデザインは販売台数を左右する重要な要素です。メーカーは多くの人に受け入れられるデザインを目指しますが、かつてはかなりユニークなクルマがありました。そんなクルマを5車種ピックアップして紹介します。

■なんでGOサインが出た!? というクルマたち

 クルマの販売台数を左右する要素にデザインがあります。各メーカーはなるべく多くの人に受け入れられるデザインを目指すことになりますが、個性的という点も重要です。しかし、万人受けするデザインと個性的なデザインは相反することがあります。

 個性的なデザインは話題になりますが、好き嫌いがわかれることもあるので、メーカーも慎重になりがちですが、かつてはかなり個性的なクルマが販売されていました。

 そこで、メーカーがまじめに作った個性的すぎるクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「セラ」

 1990年に発売されたトヨタ「セラ」は、東京モーターショーに出展されたコンセプトカーを、ほぼそのまま市販化したコンパクトな4シーター3ドアハッチバックです。

 いわゆる「ファンカー(FUN CAR)」として企画・開発されたモデルで、最大の特徴はガルウイングドア(バタフライドアとも呼ばれる)を採用していることです。

 シャシは当時販売していたコンパクトカーの「スターレット」をベースとして、ボディをすべて専用にデザインしています。

 搭載されたエンジンはスターレットよりも1クラス上の1.5リッター直列4気筒で、最高出力は110馬力を発揮。これはスポーティさだけではなく、ベースよりも約100kgの重量増に対応した結果です。

 ガルウイングドアに実用性や必然性はほとんど無いにも関わらず、セラの企画が通ったというのが、いまでは考えられないことです。おそらくバブル景気の真っ最中という背景も関係しているでしょう。

 価格は160万円(消費税含まず、5速MT)からとかなり安価で販売され、1994年に販売終了するまで1万6000台以上生産されました。

 ちなみに、夏場の車内温度の上昇を軽減するため、ルーフ部分にサンシェードの取り付けが可能でした。

●オートザム「AZ-1」

二度と出ることがないであろうガルウイングの軽自動車「AZ-1」

 1991年にホンダ「ビート」とスズキ「カプチーノ」という軽自動車のスポーツカーが相次いで発売されました。
 
 それに追従するため、1992年にマツダからオートザム「AZ-1」が発売されます。当時、AZ-1、ビート、カプチーノの頭文字を取って、「ABCトリオ」とも呼ばれました。
 
 車体は2シーターのクーペで、AZ-1最大の特徴いえばガルウイングドアです。ルーフ部分にヒンジがありドアを真上に跳ね上げるタイプの、まさに「カモメの翼」のような開き方をします。

 エンジンはスズキ製の直列3気筒DOHCターボで64馬力を発揮し、これをリアミッドシップに搭載。

 車体外板の多くをFRPとして軽量化し、車重は720kgに収めています。軽量なリアミッドシップというパッケージにより、操縦性はかなり尖っていて「ジャジャ馬」という表現がぴったりのクルマでした。

 グレード構成は1グレードのみでしたが「マツダスピードバージョン」などの特別仕様車が発売されています。また、スズキにもOEM供給され「キャラ」という車名で販売されました。

 発売したときにはバブル景気も終了し、価格が149万8000円(消費税含まず)と当時の軽自動車としては高額だったため、わずか3年という販売期間で生産を終了。

 現在、唯一無二のガルウイングを採用した軽自動車として、海外でも注目されています。

●日産「エスカルゴ」

奇抜なデザインながら商用車として優秀だった「エスカルゴ」

 1987年に発売された日産「Be-1」は「パイクカー」と呼ばれた最初のモデルですが、その第2弾として1989年に「パオ」が発売され、同時に発売されたのがライトバンの「エスカルゴ」です。

 エスカルゴはカタツムリを意味しますが、正式な車名は「S-Cargo」と表記され「Cargo=貨物」のスペイン語読み「カルゴ」と「S」を掛け合わせてエスカルゴと呼びました。

 文字通り車体はカタツムリのようなイメージのデザインですが、荷室高1230mmのスペースは商用車としても実用的で、ルーフは開放感のあるキャンバストップも選べました。

 また、荷室の外板は広い面積のパネルのため、イラストを入れたり、宣伝スペースになることも想定していたといいます。

 内装ではセンターメーターを採用し、その手前にインパネシフトの先駆けであるATのシフトノブを配置。

 また、シフトノブ、ウインカーレバー、ワイパーレバーはデザインイメージを統一し、ハンドルもフランス車のようなユニークな形状となっているなど、内装も外装も遊び心満載のクルマでした。

■屋根も窓も無いクルマがあった!?

●ルノー「スポールスピダー」

実用性は無視した公道を走るレーシングカー「スポールスピダー」

 1990年代のF1ではルノー製エンジンが勝利を重ねるようになり、このイメージを市販車にも取り込むため、ルノーは「スポールスピダー」を1996年に発売しました。

 スポールスピダーには屋根がなく、簡易的な幌も設定されていません。さらに、フロントウインドウも無い状態で発売されました(後にフロントウインドウが装備された仕様を追加)。

 もともとスポールスピダーは、1車種で競うワンメイクレース用車両でした。その車両に公道で走行するために必要な部品を取り付けただけなので、ヒーターやパワーステアリングなど装備されておらず、普段使いはまったく考えられていませんでした。

 シャシはアルミ製の角パイプが組み合わされたフレームで、外板はFRP製のパネルが装着されるという、まさにレーシングカーの構造です。

 エンジンは150馬力の2リッター直列4気筒を、リアミッドシップへ横置きに搭載。940kgの軽量な車重には十分なパワーでした。

 製造はルノーのレース部門である「ルノースポール」が担当し、日本にも約100台が正規輸入され、いまも中古車として流通しています。

●スマート「クロスブレード」

乗るには勇気がいる!? 注目度満点の「クロスブレード」

 ダイムラーグループと、スイスの時計メーカー「スウォッチ」が共同で設立したMCCから「スマート」は誕生しました。

 スマートは2人乗りのマイクロカーで、強固なモノコックシャシにより当時のメルセデス・ベンツ「Eクラス」と正面衝突しても、キャビンに生存空間が残る安全性を確保していました。

 2001年にスマートをベースに作られたコンセプカーが好評で、市販化されたのが「クロスブレード」です。

 ボディには屋根はおろかフロントウインドウもありません。パネル状のドアも無く代わりにバーが装着されていただけです。

 エンジンは70馬力にパワーアップした600cc直列3気筒ターボを搭載。ほかにも専用デザインのホイールが装着されました。

 日本では2002年に25台が限定販売され完売し、さらに追加で2003年に34台が同じく限定販売されました

 クロスブレードはとにかく目立つので普段使いには覚悟が必要です。また、車内は防水対策されていますが、出先で雨が降ったらどうするという問題があります。そのためか買ってもほとんど乗らずに手放した人が多く、程度のよい車両がいまも中古車で販売されています。

※ ※ ※

 今回、紹介した5車種は、大メーカーが大真面目に販売したクルマです。少量生産のメーカーならば、いくらでもユニークなクルマが作れますが、トヨタやルノーといったメーカーが作ったということに意義があります。

 いまではこんな企画が通るとは思えませんが、昔はメーカーも遊び心や余裕があったということでしょう。

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