Infoseek 楽天

アニメのなかでもクルマはリアル! アニメ映画に登場した印象深い車5選

くるまのニュース 2019年11月7日 6時10分

映画に登場するクルマは、時として重要な役割を担うケースがあります。なかでもアニメ作品では、現実ではありえないアクションが可能ながら、リアルに描写されることも多くなりました。そこで、アニメ映画に登場したクルマのなかで、印象深いモデルを5車種ピックアップして紹介します。

■クルマ好きならつい気になってしまうアニメ映画とは

 映画に登場するクルマは重要な役割を担う小道具として、独特の魅力を際立たせているものが多いです。

 それは実写だけでなくアニメの世界でも同じで、実写では不可能な表現なども含まれていることもあり、映画を鑑賞する際の楽しみになったりもします。

 そこで、アニメ映画に登場したクルマのなかで、印象深いモデルを5車種ピックアップして紹介します。

●フィアット「500」【ルパン三世 カリオストロの城】

 故モンキー・パンチさん原作のアニメ「ルパン三世」の劇場映画シリーズ第2作として1979年に公開された「ルパン三世 カリオストロの城」は、いまなお語り継がれる名作です。

 ルパンと仲間たちがモナコの国営カジノから盗み出したお金が偽札だと気づき、その出どころであるカリオストロ公国に潜入して、カリオストロの亡き大公の娘クラリスを救出し、公国の全容を暴くストーリーです。

 なお、この映画は宮崎駿氏の映画初監督作品としても知られています。

 登場するクルマや銃器は実在のものが多いのがルパン三世シリーズの特徴ですが、本作品でもTVシリーズで登場していたフィアット「500(チンクエチェント)」がルパンたちの愛車として、多くのシーンに登場します。

 初代フィアット500は1936年にデビューした超小型車で、2人乗りの小柄なボディに搭載された小さなエンジンで機敏に走り回る様子から「トッポリーノ(ハツカネズミ)」の愛称でイタリア国民たちに呼ばれ親しまれました。

 ルパンの愛車は1957年に登場した「NUOVA 500」と呼ばれる、スペース効率を重視したリアエンジン・リアドライブで4人乗りとなった2代目です。

 劇中の設定では、ルパンがレバーを引くとパワーアップするギミックが仕込まれていました。

 愛くるしい丸みを帯びたボディラインは、軽量化と強度の確保を両立させるためのものであり、500cc空冷直列2気筒OHVエンジンの騒音が室内にこもってしまうのを軽減するため、キャンバストップにされたといわれています。

 コストと実用性を追求した大衆車としてイタリアでヒット作となり、日本でも愛好家が多く「チンク」の愛称で親しまれています。

●アウディ「A4 クワトロ」【千と千尋の神隠し】

宮崎駿監督らしく細かなところまで描写されていたアウディ「A4 クワトロ」

 スタジオジブリ制作の長編アニメーション映画「千と千尋の神隠し」は、主人公である千尋(ちひろ)が両親と共に引越し先へ向かう途中に、森の中の奇妙なトンネルから人間が立ち入ってはいけない神々が住む異世界に迷い込んでしまう物語で、2001年に公開されました。

 冒頭に登場する千尋の父親の愛車は、1994年に発売したアウディ「A4」でした。山道を走るシーンでは千尋の「お父さん大丈夫?」との問いかけに対して、運転する父親が「任せとけ、このクルマは四駆だぞ」と話していることから「A4 クワトロ」と判断できます。

 A4はメルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」の対抗馬として多くの販売実績を残した「90」シリーズの後継車として発売。

 フォルクスワーゲン「パサート」と共有のプラットフォームを用いて、基本的な駆動方法はFFでしたが、アウディの4WDテクノロジーである「クワトロ」システムを選択することができました。

 なお、劇中のA4 クワトロは左ハンドルのマニュアルトランスミッションとなっています。

●アルピーヌ・ルノー「A310」【ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序】

ミサトのアルピーヌ・ルノー「A310」はEVという設定

 庵野秀明監督作の「新世紀エヴァンゲリオン」は、国連直属の非公開組織・特務機関「NERV(ネルフ)」の総司令を父に持つ主人公の「碇シンジ」が、人型決戦兵器である「エヴァンゲリオン」初号機のパイロットとなり、謎の敵「使徒」と戦い第3新東京市を守る物語です。

 単なる勧善懲悪のロボットアニメではない斬新なストーリーが話題となり、「機動戦士ガンダム」と同様にフィギュアなどのアイテムも人気が出て、その後のアニメブームを築いた作品といっても過言ではありません。

 作中に登場する戦闘指揮官で、主人公シンジの保護者役でもある「葛城ミサト」の愛車として登場するのが、アルピーヌ・ルノー「A310」です。

 1973年に世界ラリー選手権でワールドチャンピオンに輝いたアルピーヌ「A110」の後継として、アルピーヌからアルピーヌ・ルノーへ社名が変わった後に発売した最初のクルマとして知られています。

 空気を切り裂くようなシャープなフロントマスクに、流線型で丸みを帯びたボディラインが特徴的な2ドアクーペで、A110と同様にリアエンジン・リアドライブとなっています。

 2007年に公開された「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」に登場するA310は、初期型の特徴である6連ヘッドライト(内側2個は補助灯)のモデルで、設定ではEV化された右ハンドルです。

 シンジを乗せて障害物をかわしながら疾走するシーンや、使徒の攻撃で横転しても自走可能など、アニメだからこそという部分も多く見られます。

■重要な役割だからこそリアルに描写されるクルマ

●マツダ「RX-7」【サマーウォーズ】

内装のディテールまで細かく描かれていたマツダ「RX-7」

 2009年に公開された細田守監督作品「サマーウォーズ」は、世界一安全といわれるセキュリティによって守られたインターネット上の仮想世界「OZ」(オズ)が、AIプログラム「ラブマシーン」によりハッキングされ、現実世界にも影響を及ぼしはじめたため、その原因となった高校2年生の「小磯健二」が仲間とともに解決に奔走する物語です。

 憧れの先輩で健二が想いを寄せている「篠原夏希」から偽の恋人役のアルバイトに誘われ、夏希の曽祖母の家を訪ねます。そこで出会った警察官をしている夏希の又従兄「陣内翔太」の愛車はマツダ「RX-7」でした。

 1991年に登場したFD3S型3代目RX-7は、世界で唯一のシーケンシャルツインターボロータリーエンジンを搭載するピュアスポーツクーペで、「モーターのように回る」と評価されたエンジンと新開発の前後ダブルウイッシュボーンサスペンションで「コーナーリングマシン」と呼ばれます。

 劇中では若干デフォルメされていましたが、内装やコクピットはリアルに描写されています。最後は大破してしまいますが、「RX-7」と呼ぶセリフも用意されているなど、こだわりが感じられました。

●ダイハツ「ハイゼットデッキバン」【君の名は。】

チョイ役ながらダイハツ「ハイゼットデッキバン」というチョイスが面白い

 2016年に公開され、社会現象にもなった新海誠監督による長編アニメーション映画「君の名は。」は、東京に暮らす男子高校生の「立花瀧」と、岐阜県飛騨地方の山奥に住む女子高生の「宮水三葉」の精神が入れ替わってしまう物語。

 その主人公たちを乗せて隕石により壊滅した糸守町まで、ラーメン屋の主人が案内するシーンに登場するのがダイハツ「ハイゼットデッキバン」です。

 軽商用車といえばトラックかバンが思い浮かびますが、ハイゼットデッキバンは、ハイゼットバンのリアドアから後方の車体上部を取り払い、荷室を荷台とした4人乗りの軽トラックで、ダブルキャブともいわれます。

 背の高い荷物、汚れ物も載せやすい万能のオープンデッキながら4名乗車が可能なことから、工事関係者や園芸事業者が、道具や植木などを積んで移動するのに重宝する仕様です。

 また、荷台の汚れを気にせずに済むことから、釣りやサーフィン、キャンプなどのアウトドアレジャー好きに利用されることも多いようです。

※ ※ ※

 アニメ映画は、かつて子どもが見るものと思われていた時代とは違い、近年の作品は大人たちが見ても楽しめるように、クルマのディテールだけでなく、さまざまなモノが細かく描写がされていることが多くなっています。

 なかでも劇中に実在の場所、地域が登場すると「聖地巡礼」として作品のファンが集まるなど、社会現象として取り上げられるほどです。

 クルマの場合も作品のヒットにより注目されると、実際の売上に影響が出るかもしれません。

この記事の関連ニュース