かつて人気を誇ったモデルでも販売が低迷するとマイナーチェンジなどがおこなわれます。しかし、それでも販売台数が伸びないモデルや、規制に適合できないモデルなどは生産終了となります。今回は、市場は盛り上がっているのに姿を消すことになったクルマを3台紹介します。
■人気ジャンルで埋もれたクルマ達
2019年には、かつて絶大な人気を誇ったモデルが相次いで生産終了を余儀なくされています。SUVやミニバン、コンパクトカーといったそれぞれの市場自体の人気は続いているのに、販売低迷などで生産終了となったクルマを3台紹介します。
●トヨタ「エスティマ」
トヨタ「エスティマ」はミニバンの定番車種ですが、2019年10月7日で生産終了となりました。初代エスティマは、1990年に卵型のボディで登場し、その後には5ナンバーサイズの「エスティマ ルシーダ&エミーナ」も追加しています。
エスティマは、ミニバンブームの火付け役として人気モデルとなり、2000年には2代目にフルモデルチェンジされ、ボディを1種類に統合する一方で、ハイブリッドを加えています。
現行エスティマは、2006年に登場していることから、2019年で13年という国産車として1、2を争うモデルライフの長いクルマでした。
2019年上半期のエスティマの登録台数は、1か月平均で791台と、トヨタの人気フルサイズミニバン「アルファード/ヴェルファイア」の合計台数に比べると1割にも達していません。
また、同じトヨタにはミドルサイズミニバンの「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、コンパクトミニバン「シエンタ」など多くのミニバンモデルをラインナップしており、細分化する細かなユーザーニーズを上手く補っています。
そうすると、モデルが古くなったエスティマの販売に力を入れなくても、ほかのモデルで補えるという点ではエスティマの生産終了は決まっていた運命なのかもしれません。
●日産「キューブ」
1998年、日産「マーチ」のコンポーネントを流用したトールワゴン「キューブ」が発売されました。2列シートのミニバンというイメージで、コンパクトながら広い室内空間で人気となります。
そして、2002年には、キューブという名にふさわしい「箱型」と曲線を上手く組み合わせたデザインの2代目が発売され、大ヒットを記録します。
とくに、左右非対称のリアゲートが斬新で、海外からもデザインが高く評価されます。2003年に派生車として3列シート化された「キューブキュービック」を発売し、これも大いに話題となりました。
2008年にはデザインを先代からキープコンセプトとした3代目が発売され、シリーズ初の海外市場での販売も始まります。
その後10年以上フルモデルチェンジされず、販売が続けられていましたが、先進安全装備を搭載することはなく、商品力の低下は避けられませんでした。
近年は販売台数の低迷が著しく、エスティマと同様にこれ以上のアップデートが困難という判断によって、2019年12月をもって生産終了することが明らかになりました。
■世界中を魅了したSUVも生産終了
●三菱「パジェロ」
初代三菱「パジェロ」は、同社の「ジープ」よりも快適かつ、オフロードでの高い悪路走破性も両立した本格オフロード4WD車として1982年に発売されました。
1991年発売の2代目では、フルタイムとパートタイムの両4WDシステムの長所をあわせ持つ、世界初のスーパーセレクト4WDを採用。悪路走破性を高めるとともに、ラグジュアリー性を高め、1990年代のRVブームをけん引してきました。
3代目は1999年に発売され、トラックと同様なラダーフレーム構造から、より乗用車に近づいたビルトインフレームのモノコックボディに改良。高い剛性を保ちながら軽量化も実現し、優れた操縦安定性と乗り心地を向上させました。
そして、2006年に登場した4代目は、新たに「アクティブスタビリティ&トラクションコントロール」など、高度な電子制御技術により、さらに走行性能を高めました。
しかし、近年のSUV人気のなかでも販売台数は低迷し、歩行者衝突保護の法規制に適合することも困難という状況でした。
2019年4月に発売された特別仕様車「ファイナルエディション」を最後に、2019年8月をもって国内向けの生産を終え、37年という長い歴史に幕を閉じました。