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タクシーだけど個人所有も可能!? 都内で急増するトヨタ「ジャパンタクシー」の魅力とは

くるまのニュース 2019年12月4日 19時30分

最近、トヨタがタクシー事業者向けに開発した「ジャパンタクシー」を目にする機会が増えました。ジャパンタクシーは、背が高く見切りの良いスクエアなボディに、スライドドア採用で乗り降りしやすいのが特徴です。次世代を見据えた新型タクシーの魅力とは、どんなところにあるのでしょうか。また、個人で購入することはできるのでしょうか。

■22年ぶりのタクシー用モデル「ジャパンタクシー」は人気も上々

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックが近づくにつれ、さまざまなモノが次世代へと切り替わりつつあります。訪日外国人も増加を続け、気がつけばインバウンド対策として建物が新しくなり、乗り物も変化してきました。

 なかでも2017年10月にデビュー以来、台数を増やしているのが、トヨタが開発した次世代タクシー「ジャパンタクシー」です。

 東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都内のジャパンタクシーは「深藍(こいあい)」と呼ばれるボディカラーと、オリンピック・パラリンピック競技大会特別仕様となるレインボーカラーのナンバープレートで統一されています。

 東京都では、オリンピックの開催に合わせ、ユニバーサルデザインのタクシー普及を促す「次世代タクシーの普及促進事業」を実施。

 次世代タクシーを導入する事業主に対して補助金を出していることもあり、徐々にジャパンタクシーが増えてきています。

 またトヨタは、東京2020オリンピック・パラリンピックのロゴをリアドアに広告ラッピングした「深藍限定車」を用意していることもあり、都内のタクシーはジャパンタクシーに置きかわっているのです。

 現在、都内で日中営業しているタクシーが約3万台といわれていますが、2020年には都内だけでも1万台のジャパンタクシーが走ることになるという予測もあります。

 長年タクシー用として親しまれてきた「クラウンコンフォート」に変わるべく、22年ぶりに登場したジャパンタクシーとはどのようなクルマなのでしょうか。

 ジャパンタクシーのプラットフォームは、人気コンパクトミニバン「シエンタ」をベースとしています。

 見切りのいい箱型の背高ボディは、日本の道路事情を考慮した5ナンバーサイズに収まる4400mm×全幅1695mm×全高1750mmという大きさで、運転がしやすいことも特徴です。

 コンパクトサイズながら高級感と存在感を感じさせるのは、やはり日本の伝統色「深藍」が持つ気品といえるのではないでしょうか。

 エンジンは、74馬力を発生する1.5リッターエンジンと、61馬力のモーターを組み合わせたハイブリッド方式で、トランスミッションは電気式無段変速機で駆動方式はFFとなっています。

 使用する燃料はLPG(液化石油ガス)で、JC08モード燃費は19.4km/Lと、従来のクラウンコンフォートの1.5倍近い燃費性能を実現しました。

■ジャパンタクシーは個人でも買えるのか?

 ジャパンタクシー最大のメリットは、乗降性のしやすさです。スライドドアの開口部幅は720mm、開口高は1300mmと大開口を実現し、フロアの高さを320mmに抑えることで、乗り降りのしやすさにこだわりました。

 2019年3月には改良が加えられ、車いすの乗降性を改善。車いす乗降用スロープの折りたたみを、3つ折りから2つ折りに変更するとともに、折りたたみ構造から樹脂の一枚板に変更して設置作業を簡略化しました。

車いすでも乗り降りしやすいように改良

 それまではスロープ設置から車いす固定には10分から15分かかっていましたが、この改良により、作業に慣れたドライバーであれば設置時間が3分程度に短縮されたといいます。

 ハイブリッド方式で燃費もよく、乗り降りもしやすいジャパンタクシーは、個人でも購入可能です。トヨタ店とトヨペット店で普通のモデルと同様に買うことができます。

 ボディカラーは、タクシーで採用されている「深藍」のほかに、「ブラック」と「スーパーホワイトII」があります。個人所有でタクシーとの差別化を図るなら、ホワイトという選択肢もしっくりきそうです。

 さらに、高い環境性能(2020年燃費基準+30%達成車)を持っているため、エコカー減税が適用されます。

 また、バンパーは3分割式で一部のみの交換が可能、ヘッドライトとリアランプも外側のレンズのみの交換もでき、日常でのちょっとしたアクシデントでも安価に修理できるようになっています。

 価格(消費税込)は、標準グレードの「和(なごみ)」が333万8500円、装備が充実した「匠(たくみ)」が356万4000円となっています。

 ジャパンタクシーを個人で所有する場合の唯一のネックは、燃料がLPGのみとなっていることです。

 これはLPGの価格が1リッターで80円から90円と非常に安価なため、タクシーの多くがLPG仕様なのですが、LPGタンクは小型化しづらいこともあって居住性や積載性も重要視される市販車では普及しないというのが大きな理由になっています。

 LPGは、通常のガソリンスタンドでは取り扱っていないケースが多いため、購入前には、近隣でLPGを個人に販売してくれるガソリンスタンドがあるかどうかをチェックしておく必要があります。

※ ※ ※

 個人所有も可能なジャパンタクシーですが、体が不自由な人を送迎する機会が多い人や日常で長距離移動が多い人にとっては、意外に魅力的なモデルともいえます。

 タクシーとしてのジャパンタクシーは増加していますが、個人所有のジャパンタクシーは非常にレアな存在です。クラシカルのスタイルを、あえてカスタムしてみるのも面白いかもしれません。

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