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ハチロクvsシビックが熱かった! 国産1.6リッタースポーツ車5選

くるまのニュース 2020年2月15日 6時10分

1970年代から1990年代にかけて、1.6リッターエンジンを搭載した、いわゆる「テンロク」のモデルが数多く誕生しました。そこで、そのなかでもとくに注目された1.6リッターのスポーツモデルを5車種ピックアップして紹介します。

■走る楽しさを教えてくれた、あの頃のテンロク名車たち

 かつてモータースポーツのレギュレーションで、1.6リッターで区切られる排気量区分があったため、1.6リッターエンジンを搭載したモデルが数多く存在しました。

 1970年代から1980年代に隆盛を極め、その流れは1990年代まで続き、その後は急激に台数を減らしてしまいました。

 そんな1.6リッター車のなかから、とくに注目された1.6リッターのスポーツモデルを5車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「TE27型 カローラレビン/スプリンタートレノ」

名機「2T-G」型エンジンを搭載した「TE27型 カローラレビン」

 1969年に東名高速道路が全面開通し、同年、日産はプリンス自動車から引き継いだ「スカイライン」にレースベース車にあたる「スカイライン GT-R」を追加して発表しました。

 こうしてスポーツモデルに熱い視線が集まり、大衆車にも魅力溢れるスポーツカーを求める声が高まります。

 その声に対するトヨタの回答が、1972年3月に登場した初代「カローラレビン/スプリンタートレノ」です。「TE27型」という型式から、後に「ニーナナ レビン/トレノ」の愛称で呼ばれ、現在も旧車のなかで高い人気を誇っています。

 搭載されたエンジンは、トヨタ初のスペシャリティモデル「セリカ」のために開発された、1.6リッター直列4気筒DOHC「2T-G型」ユニットです。

 2連装したミクニ・ソレックスキャブレターから供給される「有鉛ハイオク」(レギュラー仕様もあり)によって、9.8の圧縮比から最高出力115馬力を発揮。

 もともと2T-G型は、OHVの「2T型」エンジンのシリンダーヘッドをヤマハ発動機の手によってDOHC化することで開発され、バルブ数は1気筒あたり2本の8バルブです。

 現在の水準からすると大きく重いエンジンでしたが、頑丈な鋳鉄シリンダーブロックは高度なチューンナップにも対応し、モータースポーツ用エンジンとしても活躍しました。

●トヨタ「AE86型 カローラレビン/スプリンタートレノ」

最後のFRカローラとして現在も人気がある「AE86型 カローラレビン」

 1983年5月にカローラ/スプリンターが5代目にフルモデルチェンジした際、セダン系はFFに移行しましたが、スポーツモデルのAE86型 カローラレビン/スプリンタートレノ(レビン/トレノ)はFRを継承しました。

 搭載されたエンジンは名機2T-G型から新開発の1.6リッター直列4気筒「4A-GEU型」になり、1気筒あたり4バルブエンジンへと生まれ変わりました。

 最高出力は130馬力で、トランスミッションは当初5速MTだけでしたが、1985年に電子制御4速ATが追加されます。

 また、シャシは先代の「TE71型」から大きく進化しませんでしたが、ステアリングシステムにカローラシリーズ初となるラックアンドピニオンが採用され、クイックなハンドリング性能を得ていました。

 軽量な車体も相まって高い運動性能を誇り、国内のラリーやレースでも大活躍し、走りを重視する若者から絶大な人気を得ます。

 このAE86型 レビン/トレノは後にコミック「頭文字D」に登場したことで人気が再燃し、デビューから40年近く経った現在でもファンが多く、中古車市場ではいまだに高値安定傾向が続いています。

●ホンダ「シビック Si」

レースでも活躍して速いイメージしかなかった「シビック Si」

 1983年9月にAE86型 レビン/トレノの後を追うように、ホンダは「S800」以来の14年ぶりとなるDOHCエンジン搭載車「シビック Si」を発売。

 クルマとして初のグッドデザイン大賞を獲得した3代目シビックに、1.6リッター直列4気筒DOHC「ZC型」エンジンを搭載し、S800をオマージュしたかのように、パワーバルジのあるボンネットがシビック Siの特徴です。

 ホンダが当時のF1エンジン開発で培った電子制御燃料噴射装置「PGM-FI」により、最高出力135馬力を発揮。トヨタの4A-G型を上回る出力を誇りました。

 また、ZC型の特徴としてボア×ストロークが75mm×90mmとロングストロークだったため、低速域のトルクが比較的太く、ドライバビリティの高さも高く評価されました。

■世界中のメーカーに影響を与えたテンロク車が登場

●いすゞ「ジェミニZZ」

他ブランドとのコラボが大成功した「ジェミニZZ」(画像は「イルムシャー」)

 1985年にいすゞは「ジェミニ」をフルモデルチェンジし、2代目として発売します。FRだった初代とはまったく異なるいすゞのオリジナルモデルで、同社初となるFF車です。

 その後バリエーションを増やし、1988年3月には、DOHC搭載モデル「ジェミニZZ ハンドリングbyロータス」を追加します。ロータスとの技術提携は、当時ロータスがいすゞと同様にGM傘下にあったことで実現しました。

 搭載されたエンジンは、新開発された1.6リッター直列4気筒DOHC「4XE1型」で、最高出力135馬力を発揮。

 内装ではレカロ製シートやMOMO製3本スポークステアリングが奢られるなど、スポーツマインドあふれる装備となっていました。

●マツダ(ユーノス)「ロードスター」

優れたハンドリングで若者を魅了した「ロードスター」

 1989年2月に、NA型初代マツダ(ユーノス)「ロードスター」が、アメリカのシカゴショーで発表されました(アメリカ名「ミアータ」)。

 ロードスターは当時、絶滅危惧種となっていた英国製のライトウェイトオープンスポーツを手本に、「人馬一体」をコンセプトに開発された2シーターオープンスポーツです。

 搭載されたエンジンは、同社の「ファミリア」用を流用した、1.6リッター直列4気筒DOHC「B6型」です。

 最高出力120馬力を発揮し、フロントミッドシップに搭載。トランスミッションは当初、5速MTだけでしたが、のちに4速ATが追加されます。

 サスペンションは4輪ダブルウイッシュボーン式独立懸架に前後にスタビライザーを備え、ブレーキは4輪ディスクブレーキ(前ベンチレーテッド式)とされ、目新しさはありませんでしたが、FRスポーツとしての基本はしっかりと押さえていました。

 決してパワフルなエンジンではありませんでしたが、軽量な車体とロードホールディングに優れたサスペンションによって、まさに人馬一体を実現。

 初代ロードスターは日本のみならずアメリカでも大人気となり、その後、国内外のメーカーがオープン2シーターを次々と発売し、オープン2シーターの市場が再燃するきっかけとなりました。

※ ※ ※

 前述のとおり1.6リッターエンジン車は、過去にくらべて激減してしまいました。その理由として、日本の自動車税区分が1.5リッターで区切られていることと、モータースポーツにおいて1.6リッターエンジンの活躍の場が少なくなったことが挙げられます。

 そうしたなか、トヨタから1.6リッターターボエンジンを搭載した「GRヤリス」が発表されました。かなり特殊なクルマですが、久しぶりの1.6リッターエンジンを搭載するスポーツモデルとあって、注目されています。

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