春は子どもの交通事故が増加する季節です。子どもの交通事故は、なぜ、どのような場面で起きてしまうのでしょうか。また、ドライバーが持つべき事故を避けるための心がけとは何でしょうか。
■小1の歩行中の死者数は小6の8倍! 子どもの事故を防ぐ方法とは
気温が上がり過ごしやすい季節となる春は、子どもの交通事故が増加する傾向にあるといわれています。子どもの交通事故は、なぜ、どのような場面で起きてしまうのでしょうか。
また、ドライバーが持つべき事故を避けるための心がけとは、いったいどのようなものがあるのでしょうか。
春に子どもの交通事故が増えてしまうのは、多くの子どもが新入生になるからです。4月は多くの子どもたちが新入生となり、通学が始まります。その結果、通学に慣れていない子どもたちの不慮の事故が増加してしまうのです。
警察庁交通局が出している「児童・生徒の交通事故」によると、とくに小学1年生の歩行中の死者数は小学6年生の8倍にものぼるといいます。
また、7時台や、15時台から17時台まではとくに歩行中の死傷者が多く、いずれも小学生の登校中・下校中の時間帯にあたります。さらに、衝突地点は交差点内が多く、横断歩道を横断中の事故は約39.1%となっています。
したがって、ドライバーはこの時間帯や交差点、横断歩道を運転する際、とくに細心の注意を払う必要があります。
では、具体的にどのような対策をすれば良いのでしょうか。警視庁交通総務課に聞いたところ、次のように話します。
「交差点ではどうしても信号やほかのクルマに意識がいきがちなので注意が必要ですね。とくに夕暮れは歩行者が見えにくくなる時間帯ですので、ヘッドライトは早めに点灯することがとても重要です。
また、横断歩道などの手前に停車しているクルマがあると、その先から飛び出してくる子供などは死角となるため、常にそのような可能性を考え運転する必要があります」
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子どもには、急に走り出したり飛び出したりする特性があるといわれています。そのため、駐停車車両、電信柱、曲がり角など死角がある場所や、制限速度が低い場所などではとくに速度を抑えて運転することが重要です。
不慮の事故を防ぐためにも、常に「もしかしたら」「万が一」などの危険を予測して運転しましょう。
■駐車場も危険がいっぱい! 子どもの事故で注意すべきポイントとは
消費者庁による「人口動態調査」個票データの分析(平成22年から平成26年)によると、0歳から14歳の子どもの事故発生場所が住居(家庭内)と道路・駐車場で約60%を占めています。
0歳から1歳の子どもは住居(家庭内)での事故の方が多いですが、2歳より年上の子どもは道路・駐車場での事故の方が増える傾向にあります。
駐車場での事故を防ぐ具体的な対策はあるのでしょうか。前出の警視庁交通総務課に聞いたところ、次のように話します。
「ドライバーはまず自分が駐車できる場所を探すことに意識が取られがちなので、きちんと周囲にも注意を配ることが大事ですね。また、子供は大人が想像しないような場所で遊んだりするので、発車の際も、乗り込む前に前後左右の安全確認を必ずおこなうことが重要です。
もちろん、大前提として大人は子どもから目を離さないようにしなければなりません。交通事故の対策は、ドライバーだけでなく、運転をしない大人や子どもも取り組む必要があります」
またドライバーは、乗るときは子どもを先に、降りるときは大人が先に、という順番を徹底することや、そもそも駐車場は危険だということを子どもによく認識させることなどで、事故を減らすことができます。
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駐車場は、住居(家庭内)や商業施設問わず信号機がないため、交通整理が十分ではありません。従って、「家の前だから」「いつも慣れている場所だから」と油断せずに、毎回緊張感を持って運転する必要があります。また、速度は抑えていつでも停止できるように心がけましょう。
また、駐車場でクルマを停車・発進させる際は、「クルマの前方・後方」、「クルマの窓の下側部分」、「フロントピラー周辺」の死角に注意しなければなりません。
子どもがクルマの前方や後方、側方にかがみこんでいて、ドライバーが気づかずに発進し、不慮の事故につながってしまうケースは後を絶ちません。
駐車場では切り返しなどに意識が集中し、さらに視野が狭まります。子どもが急に飛び出してこないか、クルマの周囲にいないかを必ず確認しましょう。
ドライバーは、背丈が低く、予測できない動きをする子どもに気をつけて運転しなければなりません。とはいえ、交通事故をドライバーのみの責任にするのではなく、大人が子どもに正しい交通ルールや交通事故の危険性を教えることも重要です。ドライバーだけでなく歩行者も、正しい交通ルールを再確認しておきましょう。