終息の見込みが見えない新型コロナウイルス。日本でも連日のように関連ニュースが報道され、経済的な影響も計り知れません。そんななか、自動車産業の調査会社であるJATOは、欧州自動車市場の2月時点での販売動向を公表しました。欧州では壊滅的な打撃を受けていますが、2月時点ではどうだったのでしょうか。
■2月時点で、新型コロナウイルスの影響はまだ無かった!?
新型コロナウイルスが猛威を奮っており、日本でも日に日に感染者数が増加しています。欧州の各国ではそれ以上にさまざまな影響を受けているなか、自動車産業の世界的な調査会社であるJATOは、欧州自動車市場の2020年2月時点での販売動向を公表しました。
JATOは、1984年に英国・ロンドンで創業した自動車産業の調査会社で、世界50か国以上でさまざまな)を自動車関連の情報を提供しています。
今回、そのなかで欧州新車市場の動向を公表。欧州では、販売台数の下降が続いており、JATOのデータによれば、当月の販売台数は106万3264台でした。
これは、2019年2月の114万3852台から7%減少し、95万5113台を販売した2015年2月以来で、もっとも少ない2月度の台数となりました。
なお、前年同月比で7.6%減となった1月とも重なり、2020年の最初の2か月間で累計219万4706台が販売されましたが、すでに7.3%ものマイナスとなります。
2月の販売台数で増加したのは、BMW「1シリーズ/3シリーズ」、フィアット「500」、ボルボ「XC40」などで、国産メーカーでは、直近で発表され1万3600台を販売したトヨタ「カローラ」やマツダ「CX-30」の4600台が際立った形となりました。
JATOのグローバルアナリストであるFelipe・Munoz氏は、この状況を次のように話します。
「複合的な規制、認証を受けた車両が不足していること、経済にのしかかる重圧が増大していることを受けて、欧州での状況は急速に悪化している。これらの要因は、消費者信頼感へも有害な影響を与えているのだ」
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なお、新型コロナウイルスの影響は、2020年2月29日の段階で、まだ欧州の自動車市場へ影響していないことがJATOのデータから判明しており、6カ国のみ販売台数が増加しているものの、2月全体の4%すぎない結果でした。
■電動車が一般的になってきた?
2月の販売台数がマイナスとなった状況に反して、電動車(EV/ハイブリッド)は好調が続いています。販売台数は、2019年2月の7万5400台から13万5500台へと大幅に増加傾向にあるようです。
この80%以上の増加は、著しく少ない販売台数となったガソリン車とディーゼル車の引き換えによって生まれました。
前出のMunoz氏は「2020年になってこれまでのところ、欧州で展開している自動車会社にとって、電動車は唯一の命綱だ。これは良い知らせといえるだろう。なぜなら、業界の電動化計画が、とうとう消費者から肯定的な反応として返ってきたからだ」と付け加えています。
さらには、電動車の台数は、欧州で最大の市場であるドイツやフランスでは2倍以上に。乗用車のなかで電動車が占めるマーケットシェアは、ノルウェーが75%、スウェーデンで33%、フィンランドで31%、オランダで22%、ハンガリーで17%という状況です。
欧州主要の5カ国のなかでは、フランスが先頭に立っており14%、イギリスが13%、ドイツが11%、スペインが10%、イタリアでは8.6%となりました。
電動車が、現実的なガソリン車とディーゼル車の代替となっているため、SUVは競争の激しい環境のなかで今も苦しい状況にあるといいます。
2月のSUVの販売台数は、前年同月比1.7%減となる41万5300台となり、年度累計でも、昨年同期比1.4%減となる86万5500台でした。
減少の理由は、ラージSUVが17%増と大きく成長しているのに対し、コンパクトSUVが3.7%減少しているためで、SUVの販売台数は減少しているが、市場全体が縮小しているため、マーケットシェアは拡大しているといえます。
なお、ミドルサイズのモデルが、すべてのセグメントのなかでもっとも大きな成長を記録。これは新型となったBMW 3シリーズと、フォルクスワーゲン「パサート」の影響が大きいです。
2モデルを合わせた台数は、ミドルサイズのセグメント全体の31%を占め、2019年と異なるのは、同サイズの好調な結果はテスラ「モデル3」によるものではないことで、2月は6%減を記録しています。
2019年のセダンは、消費者に2番目に好まれたボディタイプとなりました。世界全体では1885万台を販売し、乗用車全体の4分の1に相当していますが、2月セダンの台数は6.8%減少するなど、刻々と新車市場の動向は変化していることが伺えます。