トヨタのクロスオーバーSUV「C-HR」は、スタイリッシュなデザインやスポーティな走行性能などが支持されている人気モデルです。ハイブリッド仕様の実際の燃費を測定すべく、高速道路やワインディング、一般道でテストをおこないました。
■2019年10月のマイナーチェンジで魅力を増したC-HRの燃費は?
2016年末に発売された、トヨタのクロスオーバーSUVである「C-HR」。トヨタの新世代プラットフォームであるTNGAを採用した第2弾車種として華々しいデビューを飾り、その個性的なデザインや折からのSUVブームに乗って2017年度のSUV新車販売台数第1位を獲得するほどの人気車種となりました。
2019年10月にはマイナーチェンジがおこなわれ、外観のデザイン変更を受けたほか、TOYOTA GAZOO Racingが手掛けるスポーツカーシリーズ「GRスポーツ」を追加。さらに、1.2リッターターボモデルには6速MT(i-MT)が設定されるなど、進化し続けています。
今回、燃費テストに使用したのは、1.8リッターハイブリッドの「G」グレード(2WD)。カタログ燃費はWLTCモード燃費が25.8km/L(市街地モード24.7km/L、郊外モード28.6km/L、高速道路モード24.6km/L)、JC08モード燃費が30.4km/Lとなっています。
C-HRはデビュー前からニュルブルクリンク24時間レースに出場するなど、走りの良さをアピールしてきました。燃費性能と共に走りのポテンシャルも気になるところです。
今回は、横浜市内をスタート地点とし、横浜新道から保土ヶ谷バイパス、東名高速道路を経由して、小田原厚木道路の小田原西インターまでの高速道路区間、そこからターンパイクを上り、大観山スカイラウンジを経由。
箱根新道を通って西湘バイパスまで下るワインディング区間、そして、国道134号線から国道246号線を経由し、都内へ戻る一般道区間で、約180kmの道のりを走破しています。
その結果は、182.7kmの走行で燃費は26.45km/Lという数値になりました(セクション燃費からの計算)。
カタログ上での燃費数値はWLTCモード燃費で25.8km/Lとなっていますから、WLTCモード燃費を超えました。
なお、今回の走行モードはすべて「NORMAL」モード、エアコンは24度設定のフルオート、クルーズコントロールは未使用です。
●高速道
走行距離:64.4km
実燃費:30.0km/L
横浜市内を出発し、横浜新道から保土ヶ谷バイパスを経由して東名高速に入り、小田原厚木道路を通る今回のルート。平日の午前中ということもあり、走行車両はトラックのような働くクルマが中心で目立った渋滞もなく、ほぼ全域で一定の速度をキープして走行することができました。
その結果、WLTC高速道路モード燃費の24.6km/Lを上回る30.0km/Lという低燃費を達成。高速道路モード燃費は、カタログ燃費では市街地モードよりも悪いのですが、法定速度内で淡々と走ると意外と燃費が伸びることが判明しました。
C-HRは、同じパワートレインを搭載するトヨタ「プリウス」に比べると60kgほど重く、太いサイズのタイヤを履いていますが、パワー不足を感じることもなく、アクセル開度も小さくて済んだのも低燃費を実現できた要因かもしれません。
■SUVとは思えない!? 上り坂も余裕でこなすスポーティな走り
●ワインディング路
走行距離:42.4km
実燃費:21.2km/L
ワインディング路は、小田原西インターを降りてターンパイクを駆け上り、箱根新道を経由して一気に下るという、いわゆるワインディングコースです。
新世代プラットフォームのTNGAを採用するC-HRは、SUVとは思えない懐の広さで涼しい顔でコーナーをクリアしてくれました。
そのため、ついついペースを上げたくなってしまいましたが、その気持ちをグッと抑えて走行しました。
その結果、42.4kmを走行して21.2km/Lと、前半で箱根の山を登ったことを考えれば十分とも思える数値をマーク。
さすがに登り始めてすぐにバッテリー残量が心もとなくなり、その後はほぼ常にエンジンが回っている状態でしたが、ハイブリッド車のパイオニアであるトヨタならではの細かな充電制御がものをいったといったところでしょう。
●一般道
走行距離:75.9km
実燃費:27.5km/L
一般道は、国道134号から国道246号を走行し、都内へ向かいます。下道となるこのルートですが、昨今の状況もあって交通量は少なめで、渋滞らしい渋滞もありませんでした。ただし、信号の多いルートなので、ストップ&ゴーが発生するシチュエーションです。
このルートでは75.9kmを走行し、メーター上の燃費計は27.5km/Lをマーク。比較的条件が良かったとはいえ、WLTC市街地モード燃費の24.7km/Lを大きく上回る結果となりました。
大型車両の通行も多く、路面は決してフラットではないルートなだけに、18インチで225幅のタイヤでは厳しいのではないかと思っていたのですが、若干の重さは感じるものの、フロアが震えたり足元がバタつくような感覚がなかった点は驚かされました。
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デビューから3年ほどが経過し、熟成の域に達した感のあるC-HRを改めて燃費テストに持ち出してみました。その結果、26.45km/Lという低燃費にも驚かされましたが、何よりも驚いたのが、その高いシャシー性能でした。
前述したように、デビュー前からニュルブルクリンク24時間レースに参戦するなど、SUVらしからぬスポーツ性をアピールしてきたC-HRでしたが、今回その実力を見せつけられました。
マイナーチェンジ後のモデルでは、GRシリーズや1.2リッターターボモデルに6速MTも追加されており、実は隠れたホットハッチといえるかもしれません。
C-HRは、スポーツカーに乗り続けてきた人が、家族で乗れるクルマに乗り換えるときにチョイスするのに最適なモデルだといえます。ポテンシャルが高いだけに、もっとパワーのあるエンジンが欲しくなってしまうのではないでしょうか。