普段、クルマやバイクを運転していると無意識に交通違反を犯している可能性もあるようです。どのような行為が違反になるのでしょうか。
■うっかりでは済まない場合も
道路交通法では、覚えきれないほど数多くのルールが定められており、そのなかには「これだけで?」と思うほど些細で、うっかりやってしまいがちな交通ルールも存在しています。今回は、普段の運転で注意したい「うっかり違反」を5つ紹介します。
●緊急車両が接近しても譲らない
緊急車両に進路を譲らなかった場合には「緊急車妨害等違反」となり、反則金6000円(普通車)の違反点数1点が科せられることになります。
救急車やパトカーなどの緊急車両は一般車両と違い、道路交通法の一部のルールを免除されて走行することができます。
対向車線を走行したり赤信号の交差点に進入することも許されているため、緊急車両が近寄って来た場合、どのように対応したらよいかパニックになることもあると思います。
しかし、道路交通法第40条では「緊急自動車の優先」が定められており、緊急車両が近づいてきた場合には道路の左側に寄り進路を譲らなければいけません。また、交差点の進入を避け一時停止をすることとなっています。「後ろから来れば左に寄る、交差点前では一時停止」を心がけましょう。
●安全確認なしでのドア開け
安全確認をせずにドアを開けたことで、ほかのクルマやバイクと接触したり危険を感じさせてしまった場合、道路交通法71条4号の「安全不確認ドア開放等」として、反則金(普通車)6000円の違反点数1点が科せられることとなります。
クルマの乗り降りをする際には、無意識にドアを開ける人も多いのではないでしょうか。この何気ない行動にも交通違反となる場合があるので注意が必要です。
また、同乗者が安全確認をせずにドアを開けてしまった場合にも運転者の責任となってしまうので、同乗者がドアを開ける際はドライバーが注意を促すことも大切です。
●車間距離の詰めすぎ
前走車との近すぎる車間距離は「車間距離保持義務違反」となり、高速道路では反則金9000円(普通車)の違反点数2点、一般道路では反則金6000円(普通車)の違反点数1点が科せられることとなります。
実は、車間距離には明確な規定が設けられておらず、目安として周知されているのが現状です。
一般的な距離の目安としては、自車の速度が60km/h以下であれば速度の数字から「-15m」を引いた、45mの車間距離が必要とされています。
また、高速道路などでの速度域の高い場合では、例えば80km/hなら80m、100km/hで100mの車間距離が目安の車間距離です。
ほかにも、距離ではなく「2秒ルール」と呼ばれる時間を目安とする方法もあります。前車が目印となる電柱などを通過した時点から2秒後に自分のクルマが通過する、というのがベストなタイミングといわれています。
前走車との車間距離について、実際に取り締まりをおこなう警察官は、次のように話します。
「近年のあおり運転による事故やトラブルの増加を受け、車間距離についての取り締まりが強化されています。ひと昔前と比べ、我々警察官もかなり注意するようになりました。
あおり運転は、運転者があおっているという自覚がなくても、前車や警察官から『あおっている』と認識されれば成立してしまいます。
事故だけでなく、口論になるケースや、裁判にまで発展するといったトラブルも増えていますので、車間距離への意識は徹底してください」
■え? これも交通違反になるの?
●高速道路上での燃料切れ
高速道路での燃料切れによる停車は、道路交通法第75条の10の「高速自動車国道等運転者遵守事項違反」に該当し、反則金9000円(普通車)の違反点数2点が科せられます。
JAFによると、高速道路での出動要請で一番多い理由は「タイヤのパンク」、その次に多いとされているのが「燃料切れ」です。
高速道路は一般道と違ってガソリンスタンドですぐに給油できるわけではなく、場所によっては100km以上もスタンドが見つからないことも珍しくはありません。そのため、高速道路上で燃料切れになってしまい、非常駐車帯に停車しているクルマも存在しているようです。
運転者は高速道路に進入を走行する前には必ず、燃料・エンジンオイル・冷却水・タイヤ空気圧や溝を確認することが推奨されているため、確認を怠らないように注意しましょう。
●泥はね
道路交通法71条1号では「ぬかるみ又は水たまりを通行するときは、泥よけ器を付け、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること。」と定められています。
違反した場合、違反点数はありませんが反則金6000円(普通車)が科せられます。
前方車両の後に続いて走行していると、ぬかるみや水たまりに気付くのが遅れ、歩行者に水や泥を跳ね上げてしまうことが考えられます。
わざとではないにしても、交通違反に問われるため間違っても何もせずに立ち去ってはいけません。
また、水や泥が歩行者に跳ねたことに気付かずに走行してしまうと、ナンバーや車種を特定され、民事処分に繋がる恐れもあります。水たまりを通過する際は必ず減速するように心がけることが必要です。