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バブルの頃はハイパワーな輸入車に憧れた!? 日本で人気があった欧州高性能車5選

くるまのニュース 2020年4月16日 6時10分

1980年代から1990年代にかけては、クルマの高性能化が一気に進みました。その頃は国産車だけでなく輸入車も高性能モデルが続々と登場。そこで、日本で人気があった往年の欧州高性能車を5車種ピックアップして紹介します。

■スポーツカーといえば欧州車もカッコイイ!

 日本ではDOHCエンジンやターボエンジン、フルタイム4WDシステムを搭載した高性能車が、1980年代から1990年代にかけて次々と誕生しました。

 同時期には欧州メーカーでも高性能モデルが続々と登場し、ラリーやレースの活躍によって、人気が急上昇します。

 そこで、日本でも人気があった往年の欧州高性能車を、5車種ピックアップして紹介します。

●ランチア「デルタHF インテグラーレ」

ランエボやインプが目指したラリーマシンの「デルタHF インテグラーレ」(画像はエボルツィオーネII)

 1979年に登場したランチア「デルタ」は、欧州で人気があったFFコンパクトカー市場に投入された、1ランク上の質感が特徴の5ドアハッチバックです。

 日本の5ナンバーサイズに収まるコンパクトなボディに、搭載されたエンジンは1.3リッター、1.5リッター、1.6リッターの直列4気筒ガソリンに1.9リッター直列4気筒ターボディーゼルと、多彩なバリエーションでさまざまなニーズに応えていました。

 本来、デルタはシティユースに適したクルマとして開発されましたが、1986年に、世界ラリー選手権(WRC)に参戦する目的でハイパワーな165馬力(欧州値)のハイパワーなエンジンを搭載し、フルタイム4WDを採用した「デルタHF 4WD」を追加ラインナップ。なお、開発はアバルトの手によっておこなわれました。

 1988年には、さらに高性能化を図ったモデルの「デルタHF インテグラーレ」を発売します。

 デルタHF インテグラーレに搭載されたエンジンはデルタHF 4WDと同じ2リッター直列4気筒DOHCターボをベースに、最高出力185馬力まで高められました。

 また、サイズアップしたホイールとタイヤを収めるために、前後フェンダーをブリスター化したワイドボディを採用して迫力ある外観となります。

 サスペンションはベース車両と同じ4輪ストラット式ですがスポーツ走行に適したチューニングが施され、大径化された4輪ディスクブレーキも装備するなど、高い走行性能を発揮。

 1987年からグループA車両によって争われることになったWRCに参戦すると、初年から6年連続でメーカータイトルを奪取するなど、高性能さを証明して日本でもファンを獲得しました。

●メルセデス・ベンツ「190E 2.3-16」

日本で大ヒットした190Eの高性能モデル「190E 2.3-16」

 1985年に日本で正規輸入販売が開始されたメルセデス・ベンツ「190E」は、日本のファミリーカーの代表格だったトヨタ「コロナ」や日産「ブルーバード」と同じ、5ナンバーサイズに収まるコンパクトボディのエントリーモデルとしてデビュー。

 小型セダンながらブランド力から高級車として受け入れられ、バブル経済の追い風もあり、日本でも街に溢れるほどの大ヒットとなりました。

 ベーシックな190Eは、最高出力115馬力の2リッター直列4気筒SOHCエンジンを搭載していましたが、市販車をベースにしたレース車両で争われるドイツの「DTM(ドイツツーリングカー選手権)」参戦を目的に開発された、2.3リッター直列4気筒エンジンにコスワース社が開発したDOHC16バルブヘッドを搭載する「190E 2.3-16」が登場。1986年には日本へも正規輸入が開始されます。

 コンパクトなボディに最高出力175馬力のエンジンに、鍛えられたサスペンションなど、日本におけるメルセデス・ベンツのイメージを大きく変えました。

●BMW「M3」

まさにレース直系のスペシャルマシン「M3」

 1982年に2代目にモデルチェンジされたBMW「3シリーズ」は、比較的コンパクトな2ドアと4ドアのセダンを基本に、カブリオレ、ステーションワゴンなどのボディバリエーションが用意されました。

 エンジンのバリエーションも豊富で、日本仕様には直列4気筒1.8リッターと直列6気筒2/2.5/2.7リッター搭載車がラインナップされ、日本におけるBMWの普及に貢献。

 さらに、1985年にはBMWの研究開発などを担当するモータシュポルトGmbH(現在のM社)が、欧州ツーリングカーレースに勝つために設計、開発した「M3」が登場します。

 M3は2ドアセダンをベースに、最高出力195馬力を発揮する2.3リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載。

 外観はフロントスポイラーとリアの大型スポイラー、サイドスカート、太いタイヤを収められるようにワイド化したブリスターフェンダー、Cピラーからトランクリッドも専用形状とされるなど、大胆に手が入れられていました。

 ノーマルの3シリーズとは明らかに異なるルックスと、従来からBMWの高性能バージョンだった「M」のネーミングが与えられたことから、モータースポーツ好きのみならず憧れのクルマとなります。

■イタリアンスポーツが華麗に復活!

●アルファロメオ「155 V6」

DTMでの活躍によって日本でも人気だった「155」

 1992年に、アルファロメオ「75」の後継車としてデビューした「155」は、日本の5ナンバーサイズに収まるコンパクトなボディに、最高出力140馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載したFFの「2.0ツインスパーク」と、デルタHF インテグラーレの4輪駆動システムと最高出力185馬力の2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンを搭載した「Q4」が輸入されました。

 そのQ4をベースに「CIVT(イタリアツーリングカー選手権)」参戦用に開発された「155 GTA」は、圧倒的な速さを見せつけ、さらに1993年にはDTMへ参戦するため、2.5リッターV型6気筒エンジンを搭載した「155 V6 TI」を開発し、参戦直後から好成績を上げました。

 そして1995年に、155 V6 TIをイメージさせるオールアルミ製2.5リッターV型6気筒SOHCエンジンを搭載した「155 V6」が登場。

 最高出力は約420馬力を絞り出すレーシングマシンの155 V6 TIとは違い160馬力に抑えられていましたが、ブリスターフェンダーを装着して3ワイドボディ化され、ヨーロピアンスポーツセダンの代表格として人気となりました。

●フォルクスワーゲン「ゴルフ GTI 16V」

高性能なNAエンジンを搭載したことで日本でも歓迎された「ゴルフGTI 16V」

 1974年に発売されたフォルクスワーゲン初代「ゴルフ」は、「タイプ1(ビートル)」の後継車とした開発されたFFコンパクトカーです。ジウジアーロによるデザインと優れたパッケージングが高く評価され、世界中で大ヒットしました。

 1976年にはエンジンやシャシをチューニングしたスポーティグレードの「ゴルフ GTI」が追加ラインナップされ、後に元祖ホットハッチといわれます。

 1983年に登場した2代目にもGTIがラインナップされ、1985年に日本へも初めて正規輸入が開始されました。

 GTIは当初8バルブのSOHCでしたが、1987年に最高出力125馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒DOHC 16バルブエンジンを搭載した「GTI 16V」にスイッチ。

 60扁平タイヤに合わせて足まわりもチューニングされ、外観は標準モデルから大きく変わっていませんが、グリルやバンパー、サイドモールにGTIの伝統となる赤いラインが入れられるなど、スポーティに演出されています。

 ゴルフIIは手頃なサイズと価格で、輸入車のエントリーモデルとして日本でも人気になり、GTIもかなりの数が上陸していて、いまも中古車市場で人気モデルです。

※ ※ ※

 1980年代までの高性能な輸入車は、本国仕様と日本仕様で出力が異なるケースがありました。これは排出ガス規制の関係で、日本仕様には触媒が取り付けられており、本国仕様では付いていなかったためです。

 また、本国仕様はエンジン内部も異なることもあり、カムシャフトのプロフィールや圧縮比が日本の排出ガス規制と燃料(オクタン価)に合わせられ、デチューンされているクルマもあります。

 そのため、当時から違法改造と知ったうえで触媒を外すユーザーや、あえて並行輸入された本国仕様を買う人もいました。

 ほかにも灯火類が本国仕様と日本仕様で異なる場合があり、本国仕様に変更するドレスアップパーツも販売されていたほどです。

 近年はパワーも統一され、外観も大きく変わらないので、懐かしいと思う人も多いのではないでしょうか。

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