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日本で売っても良かったのでは!? 海外専用ボディの日本車5選

くるまのニュース 2020年4月17日 6時10分

国内メーカーは各社とも世界中でクルマを販売していますが、近年はその国のニーズに合った海外専用車を用意することも増えています。そうした海外専用車のなかには、国内とベースが同じでも、ボディ形状が異なるモデルも存在。そこで、国内で販売されなかった海外専用ボディの日本車を5車種ピックアップして紹介します。

■お馴染みの車種だけど国内仕様とはだいぶ違う!?

 国産自動車メーカーが本格的に海外進出を果たしたのは、いまから50年ほど前です。当時は日本で販売していたモデルを現地の法規に合わして改修し、輸出していました。

 その後、日本車が海外で人気となると、現地のニーズに合わせた海外専用モデルを販売するようになります。

 そうしたモデルのなかには海外独自の車種や、一見、国内モデルと同じなのに日本では販売されていないボディタイプのものが存在。

 そこで、国内では販売されなかった海外専用ボディの日本車を5車種ピックアップして紹介します。

●日産「240SX」

見慣れたフロントフェイスなのに何か違う!? 「240SX」

 日本で1988年に発売された日産5代目「シルビア」は、スタイリッシュなデザインと俊敏な走りに加え、好景気の後押しもありヒット作になりました。

 翌年の1989年にはシルビアのシャシを流用したハッチバック「180SX」を市場に投入し、若者向けスポーツカーのラインナップを磐石なものとします。

 そして北米でもこの2台に2.4リッターエンジンを搭載した「240SX」を販売。
ハッチバックのデザインは180SXのままでしたが、クーペモデルのデザインが日本とは異なっていました。

 ボディはシルビアと同様で、フロントフェイスはリトラクタブルヘッドライトの180SXと同じと、さしずめ180SXのノッチバック版といったイメージです。

 北米ではシルビアと180SXは同一車種という設定で、当時、リトラクタブルヘッドライトはスポーツカーの証だったため、統一されたと思われます。

 なお、実際に両車のフロントセクションは互換性があったため、日本でも「ワンビア」や「シルエイティ」といった顔面スワップがおこなわれていました。

●トヨタ「セリカ」

日本でも人気が出そうなフォルムだった「セリカ」のクーペモデル

 1970年にデビューしたトヨタ初代「セリカ」は、滑らかで優美なデザインの2ドアクーペで、高性能なDOHCエンジンを搭載するなど、若者から人気を博します。

 その後もセリカはスポーティカーとして代を重ね、1985年には駆動方式がFFとなった3ドアハッチバックの4代目を発売。

 リトラクタブルヘッドライトと、角を削り取ったような丸みを帯びたボディラインが特徴で、トヨタは「流面系」と呼称する高性能なエンジンとフルタイム4WDシステムを採用した「セリカ GT-FOUR」が話題となります。

 北米でも販売された4代目セリカのボディタイプは、国内と同様のハッチバックに加え、クーペが設定されました。

 これは、セリカの兄弟車である「コロナクーペ」のボディを流用し、フロントセクションはセリカのものが取り付けられたカタチで、見た目の違和感はまったくありません。

 むしろスタイリッシュなデザインとなっており、日本市場で販売されなかったのが、不思議なくらいです。

●ホンダ「アコードクーペ」

スタイリッシュなデザインが印象的な「アコードクーペ」

 ホンダは比較的早い時期から海外生産をおこなってきたメーカーで、1982年に米オハイオ州メアリーズビル工場で2代目「アコード」の生産を開始しています。

 そして、アメリカ国内での嗜好に合わせて開発されたのが、3代目アコードセダンのシャシをベースとした、初代「アコードクーペ」です。

 アコードクーペの外観デザインや装備類のセレクト、脚まわりのチューニングは、現地法人の「ホンダR&Dノースアメリカ」が主体となって担当し、1988年には、左ハンドル仕様のまま日本で発売されました。

 その後1990年には2代目、1994年には3代目へとモデルチェンジされましたが、4代目以降は人気の低迷もあり、日本では販売されていません。

 一方、北米では人気をキープし続け、2012年に7代目が発売されました。9代目アコードセダンをベースにしたミドルクラスのクーペで、大きなボディサイズを活かした伸びやかで流麗なフォルムが特徴です。

 そして、7代目アコードクーペは10代目アコードが発売された後の2018年に生産を終え、現在の北米ラインナップでのクーペモデルは「シビック クーペ」のみとなってしまいました。

■北米専用の2ドアセダンがあった!?

●トヨタ「ランドクルーザー」

かつては日本でもラインナップされた3ドアショートの「ランドクルーザー」

 トヨタの本格クロスカントリー4WD車の一翼を担う「ランドクルーザープラド」は「ランドクルーザー70」のライトデューティ版が先祖で、現行モデルは2009年に発売された。

 日本のみならず海外でも販売されており、欧州では「LAND CRUISER」の名が与えられています。

 ちなみにフラッグシップモデルの「ランドクルーザー200」は「LAND CRUISER V8」です。

 この欧州版ランドクルーザープラドにはふたつのボディタイプが設定されており、ひとつは日本仕様と同じ5ドアワゴンで、もうひとつは3ドアのショートワゴンです。

 かつては日本でも3ドアショートが設定されていましたが、室内の広さや使い勝手の面で5ドアの方が人気だったため、消滅してしまいました。

 海外では3ドアショートの需要があるため、引き続き販売されているようです。

 なお、イギリスでは税制上有利な2シーター商用モデルの「ランドクルーザー コマーシャル」も販売されています。

●トヨタ「エコー」

デザインの無理矢理感が否めない2ドアセダンの「エコー」

 1999年に発売されたトヨタ「ヴィッツ」は、次世代のコンパクトカーとして日本だけでなく欧州でも大ヒットを記録し、同時に派生車であるトールワゴンの「ファンカーゴ」と、4ドアセダンの「プラッツ」がラインナップ。

 このプラッツは北米でも「エコー」という名で販売されており、4ドアだけでなく2ドアセダンも設定されていました。

 日本でもかつては「カローラ」や日産「サニー」に2ドアセダンが設定されていましたが、1980年代には淘汰されています。

 エコーの2ドアモデルはヴィッツの3ドアハッチバックに短いトラックを付けたようなイメージで、お世辞にもスタイリッシュとはいえませんが、当時はそれなりの需要があったということでしょう。

※ ※ ※

 日本市場で販売されている輸入車のなかで、日本専用ボディのクルマはありませんが、法規と関係なく日本用に改修されたモデルは存在しました。

 先代のBMW「3シリーズ」はドアノブが日本用につくられており、全幅が1800mmに抑えられています。

 また、先代の「ミニクロスオーバー」ではルーフ上のアンテナが日本仕様では低くつくられ、全高が1550mmとなっているため多くの機械式駐車場が利用可能です。

 さらに、初代スマート「フォーツー」ではフェンダーを替えて全幅を1475mmとし、軽自動車登録となる「フォーツーK」が販売されました。

 日本市場は諸外国にくらべて巨大とはいえないマーケットですが、それなりの台数が見込めるのであれば、日本専用に改修されるということです。

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