トヨタとスバルが共同開発したスポーツカー「86/BRZ」。その次期型モデルの登場が間近に迫っているようです。2012年の登場時には大きな話題となった両車ですが、次期型ではどのような進化を遂げるのでしょうか。
■ついに次期型86/BRZが動き出す?
2020年3月12日、トヨタは「86」の限定車「ブラックリミテッド」を限定86台で発売すると発表しました。既に商談申し込みは締め切られていますが、トヨタ自身が驚くほどの申し込み数(ウワサでは30倍近く!?)があったと聞きます。
このモデルは、86のご先祖となる「スプリンター・トレノ(AE86型)」のみに設定された特別仕様車「GTアペックス ブラックリミテッド」をオマージュしたものです。
AE86のブラックリミテッドは1986年1月に登場しましたが、次のモデルとなる90系の登場は1987年5月となり、モデル末期に発売されたことになります。
それを現在に置き換えると、このモデルは現行86としての「ファイナルエディション」と考えていいでしょう。この件に関してトヨタの関係者に話を聞くと「察してください(笑)」とコメント。
一方、スバルのドイツ法人は2020年3月13日にBRZの特別仕様車「ファイナルエディション」を同年7月に発売すると発表。ただ、これはドイツ向けとしての最終モデルであり、日本向けには同様のモデルの設定はありません。
そんななか、4月には「BRZの注文受付は7月20日で終了(ただし、生産予定第数を上回る注文があった場合はその時点で受付終了)」と日本でも明らかになりました。
これが何を意味するのかというと、「フルモデルチェンジの時期が迫っている」ということです。現行86が登場した際、当時のチーフエンジニアだった多田哲哉氏は「10年くらいは作る」と語っていましたが、BRZ生産終了のタイミングを考えると、2021年で間違いないでしょう。
ちなみに86はBRZとは異なり、「しかるべきタイミング(トヨタ関係者)」まで生産が続けられますが、これはトヨタの「スポーツカーの継続」へのこだわりなのでしょう。
とはいえ、次期86のカウントダウンは確実に進んでいます。現行86と同じく、トヨタ/スバルの共同開発によって進められています。
以前から水面下で進められていましたが、2019年9月にトヨタとスバルは新たな資本提携の合意の際に「トヨタ86/スバルBRZ 次期モデル共同開発」と正式なアナウンス。
巷では「トヨタとスバルの仲が悪い」という噂話が生まれ、「次期モデルは存在しない?」、「次期モデルは各々で開発」というような情報も流れました。
しかし、どちらの関係者は「むしろその逆ですね。現行モデルを開発していたときの方がギクシャクしていたかも(笑)。現行モデル発売後も長く付き合ってきているので、お互いの考えも理解できていますし、ハッキリ物事をいえる関係になっています」と話していました。
登場まで1年と考えた場合、タイミング的には偽装されたテストカーがスクープされてもおかしくない時期ですが、まだ決定的な証拠を捉えた人はいないようです。
■次期型86/BRZはいつお披露目される?
現行86は「世界のありとあらゆる路面をテストした」というリアルワールド主義を貫きましたが、次期型86もそこは変わらないはずです。
次期型86はキープコンセプトでプラットフォームは現行86の進化版を採用、ボディサイズはほぼ同等、エンジンは排気量アップというような噂を信じるとするならば、現行86の姿を身にまとったテストカーが今も世界の道を走りまわっているはずです。
では、いつお披露目されるのでしょうか。現行モデルは86/BRZ共に2011年の東京モーターショーで正式発表されましたが、次期型は別のようです。
86はその直前にニュルブルクリンク耐久シリーズ(VLN)に参戦しています。トヨタはその流れを踏襲するのは間違いないでしょう。
正式発表は2021年の東京オートサロンではないでしょうか。2019年はGRスープラ、2020年はGRヤリスがお披露目されていますが、2021年は86という流れが自然というわけです。
ちなみに現行86はGRカンパニー発足前に登場したモデルなので立場が曖昧でしたが、次期型は正式にGRブランドのモデルとなります。
BRZはどうでしょうか。2020年後半には新型「レヴォーグ」が正式発表されるので、そことのバッティングは避けたい所ですが、86とはできるだけタイミングは合わせたいという思惑を考えると、海外ショーを活用するのではないかと予想しています。
実は現行BRZは正式発表前に開催された2011年のロサンゼルスモーターショーに「BRZコンセプトSTI」というショーカーをお披露目していますが、今回はそのままロサンゼルスモーターショーを活用するかもしれません。
とはいえ、新型コロナウイルスの問題でスケジュール通りに進むかは解りませんが、着実に世代交代のカウントダウンは刻まれているようです。