2020年4月の販売台数が発表され、新型コロナウイルスの影響が出始めていることが判明しました。しかし、販売台数ランキングでは販売台数の明暗が分かれたモデルがいくつかあります。それぞれの要因とはなんなのでしょうか。
■新車販売の明暗はファミリー層の影響が大きい?
例年、1月から3月は正月セールや年度末の決算セールなどの販売戦略によって、クルマが多く売れる時期です。しかしその反動で新年度最初の4月はあまり販売台数が伸びない傾向にあります。
また、今年は2月下旬から新型コロナウイルスによって、販売店から客足が遠退いたほか、経済的な不安要素から買い控えする人も増え、新車販売に影響が出ているようです。そんな4月の動向にはどのような変化があったのでしょうか。
2020年5月11日に、日本自動車販売連合会は4月の販売台数を発表。同月の登録車販売台数ランキングでは、トヨタ「ヤリス」が1万119台を記録。なお、1万台を超えたのはヤリスのみで、2位以下は9000台を切る結果となりました。
続いて、2位ホンダ「フィット」(8977台)、3位トヨタ「シエンタ」(6982台)、4位トヨタ「カローラ」(6679台)、5位ホンダ「フリード」(6030台)、6位トヨタ「アルファード」(5739台)、7位トヨタ「ライズ」(5545台)、8位トヨタ「ルーミー」(5104台)、9位トヨタ「プリウス」(4669台)、10位トヨタ「アクア」(4551台)という結果です。
また、2019年4月と比較する前年比に着目するとある傾向が見えてきます。基本的に、フルモデルチェンジやマイナーチェンジからある程度時間が経っているモデルであれば、前年比7割以上の販売台数を維持していれば好調だといえます。
それを基準とすると、これまでランキング上位に位置していたプリウス(前年比42.2%)、アクア(58.6%)、日産「ノート」(51.1%)の販売が落ち込んでいることがわかります。
これらはハイブリッド色が強いモデルとなり、同じくハイブリッドを設定する新型モデルのヤリスやフィット、トヨタ「カローラ/カローラツーリングワゴン」などの登場によって、販売台数が低迷したのが大きな要因です。
対して、トヨタ「ヴォクシー」(65.6%)、トヨタ「タンク」(68.8%)、トヨタ「ノア」(63.5%)、日産「セレナ」(50.7%)、スズキ「ソリオ」(57.6%)などは、比較的に堅調な販売台数を維持していたモデルでした。
しかし、前年比では軒並み7割を切っており、セレナでは前年比約5割まで落ち込んでいます。これらのモデルに共通するのが、ファミリー層に支持されていたことが挙げられます。
では、実際の販売店ではどのような状況なのでしょうか。トヨタの販売店スタッフは次のように話します。
「3月上旬くらいから新型コロナの影響によって、徐々に影響が出ています。とくに、顕著なのが30代から40代のファミリー層が減ったことが挙げられます。
そのため、ファミリー層から高い支持を受けているルーミー/タンクやノア/ヴォクシーなどの販売に影響しているのだと思います。
一方で、同じミニバンのシエンタやアルファードは堅調なようでしたが、シエンタの場合は2列/3列とファミリー層以外に趣味用に購入する人や高齢層からも支持されているので、上記のモデルのような影響は無かったのかもしれません。また、アルファードはこのところの急速な人気向上などが影響しているのではないでしょうか。
ただし、トヨタ車全体では販売台数が落ち込んでいるのは確かなため、登録車に限っていえば5月の販売台数の方が4月よりも落ち込むと予想しています」
一方、主力モデルのノートとセレナが共に前年比5割となった日産の販売店スタッフは次のように話します。
「ノートは、同じコンパクトカージャンルで競合となるヤリスやフィットが出てきた影響があると思います。セレナは、ファミリー層から好評なモデルのため、新型コロナによるファミリー層の買い控えが要因ではないでしょうか。
実際に、セレナのe-POWERを検討されていたお客さまは、新型コロナによる経済不安によって、購入を保留されました」
※ ※ ※
また、どちらの販売店スタッフも「4月、5月は世の中的にも厳しい時期なので、辛抱が必要」としつつ、「6月には新型モデルが登場するので、そこで台数を見込みたい」と説明しています。
トヨタは、新型「ハリアー」を2020年6月に発売することを発表しており、販売店によれば6月17日には発売されるようです。
日産も正式な発表は出ていませんが、新型SUVとして「キックス」を6月に登場させる予定だといい、両社ともに新型コロナの影響を挽回するモデルが控えています。
■2020年はどんなモデルが登場する!?
新型コロナウイルスの影響がつづくなか、2020年に登場が控えているモデルが多くあります。どのようなモデルが出てくるでしょうか。
先日、新型ハリアーを発表したトヨタからは、既に日本で発売を予告しているモデルがいくつかあります。新型モデルとしては、ヤリスの派生モデルとなる「GRヤリス」や「ヤリス クロス」が2020年秋。2019年に開催された東京モーターショーでお披露目された新型「ミライ」は2020年末となっています。
また、2019年に復活して人気急上昇の「RAV4」にPHV車が2020年夏頃に追加される見込みで、北米では「RAV4プライム」という車名です。
日産では、前述のキックス以外に東京モーターショー2019でお披露目された電気自動車「アリア」や新しいe-POWERを搭載してフルモデルチェンジするノートの登場が噂されています。
ホンダからも小型電気自動車「ホンダe」が2020年内に発売される予定で、2020年夏には「シビックタイプR」がマイナーチェンジする予定です。
スバルは、2020年秋頃に新型「レヴォーグ」を投入予定。ダイハツでは、話題の軽SUVともいえる「タフト」を6月に発売予定とし、既に先行受注を開始しています。
また、三菱では「エクリプスクロスPHEV」を2020年内に追加するという噂もあるようです。スズキが「アルト」の新型モデルを早くて2020年内に登場させるともいわれています。
このようにさまざまなモデルが登場を控えていますが、新型コロナの影響によっては、販売時期にも大きな変更があるかもしれません。