近年、世界的に見てもクルマは大型化し、先進安全技術などの装備によって価格も上がっています。一方、数は少なくなっていますが、コンパクトかつ安価なモデルも存在。そこで、100万円台で手に入る、乗って楽しいモデルを3車種ピックアップして紹介します。
■まだまだあった! 100万円台から買えるスポーティなクルマ
近年、日本のみならず海外でもクルマは大型化し、先進安全技術などの導入によって価格も上昇傾向にあります。
しかし、コンパクトかつ安価なクルマがなくなったわけではなく、数少ないですがホットなモデルも存在。
そこで、100万円台で手に入るドライビングプレジャー満載のモデルを3車種ピックアップして紹介します。
●日産「マーチ NISMO S」
日産「マーチ」は初代に「マーチ スーパーターボ」、先代では「マーチ 12SR」と高性能モデルがありましたが、現行モデルが発売された当初はスポーティなモデルは存在していませんでした。
しかし、2013年に追加された「マーチ NISMO S」の登場により、待望のスポーティモデルが復活。
マーチ NISMO Sには専用の1.5リッター自然吸気エンジンと5速MTが搭載され、最高出力は116馬力と決して高出力ではありませんが、1010kgと軽量なボディには十分なパワーで、軽快な走りを実現しています。
また、日産車を知り尽くした技術集団であるニスモのテクノロジーによって、剛性アップされたシャシに専用チューニングされたサスペンション、専用にセッティングされたパワーステアリング、エアロパーツなどが装備されるなど、NISMOシリーズにふさわしい内容です。
内装もスポーツシートや、本革とアルカンターラを組み合わせた小径ハンドルが採用され、スポーティさを演出。
もちろん、ベースの「マーチ」と変わらない使い勝手のよいコンパクトカーですから、週末には走りを楽しみながら、日常の足としても最適です。
マーチ NISMO Sの価格は187万6600円(消費税込、以下同様)です。なお、公式サイトではすでに生産調整がアナウンスされており、次期型は未定なため、新車でマーチ NISMO Sを手に入れたいならば事前の問合せが必須です。
●ルノー「トゥインゴS」
ルノーのコンパクトカー「トゥインゴ」は、かつてスポーティな「トゥインゴGT」をラインナップしていました。しかし、2019年には販売を終え、MTモデルの「トゥインゴ ZEN MT」も消滅。
ところが、2020年2月にベーシックなグレードとして「トゥインゴS」が発売され、MTモデルが復活しました。
ボディサイズは全長3645mm×全幅1650mm×全高1545mmと軽自動車よりひと回り大きいくらいのコンパクトさで、車重は950kgと軽量です。
車体のリアに搭載されるエンジンは、1リッター直列3気筒自然吸気で最高出力は73馬力とローパワーですが、軽量な車体と5速MTを駆使した走りは、パワー以上のドライビングプレジャーが味わえます。
また、クルーズコントロールやApple CarPlay/Android Autoと連携できるディスプレイオーディオ、緊急時ブレーキアシストを搭載するなど装備も充実。
価格は179万円と、国産車と競合する戦略的な価格設定です。
■日本が誇る、唯一無二の軽ホットハッチとは!?
●スズキ「アルトワークス」
1980年代の初頭から軽自動車にもターボ化の波が押し寄せ、各社とも性能を競い合うようになりました。そのトップに君臨していたのがスズキ初代「アルトワークス」です。
軽自動車が550ccの時代に64馬力を誇り、後の馬力自主規制につながったのは有名な話ですが、このアルトワークスも時代の流れのなかで一旦販売を終了してしまいました。
しかし、2015年にアルトワークスが復活を遂げ、最高出力64馬力に変わりありませんが専用のターボチャージャーを搭載し、「ワークス」伝統の4WDモデルも設定されています。
また、ボディの軽量化技術に定評があるスズキですが、アルトワークスは670kg(5速MT、2WD)を達成し、専用チューニングされたサスペンションやブレーキと相まって、走る・曲がる・止まるの各性能をすべて高めています。
トランスミッションは5速MTに加え、パドルシフトを備えて手軽にスポーツドライビングが楽しめるスズキ独自のAMT、5AGS(オートギアシフト)もラインナップ。
アルトワークスの価格は5速MT車が153万7800円から、5AGS車が157万6300円からです。
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現在、日本の新車販売におけるMT車比率は2%以下といわれており、ここ20年ほどでMT車をラインナップするモデルが急激に減少しました。
一方で、2020年に発売されたトヨタ「ヤリス」には6速MT車がラインナップされ、「カローラ」シリーズや「C-HR」などトヨタはMT車を拡充。
マツダも「CX-8」以外のラインナップ全車(自社生産)にMTを設定するなど、まるで時代の流れに反するかのようです。
性能的にMTは時代遅れの産物かもしれませんが、やはりドライビングプレジャーという点では欠かせない存在です。
いまも各メーカーが販売台数で苦戦しながらもMTを設定し続けるのは 、素晴らしいことではないでしょうか。