2020年6月17日に発売予定となるトヨタの新型「ハリアー」。現行モデルのエントリーグレードは約300万円からでしたが、新型では299万円から設定されるといいます。なぜ、安全&快適機能や性能が向上しているにも関わらず、エントリーグレードの値下げを実施したのでしょうか。
■新型ハリアーの価格やオプションはどうなる?
まだ正式に発表されていないトヨタの新型「ハリアー」ながら、すでに人気赤丸急上昇中です。なぜ人気なのでしょうか。
スタイリッシュなデザインはもちろん、昨今、フルモデルチェンジで大幅値上げが続出するなか、ほんの僅かながら現行モデルより安価なプライスを付けてきたからだと思います。事前に流れていた情報では30万円程度値上がりすると思われていたのだった。
なぜ新世代のクルマは値上がりするのでしょうか。
マツダは、「マツダ3」を発売した際に大幅値上げをした理由を「コネクテッドや衝突被害軽減ブレーキなど新しいニーズを取り入れなければならない。安くない投資のため、必然的に値上がりする」と説明。
新型ハリアーを見ると、確かに機能は多数向上しています。トヨタが全車標準装備を目指すコネクテッド(事故時の緊急対応機能も含む)は当然ながら付くようです。
衝突被害軽減ブレーキ関係など安全装備のバージョンアップもされています。夜の歩行者から自転車まで感知出来る最新世代になっているほか、バック時に障害物を検知したら自動でブレーキ掛ける機能まで加わっています。
「新型ハリアーで事故を起こすのは難しくなった」と思えるほど。そのため、安全装備の充実だけで値上げしてもおかしくないほどです。
さらにApple CarPlayとAndroid Autoと接続が可能な8インチ液晶が標準装備(3万円の上乗せでフルセグTVも)されるため、高価な純正ナビを付けなくても良くなりました。
これだけで実質的に10万円以上の値下げだと思います(ちなみに12.3インチの大型ディスプレーもオプション設定されるが、これを選ぶなら標準装備の上級グレードを)。
決定的なのが車両本体のスペックでしょう。普通、ボディサイズの大型化やエンジンパワーの向上は価格上昇に直結します。
新型ハリアーは、新しい世代のプラットフォーム(TNGA-K)を採用。従来型よりひと回り大きくなり、ベースグレードに搭載される2リッターエンジンのパワーだって10%以上向上します(燃費は15%から20%良くなる)。
■トヨタは「攻める戦略」に変わった?
新型ハリアーは、数々のバージョアップを受けていることを考えれば、事前に流れた30万円の値上がり情報もおかしくなかったと思いますが、価格据え置きとしています。
このあたりにトヨタの攻める戦略が見えてきます。というのも今までのハリアーは、トヨタのなかで割と高価なミドルサイズを主として扱ってきたトヨペット店の扱いでした。
しかし、トヨタの販売店改革で新型ハリアーは全店扱いになり、比較的若いユーザー層の多いネッツ店や、カローラ級の大衆車種を得意としてきたカローラ店でも販売されるようになります。
新型ハリアーのスターティングプライスを見ると、あえて300万円を割り込む299万円にしたようです。ネッツ店やカローラ店でも十分カバー出来る雰囲気。
ハリアーは若い人たちからも要望があったが、値段がネックになっていたというのをしっかりリサーチした結果もあるのでしょう。
同じトヨタの「RAV4」はアクティブな中高年層が好み、スタイリッシュさを前面に出すSUVのハリアーは若い人たちの憧れになるかもしれません。
またトヨタは、高くなる一方の車両価格に危機感があるのだと思います。5年前までのトヨタ車を見ると、同じ価格のライバル車より少し高かった気がしており、値引きで調整している感じでした。
けれど昨年あたりからライバルが値上げするなか、価格据え置き戦略を取っています。結果的にトヨタ車はドンドン割安感出てきた。そろそろライバルメーカーも本気になった方がいいかもしれません。