2018年11月に登場した、レクサスのSUVのなかでもっともコンパクトなモデルが「UX」だ。2019年度(2019年4月から2020年3月)の登録台数を見ると「UX250h」が1万2551台と46位に入り、レクサスとしてはベストセラーとなっている。そんなUXとライバルを比較した。
■レクサスSUVラインナップでもっともコンパクトなUX
レクサス「UX」は、全長4495mm×全幅1840mm×全高1540mm、ホイールベースは2640mmのコンパクトSUVだ。
2018年3月のジュネーブショーでワールドプレミアし、日本で発売されたのは2018年11月27日となる。レクサスのSUVとしては全長5080mmのLX、全長4890mmのRX、全長4640mmのNXというラインナップがあるなか、UXはもっともコンパクトな末弟という立ち位置になる。
ラインナップとしては、174ps・209Nmを発生する2リッター直4エンジンにCVTを組み合わせ、前輪駆動の「UX200」と、146ps・188Nmを発生する2リッター直4エンジンに109ps・202Nmを発生するフロントモーターのFFモデルと、それに7ps・55Nmのリアモーターを搭載した4WDモデルの「UX250h」の2グレードがある。
このうちUX250hは、日本自動車販売協会連合会(自販連)の2019年度(2019年4月から2020年3月)のデータでは1万2551台を販売、乗用車ブランド通称別順位では46位と、レクサスブランドとしては唯一ベスト50に入っている。
車両価格は「UX200」が397万2222円から482万7778円、「UX250h」が432万8704円から544万9074円になっている。
UXの特徴としては、ハイブリッドモデルの燃費の良さがあげられる。UX250hのFFモデルはWLTCモードで22.8km/h、4WDモデルで21.6km/hと、ほかのプレミアムSUVを圧倒するエコ性能を発揮する。
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そんなレクサスUXのライバル車は、プレミアムモデルだけに輸入車になりそうだ。ライバル車を紹介していこう。
●メルセデス・ベンツGLA
レクサスUXの最大のライバルは、メルセデス・ベンツ「GLA」だろう。
GLAは全長4430mm×全幅1805mm×全高1505mmと、UXと比べて65mm短く、35mm幅が狭く、35mm低い。ホイールベースは2700mmと60mm長くなる。
日本では2014年5月に登場したモデルで、122ps・200Nmを発生する1.6リッター直4ターボ+7速ATで前輪駆動の「GLA180」、184ps・300Nmを発生する2リッター直4ターボ+7速DCTで4輪駆動の「GLA220 4マティック」、211ps・350Nmを発生する2リッター直4ターボ+7速DCTで4輪駆動の「GLA250 4マティック」、そして381ps・475Nmを発生する2リッター直4ターボ+7速DCTで4輪駆動のスポーツモデル「メルセデスAMG GLA45 4マティック」の4グレードがある。
車両価格は422万円(GLA180)から543万円(GLA250 4マティック)と、UXに近い価格設定となる。
GLAの特徴は、FFベースながらメルセデス・ベンツらしいその重厚な走りにあるだろう。車両価格的にもUXと同等になる。
ただしGLAはモデル末期で、この2020年4月には欧州で2代目となるGLAが登場している。
新型GLAのボディサイズは全長4410×全幅1834mm×全高1611mm、ホイールベースは2729mm。これは従来モデルと比較すると全長は14mm短くなり、全幅は30mm広く、全高は104mm高くなっている。ホイールベースも30mm延長されている。
また欧州では新型GLAとGLCの間に、新たに「GLB」というモデルも登場、こちらも近いうちに日本に導入される予定だ。
●BMW X1
BMW「X1」は、2015年10月に日本で登場したコンパクトSUVで、現行型で2代目となる。
BMWのXシリーズ(SUV)のなかではもっともコンパクトなモデルで、先代はFRベースだったが現行型からFFベースに変更されている。
X1は全長4455mm×全幅1820mm×全高1610mmと、UXと比べて40mm短く、20mm幅が狭く、70mm背が高い。ホイールベースは2670mmと、UXと比較すると30mm長い。
駆動方式はFFと4WDがあり、搭載エンジンは140ps・220Nmを発生する1.5リッター直3ターボ、192ps・280Nmを発生する2リッター直4ターボ、231ps・350Nmを発生する2リッター直4ターボ、それに150ps・350Nmを発生する2リッター直4ディーゼルターボと、ガソリン3種類、ディーゼル1種類を用意する。
X1の特徴は、このクリーンディーゼルエンジン搭載車が選べることだろう。燃費はWLTCモードで15.3km/hとなる。FF化されたことで、先代に比べて車内空間が広くなっているのもメリットだ。
車両価格は440万円(X1 sDrive18i)から653万円(X1 xDrive25i M Sport)になる。
ただしX1の全高が1610mmと、都内の立体駐車場では入らない場所もあるのがUXと比較してのマイナス要素かもしれない。
■UXのライバルは、ドイツ・プレミアムスリーのモデルだけではない
●アウディ「Q3」
アウディ「Q3」は、アウディのコンパクトSUVで、全長4400mm×1830mm×全高1595mm、ホイールベースは2605mm。UXと比較すると全長で95mm短く、全幅は10mm狭く、全高は55mm高い。ホイールベースは35mm短い。
日本自動車輸入組合(JAIA)の統計による、2019年度(2019年4月から2020年3月)の輸入車モデル別新車登録台数を見てみると、Q3は4660台と、17位に登場するほど人気があるが、日本での登場は2012年5月とすでにロングセラーモデルとなっている。
欧州では2018年11月に2代目となる新型Q3が登場、さらに2019年9月には新たなモデル「Q3スポーツバック」も登場している。この2モデルは2020年内に日本で登場する予定だ。
新型Q3のサイズは、全長4484mm×全幅1849mm×全高1585mm、ホイールベースは2680mm、新型Q3スポーツバックは全長4500mm×全幅1843mm×全高1567mm、ホイールベースは2680mmとなる。
新型Q3は、150ps・250Nmを発生する1.5リッター直4ターボ(35TFSI)、190ps・320Nmを発生する2リッター直4ターボ(40TFSIクワトロ)、230ps・350Nmを発生する2リッター直4ターボ(45TFSIクワトロ)、150ps・340Nmを発生する2リッター直4ディーゼルターボ(35TDI)、190ps・400Nmを発生する2リッター直4ディーゼルターボ(40TDIクワトロ)と、3種類のガソリン、2種類のディーゼルエンジンを用意している。
●フォルクスワーゲン「ティグアン」
レクサスやドイツ御三家のようなプレミアムブランドではないが、質実剛健なクルマづくりでファンも多いのがフォルクスワーゲン(VW)だ。
そんなVWのSUVラインナップで、UXとサイズ的にライバルとなるのが「ティグアン」だろう。
ティグアンは全長4500mm×全幅1840mm×全高1675mm、ホイールベースは2675mmと、UXよりも全長は5mm長く、全幅は同じ、全高は135mm高く、ホイールベースは35mm長くなる。サイズ的には同等だが、おもな立体駐車場に駐車できるUXに対し、ティグアンは高さに制限が出る。
ティグアンには150ps・250Nmを発生する1.4リッター直4ターボ+6速DSG(DCT)と、150ps・340Nmを発生する2リッター直4ディーゼルターボ+7速DSGがあるが、このうちディーゼルモデルのみ4モーション(4WD)となり、日本ではこちらディーゼルモデルの人気が圧倒的になっている。ちなみに2019年度の輸入車モデル別新車登録台数順位は19位で、4548台を登録している。
車両価格は408万9000円(TSIコンフォートライン)から550万9000円(TDI 4モーション Rライン)となる。
●ジープ「コンパス」「チェロキー」
アメリカンSUVの代表格といえばジープだ。日本では10年連続で台数を伸ばし、いま数少ない勝ち組の輸入ブランドとして、存在感を高めている。
サイズ的にUXの直接のライバルとなるのは、コンパクトSUVの「コンパス」になる。コンパスは全長4400mm×全幅1810mm×全高1640mm、ホイールベースは2635mmで、UXよりも全長で95mm短く、30mm車幅が狭く、100mm背が高い。
駆動方式はFF(スポーツ・ロンジチュード)と4WD(リミテッド)があり、搭載エンジンは175ps・229Nmを発生する2.4リッター直4エンジン。FFには6速ATが、4WDには9速ATが組み合わされる。
車両価格は329万円(スポーツ)から427万円(リミテッド)だ。
ただしUXの価格帯を考えると、ジープブランドではもうひとつ車格が上の「チェロキー」も候補に上がってくる。
チェロキーは全長4665mm×全幅1860mm(トレイルホークは1905mm)×全高1700mmから1740mm、ホイールベースは2720mmから2740mmと、UXよりもひと回り大きくなる。
駆動方式は4WDのみで、トランスミッションは9速AT。ロンジチュードは177ps・229Nmを発生する2.4リッター直4、リミテッドとトレイルホークは272ps・400Nmを発生する2リッター直4ターボを搭載する。
車両価格は449万円(ロンジチュード)から499万円(トレイルホーク)。UXと同じくらいの価格帯で、ひとクラス上のサイズが手に入る。とくに最上級グレード、トレイルホークは、ジープらしく悪路走破性も高い。
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扱いやすいサイズのSUVとして、日本でも人気が高いレクサスUX。2019年11月に広州モーターショーで発表したレクサス初のEV(電気自動車)「UX300e」は2020年に中国や欧州などで順次発売、今後は2021年前半に日本でも登場する予定となっている。
世界中で大きくなるコンパクトSUV市場。UXの存在感もますます大きくなっている。