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もはや絶滅は避けられない状況!? 高回転型エンジン車5選

くるまのニュース 2020年6月4日 6時10分

現在、世界中のメーカーは電動化とともにターボエンジン化へとシフトしています。とくに顕著なのが高性能車で、ターボは必須アイテムです。そこで、いまでは数少ない高回転まで回る自然吸気エンジンを搭載したクルマを5車種ピックアップして紹介します。

■もう新車では買えなくなってしまうかも!? 高回転型エンジン車を振り返る

 現在、世界中のメーカーは燃費規制の強化に向け、電動化とともにターボエンジン化へ舵をとっています。

 とくにターボエンジンは排気量を小さくした「ダウンサイジングターボ」が主流で、大型セダンからコンパクトカーまで爆発的に普及しました。

 一方、数が激減してしまったのが高回転まで回る自然吸気のエンジンで、もはや絶滅寸前です。

 そこで、いまでは数少ない高回転型自然吸気エンジンを搭載したクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「S2000」

高性能FRスポーツとして、いまも人気が衰えていない「S2000」

 日本はF1を始めモータースポーツに参戦することで、その技術を市販車にフィードバックしてきました。

 自動車製造が始まった黎明期から、「Sシリーズ」など高回転かつ高出力なエンジンを多数生み出してきたこともあり、一時期のホンダは「エンジン屋」というイメージが定着。

 そして、ホンダが誇る数々の高性能自然吸気エンジンのなかでも集大成ともいえるのが、1999年に発売されたオープンFRスポーツ「S2000」に搭載された「F20C型」です。

 S2000は「S800」以来となる29年ぶりのFR車で、シャシからエンジンまですべてが新開発され、ホンダ創立50周年を祝うメモリアルカーでもありました。

 搭載された2リッター直列4気筒DOHC VTECエンジンは、最高出力250馬力を8300rpmで発揮し、レブリミットは9000rpmに設定されるなど、市販車の自然吸気エンジンとしては驚異的な高回転・高出力を実現。

 2005年に実施されたマイナーチェンジでエンジンは2.2リッターに排気量がアップされ、乗りやすさを考慮した結果、初期型ほどの高回転エンジンではなくなってしまいましたが、それでも十分にパワフルで、国内外のホンダファンを魅了し、2009年に生産を終えました。

●トヨタ「セリカ」

コーナリング性能も秀でていたFFスポーツの「セリカ」

 トヨタ初の量産スペシャルティカーとして1970年にデビューした「セリカ」は、代を重ねるたびに高性能化され、なかでもターボエンジンを搭載した4WDカー「GT-FOUR」がセリカの代名詞的存在になります。

 そして、1999年に7代目が発売されると、6代目の丸みを帯びたスタイルから、シャープなプレスラインが特徴の精悍なボディデザインに変わるとともに、全グレードが2WDの自然吸気エンジンへと一新されました。

 トップグレードの「SS-II」では最高出力190馬力を7600rpmで発揮する1.8リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載。ターボエンジンほどのパワーではありませんが、アクセルの反応がリニアで、高回転まで気持ちよく回るフィーリングは、高性能自然吸気エンジンならではのものでした。

 また、軽量なFF車に生まれ変わったことからハンドリング性能も向上。とくに北米では「コーナリングマシン」として高く評価されました。

 しかし、日本では3ドアクーペのニーズの衰退から販売台数は低迷し、2006年に販売を終了。36年間に渡るセリカの歴史に幕を閉じました。

●マツダ「RX-8」

現時点で最後のロータリーエンジン車となった「RX-8」

 2002年にマツダは、1978年から続いた「RX-7」シリーズの生産を終了。ここでロータリーエンジンの系譜が途絶えてしまいましたが、翌2003年に新しいコンセプトのスポーツカー「RX-8」を発売しました。

 搭載されたエンジンは654cc×2ローターの新開発ロータリーエンジン「RENESIS(レネシス)」で、スポーティなグレードの「TYPE-S」6MT車では最高出力250馬力を8500rpmで発揮し、レブリミットは9000rpmという高回転型ユニットです。

 ターボエンジンに比べてドラマチックなトルクの盛り上がりはありませんが、ロータリーエンジン独特の甲高い排気音とともに、どこまでも回転上昇を続けていきそうな自然吸気ならではのフィーリングが特徴となっていました。

 また、エンジンだけでなく、車体の重量配分を50対50とし、サスペンションをフロントはダブルウイッシュボーン、リアをマルチリンクとするなど、4ドア4シーターでありながら驚異的な旋回性能を有する本格スポーツカーに仕上がっていました。

 発売からRX-8は改良を続け、2011年には最終型RX-7と同様に「スピリットR」と名付けられた限定車が登場しましたが、2012年に生産を終了。ここで再びロータリーエンジンの系譜が途絶えてしまいました。

■激レアな現役の高回転エンジン車とは!?

●日産「フェアレディZ NISMO」

いまも性能は第一級の日産を代表するFRスポーツ「フェアレディZ NISMO」

 1969年に発売された日産を代表するスポーツカー「フェアレディZ」は、50年もの歴史を刻み、一貫して6気筒エンジンを搭載するFR車という伝統を守り続けています。

 そして、2008年に登場した現行モデルの6代目は、初代に原点回帰するコンセプトが話題となりました。

 発売後にも進化の歩みは止まらず、2013年には高性能グレードの「フェアレディZ NISMO」が登場します。

 フェアレディZ NISMOに搭載されたエンジンは3.7リッターV型6気筒DOHCで、排気系とECUのチューニングにより、標準仕様を19馬力上まわる最高出力355馬力を7400rpmで発揮。

 大排気量自然吸気エンジンならではの鋭いレスポンスと迫力ある加速感に、一層の磨きがかかっています。

 また、エンジンパワーの増大に伴って、ボディ剛性の向上と専用サスペンションなどの装備で、コーナリング性能も向上。

 なお、もうすぐ次期型フェアレディZの登場が濃厚なため、自然吸気モデルは6代目で最後となるかもしれません。

 フェアレディZ NISMOの価格(消費税込、以下同様)は640万9700円からです。

●ポルシェ「718ケイマン GT4」

サーキット走行を意識したピュアスポーツの「718ケイマン GT4」

 ポルシェは「911」よりも安価なエントリーモデルとして、1996年に「ボクスター」を発売。オープン2シーターでリアミッドシップに水平対向6気筒を搭載するピュアスポーツカーです。

 一方で、より走りを重視する層にはクローズドボディが望ましいという声もあり、そこで2005年に、2代目ボクスターのシャシやエンジン、足回りを共有するクーペボディの「ケイマン」を発売。

 そして、現行型は「718ケイマン」に名前が改められ2016年に登場。標準仕様には2リッター水平対向4気筒DOHCターボエンジンが搭載されます。

 その後、グレード展開を拡大し、2019年にサーキット走行を視野に入れて開発された高性能モデル「718ケイマン GT4」が登場。

 718ケイマン GT4には4リッター水平対向6気筒DOHCエンジンが搭載され、最高出力420馬力を7600rpmで絞り出します。

 組み合わされるトランスミッションは6速MTのみとされ、シャシ、足まわり、ブレーキも専用にチューニングされており、卓越した運動性能を発揮。

 現在、最新モデルの911はすべてターボエンジンを搭載しているため、ポルシェでも自然吸気エンジン車は貴重な存在です。

 718ケイマン GT4の価格は1259万9074円。なお、同じエンジンを搭載する「718スパイダー」(1237万5000円)もラインナップされています。

※ ※ ※

 エコな観点からターボエンジンの普及は拡大しましたが、やはりターボといえば大出力なところが魅力的です。しかし、世界的な潮流では燃費の問題もあって、大出力不要論もあります。

 そうなると、自然吸気エンジンが見直されても良いはずですが、いまさら新開発されることは、まずありません。

 日本なら1.5リッターから2リッターの高性能自然吸気エンジンの復活が望まれますが、夢に終わるでしょう。

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