コロナ禍により全国各地でウーバーイーツの加盟店・利用者が増えるなか、配達員が首都高を自転車で走るウーバーイーツスタッフの姿がSNSで話題となりました。自転車・歩行者の高速道路への進入に関して、どのような問題が発生しているのでしょうか。
■ウーバーイーツ配達員が自転車で首都高に進入!どんな違反?
全国各地でウーバーイーツの加盟店舗が増えるなか、東京都内では配達員が首都高を自転車で走る姿がSNSで話題となりました。なぜ、彼は首都高へ進入してしまったのでしょうか。
コロナ禍により、現在もなお飲食のデリバリーサービスが盛んになるなか、街中で飲食宅配サービス「ウーバーイーツ」の姿を見かける機会が多くなりました。近年、ウーバーイーツに加盟する飲食店は増加傾向にあり、2020年3月末時点で2万店舗以上に達するといいます。
しかし、人気が高まる一方で、配達員による交通事故や交通ルール違反が相次いで報告されているようです。なかでも、最近SNSで話題になりテレビでも取り上げられるほど注目されたのが、首都高を自転車で走行するウーバーイーツ配達員の姿です。事件の発覚は、Twitterによる動画投稿でした。
2020年5月12日正午過ぎ、東京都新宿区付近の首都高4号上り線をウーバーイーツのバッグを背負った自転車が走行し、その様子をドライバーがTwitterに投稿したところ大きな話題となりました。
翌13日、世田谷区の交番にて「動画に映っていた配達員と似た人物がいる」と通報が入り、警察官が男性に事情を聞くと、首都高を走行した張本人であることが発覚。経緯について配達員の男性は「時間短縮のためだった」と話しています。
警察側は、重大事故に発展しかねないと判断したため、運営会社側に安全対策の強化を求める方針を示しているようです。
では、こうした事件について、首都高はどのように受け止めているのでしょうか。首都高速道路株式会社の担当者は、次のように話します。
「首都高速道路は、道路法第48条の2第1項の規定に基づく自動車専用道路であり、人、自転車及び125cc以下の二輪車の立ち入りは認められていません。
今回の立ち入りは違法な行為であるだけでなく、悲惨な事故につながる可能性が高い大変危険な行為のため、絶対におやめいただきたいと考えています。
なお、歩行者や自転車等の立ち入りを見かけましたら、110番通報のほか道路緊急ダイヤル『#9910』へ通報をお願い致します」
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自らが違法行為をしないだけでなく、見かけた際は周囲の安全のために速やかな通報を心がけましょう。また、こうした立ち入りに関する問題について、道路交通法第8条では以下ように記載されています。
「歩行者又は車両等は、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行してはならない」
罰則内容について、これに違反した「車両等の運転者」は、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられるとしています。
なお、道路交通法の車両区分によると、ここで表現される「車両等」には自転車も含まれており、罰則対象となります。
■首都高には年間400件の立ち入り事案が発生!? その理由とは?
ウーバーイーツの事例のみならず、自転車や歩行者による首都高への進入が相次いで起きています。
首都高速道路株式会社によると、「高齢者または酔っぱらいが一般道路と間違える」、「自宅に帰る道のりを料金所に尋ねるため」、「未払いの料金を支払うため」、といった理由で高速道路への進入があるとのことです。
また、道路標識の見落としや酔っぱらいによる進入は、外国人に多いといったデータも発表されています。
こうした高速道路への立ち入りが増える背景について、前出の首都高速道路株式会社の担当者は、次のように話します。
「歩行者、自転車、125cc以下の二輪車が首都高に立ち入って保護される事案が年間400件から450件程度発生しています。
原因としてナビアプリの自動車モードを使用し誤って首都高に立ち入るケースや、外国籍や酒酔いの人などの立ち入りを確認しています」
実際に、自転車や125cc以下の二輪自動車による進入者の約3割が、ナビアプリによる進入であることも分かっています。ナビアプリの画面に集中するあまり、道路交通標識の案内を見落としてしまったと考えられるでしょう。
では、こうした問題を防ぐため、具体的にどのような対策をおこなっているのでしょうか。同担当者は、次のように話します。
「現在、各出入口共通の注意喚起対策として、大型の看板や立入禁止看板などを設置しております。
とくに、立ち入り実績のあった出入口や構造上立ち入りやすいと思われる出入口においては、現地警告機能強化対策として、黄色カラー舗装やセンサーを用いた検知・警告システムを導入しており、今後も継続的に対策を行っていく予定です。
また、今後、料金所ブース内の収受員にもいち早く立ち入りの発生を知らせる発報機能を一部料金所にて導入していく予定です。
さらに、ソフト対策として従来実施してきたナビアプリメーカーへの機能改修の働きかけや、ホームページやTwitterなどのSNSを活用した広報、外国籍の人向けの啓発活動もさらに強化していく必要があると考えています」
ほかにも、国土交通省では相次ぐ高速道路への立ち入り問題について、3つの対策を導入しています。
ひとつ目は、一般街路にラバーボールを設置することで、物理的な進入を防ぐ方法です。ふたつ目に、注意喚起を呼びかける大型の看板や横断幕を設置することにより、高速道路の出入り口での視認性を向上しました。
最後に、監視カメラを設置し、歩行者や自転車の侵入者を検知すると回転灯が警告をするシステムを導入しています。
高速道路や自動車専用道路に誤って進入してしまうことで、大きな事故にも繋がり兼ねないため、出入り口付近の看板をよく確認しながら、誤進入しないように注意しましょう。