ダイハツは、2020年6月10日に新型「タフト」を発売しましたが、ユーザーから比較対象とされることも多いスズキ「ハスラー」は、タフトの登場によってどのような影響を受けているのでしょうか。
■ユーザーはタフトとハスラーをライバル視
2020年6月10日に発売されたダイハツの新型「タフト」ですが、同年4月上旬から専用Webサイトや事前予約が実施され大きな反響を呼んでいました。一方でユーザーからはスズキ「ハスラー」との比較に関心が集まっていたようです。では、正式発売となったタフトについて、ハスラー側にはどのような反響があったのでしょうか。
首都圏のダイハツ販売店では「男性ユーザーを中心に、発売前から価格や納期に関する問い合わせが多数あった」と話しています。
近年の新車市場でSUVが人気を集めるなか、軽クロスオーバーSUVとして発売されたことで注目されるタフトですが、似たようなパッケージを備えて2014年に先行して登場していたのは、スズキの「ハスラー」でした。
しかし、ダイハツはタフトを投入する際に、開発担当者は「ハスラーと比較されがちですが、タフトはどちらかというとジムニーのようなアウトドアレジャーのユーザーや、後席に荷物を載せることが多いユーザーをターゲットにしたクルマとなっています」と説明。
それでも、見た目や遊べる軽SUVという印象から実際のユーザーとしては、タフトとハスラーが購入比較対象となっているようです。
では、タフトの発売は、ハスラーにどのような影響を与えたのでしょうか。
タフトとハスラーは軽自動車であるためボディサイズに大きな違いはありません。どちらも全長3395mm×全幅1475mmですが、全高はタフトが1630mm、ハスラーが1680mmと、50mmほどハスラーのほうが高くなっています。
一方で、悪路走破性に影響を与える最低地上高はハスラーのほうが低く、タフトの190mmに対してハスラーは180mmです。
室内寸法は、タフトが室内長2050mm×室内幅1305mm×室内高1270mmなのに対して、ハスラーは室内長2215mm×室内幅1330mm×室内高1270mmと、高さに違いは同じですが長さと幅はハスラーのほうが若干広くなっています。
ほとんどパッケージの2台ですが、価格面でも差は少なく、タフトは135万3000円から173万2500円。ハスラーは128万400円から179万800円となり、エントリー価格ではタフトが7万2600円高く、最上級グレードではハスラーが5万8300円高く設定されています。
グレード展開では、タフトには「X」「G」「Gターボ」の3グレード、ハスラーには「HYBRID G」「HYBRID Gターボ」「HYBRID X」「HYBRID Xターボ」の4グレードがあり、それぞれに2WDと4WDを設定。
SUVらしい外観デザイン、サイズ、価格面、駆動方式など、ほとんど差がない2台ですが、スズキ販売店のスタッフによれば、タフト登場後もハスラーの売上に影響は出ていないとのことです。首都圏のスズキ販売店スタッフは、次のように話しています。
「ハスラーは2020年1月にフルモデルチェンジを受けたばかりですので、タフトの登場によって販売台数が落ちるなどの影響は現時点ではありません。
むしろフルモデルチェンジによって通常よりも売れ行きは好調で、同社のほかのクルマよりも注文をいただいています。例えば通常は納車まで1か月程度で済むことが多いですが、ハスラーは現在3か月待ちとなっています」
■タフトには無い強みを持つハスラー
ハスラーにはタフトにはない強みがあるとスズキ販売店スタッフは話しています。
「タフトの発売前は、ハスラーとタフトの購入で悩まれているお客さまもいらっしゃいましたが、ハスラーには全車種にマイルドハイブリッドが搭載され、燃費の面で優れています。
また、モデルチェンジによって後退時のブレーキサポートやクルーズコントロールが装備されたことで、帰省や旅行での安全性能が大幅に高まっています。
ナビや助手席のコンソールのデザインも、長距離ドライブでも飽きがこないとお客さまからご好評いただいています」
実際にエントリーグレード同士の燃費を比べてみると、タフトのXグレード(2WD)では、WLTCモード燃費で20.5km/Lですが、ハスラーのHYBRID GではWLTCモード燃費で25km/Lと、約5km/Lの差があり、安全装備では、ハスラーは全車種に後退時ブレーキサポートが標準装備となっています。
また、タフトとハスラーにはどちらも後方誤発進抑制機能、アダプティブクルーズコントロール(AAC)が設定されていますが、ハスラーではオプションとして全方位モニター用カメラも用意されており、選択肢が広くなっています。
内装では、どちらも9インチディスプレイを備え、タフトはシフトレバーと左右のエアコン吹出口。ハスラーは運転席メーターパネル、ナビパネル、助手席小物入れのパネルに、それぞれ専用カラーリングによる加飾がされています。
ハスラーでは助手席のダッシュボードパネルが手前に展開されテーブルとして使えるなど、工夫のある使い方が出来るのもポイントです。
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2代目となったハスラーは、2014年に登場した初代モデルの丸みを帯びたデザインから、より四角くシャープなエクステリアに刷新され、初代よりも安全性能を充実させています。
ハスラーのデザインについて、スズキの販売店スタッフは「女性やお年寄りからも人気が高いです」と話し、個性的な外観が幅広い世代に受け入れられていることが伺えます。
軽自動車SUVにタフトという新型車種が加わりましたが、ハスラーはモデルチェンジによってデザインを変え成熟させ、さらに安全性能などを向上させました。
今後、販売店にタフトの試乗車が配備され、実際に2台を乗り比べたユーザーの評価に注目が集まります。