2020年6月16日にレクサスのDセグメントセダン「IS」の改良新型が世界初公開された。日本での発売は2020年秋を予定しているが、Dセグメントセダンと呼ばれるこのカテゴリーには人気のドイツ・プレミアムブランドのモデルが揃う。新型ISとライバルを比べてみた。
■走りを磨いたものの基本スペックには大きな変化なしか?
2020年6月16日にレクサスISの新型モデルが発表された。
その内容は、エクステリア・デザインを一新し、走りのポテンシャルの大幅向上、先進運転支援システムの拡充といった、いわゆるビッグマイナーチェンジと呼べるものだった。
一方で、パワートレインは従来どおりの3種類と発表されたように、基本となる部分の大きな変化はなかった。まだ車両価格は発表されていないが、それほど大きな変化はないと予想できる。
そうした基本情報をもとに新型レクサスISと、ライバルとの比較をおこなってみたい。
●BMW「3シリーズ」vs新型レクサス「IS」
BMW3シリーズにはパフォーマンス面でレクサスISが勝る
新型レクサスISの売りは、トヨタが「レクサス・ドライビング・シグネチャー」と呼ぶように、スポーティな走りの楽しさだ。そうした走りの楽しさでライバル筆頭となるのがBMW「3シリーズ」だろう。
サイズ的にいえば、新型レクサスISの全長4710×全幅1840×全高1435mmに対して、BMW3シリーズは全長4715×全幅1825×全高1440mmと、ほとんど変わらない。
新型レクサスISには、直列4気筒2リッターターボ、直列4気筒2.5リッター・ハイブリッド、V6・3.5リッターの3つのパワートレインが搭載される。これは、BMW3シリーズでいえば、BMW320i(直列4気筒2リッターターボ/184馬力/461万円)、BMW320d xDrive(直列4気筒2リッターディーゼル/190馬力/573~649万円)、BMW 330i M Sport(直列4気筒2リッターターボ/258馬力/647万円)に相当する。
新型レクサスISのエンジン・スペックと価格を旧型モデルと同等と見て比較すると、面白いことがわかる。
直列4気筒2リッターターボは「IS300」で245馬力/約480万円から。2.5リッターのハイブリッドは「IS300h」で220馬力/約526万円から(4WD約567万円から)。3.5リッターV型6気筒は「IS350」で318馬力(新型ISは311馬力)/約574万からとなる。
BMW3シリーズとレクサスISのスペックを比べると、すべてのパワートレインでISの方がパワフルなのだ。また、今回のビッグマイナーチェンジで、ハンドリング面も大幅に向上したという。フィーリング面でどれだけBMW3シリーズと勝負できるかがカギだろう。
■意外と価格とパフォーマンスで直接ライバルとなるグレードがない
●メルセデス・ベンツ「Cクラス」vs新型レクサス「IS」
車格は同じものの、つりあうモデルが意外とないメルセデス・ベンツCクラス
新型レクサスISはスポーツセダンを標榜するが、レクサスブランドの基本はラグジュアリーだ。
そして、ラグジュアリーの雄といえばメルセデス・ベンツ。ここでライバルとなるのは、全長4690×全幅1810×全高1425mmの「Cクラス」となる。
Cクラスの2019年1月から12月の登録台数は、1万7210台と輸入車全体で3位。これは、ISのライバルとなるDセグメントのなかではトップの成績だ。
ISと直接ライバルとなるようなCクラスのグレードは、C200ローレウスエディション(1.5リッター直列4気筒ターボ/184馬力/613万円)、C350eアバンギャルド(2リッター直列4気筒ハイブリッド/211馬力/686万円)、AMG C43 4MATIC(3リッターV型6気筒ターボ/390馬力/987万円)になってくる。
比べてみるとわかるのだが、レクサスISとメルセデス・ベンツCクラスは、意外とパワートレインと価格面でつりあうモデルがない。
価格は、すべてCクラスのほうが数段上。それでいてレクサス「IS300」相当のモデルがないのだ。しかもC350eはプラグイン・ハイブリッドであり、レクサスISのハイブリッドとは、また使い方が異なる。つまり、メルセデス・ベンツCクラスとレクサスISでは、同じ車格ではあるが、まったく性格の異なったクルマといえるだろう。
●アウディ「A4」vs新型レクサス「IS」
A4との比較では、価格面の差が大きい
ドイツ御三家のなかで、もっとも先進性に富むのがアウディだ。
アウディのラインナップでレクサスISのライバルとなるのは、全長4750×全幅1840×全高1430のA4だ。
パワートレイン的には、「A4 40TFSI」(2リッター直列4気筒ターボ/190馬力/588万円)、「A4 45TFSI quattro」(2リッター直列4気筒ターボ/252馬力/658万円)、「S4」(3リッターV型6気筒ターボ/354馬力/862万円)の3台だろう。駆動方式はA4 40TFSIが前輪駆動で、他2モデルは4輪駆動となる。
これらアウディA4の3グレードに対して、レクサスISのスペックは以下のものになる。
レクサスISのIS300(2リッター直列4気筒ターボ/245馬力/約480万円から)、IS300h(2.5リッター直列4気筒ハイブリッド/220馬力/約526万円から/4WD約567万円から)、IS350(3.5リッターV型6気筒/318馬力<新型は311馬力>/約574万円から)。
A4 40TFSI とIS300の2WD同士で比較すると、IS300のパワフルさと価格の安さが光る。
A4 45TFSIクワトロとIS300hの4WDモデルを比較すると、パワーは互角だが、価格はA4 45TFSIクワトロが658万円、IS300hが約567万円からと、やはりIS300hが圧倒的にリーズナブルになる。
A4 45TFSIクワトロとIS300hであれば、パワーで30psほどA4が勝るが、価格差が100万円近くある。そしてS4とIS350では、S4のスペックは素晴らしいが、IS350よりもS4のほうが300万円も高額であれば、これはライバルとはいいにくいだろう。
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BMW3シリーズ、メルセデス・ベンツCクラス、アウディA4と比較してみてわかるのが、レクサスISのパワフルさとリーズナブルさ。つまりコストパフォーマンスの良さだ。
これにビッグマイナーチェンジで、フィーリングという内容も高まれば、さらにレクサスISのライバルに対するアドバンテージが高まる。新型レクサスISの走りがどれほどレベルアップしたのかが楽しみだ。