かつて、クルマのナンバープレートを折り曲げる行為が流行ったことがありました。しかし、故意に折り曲げるのはナンバープレートの視認性を損なうため、当然ながら違法な改造です。一方で、カー用品店で販売されるナンバープレートの装飾品は違反にならないのでしょうか。
■ナンバープレートの折り曲げは違反行為!
バブル期の暴走族や走り屋に多く見かけたナンバープレートの折り曲げですが、近年でも一部で見られることがあります。一方で、カー用品店で販売されていたカバーなども近年では違法となったといいますが、現状はどうなっているのでしょうか。
かつて見られたナンバープレートの折り曲げ行為は、近年減少傾向にあります。しかし、現在もSNS上では、その目撃情報が絶えません。
そもそも、なぜナンバープレートを折り曲げるのでしょうか。暴走族が全盛期だった1980年代は、警察から逃げ切るための手段として、ナンバープレートの情報を読み取られないように折り曲げる行為が多発したといいます。
その後、当時の若者たちのなかで折り曲げ行為が「かっこいい」と認識され、暴走族や走り屋だけでなく多くの人々が真似をするようになりました。
当初はオートバイでの折り曲げ行為が多く見られましたが、クルマでもそのトレンドが伝播したことで、1980年代後半から1990年代前半にかけて、クルマのフロントナンバーを外したり、折り曲げる人々が目立つようになりました。
バブル期は、スポーティなクルマが流行り、流れるようなスタイリッシュなボディスタイルに日本のナンバープレートがマッチしなかったこともあり、こうした行為を実行するドライバーが増えたのも要因のひとつといわれています。
しかし、ナンバープレートは、事故や犯罪が起こった際、迅速に対応するために正しい装着が義務付けられています。実際に、道路運送車両法には、以下のように記載されています。
法律上ナンバープレートは見やすく表示する義務があり、折り曲げ行為などをおこなった際は、50万円以下の罰金に処されます。
折り曲げ行為と同様の理由で、カバー・フレーム・シールといった装飾品を用いて、ナンバープレートを隠す行為も違反となりますが、現在でも装飾パーツは販売されております。このことについて、オートバックスセブンの担当者は、次のように話します。
「法律で定められているように、ナンバープレートの保護カバーはすべて禁止されております。そのため、オートバックスでもこういった商品の取り扱いはありません。
なかには、フレームなどの商品も取り揃えておりますが、法律に準拠した厳しい審査を通過したものだけを取り扱っております。こちらは、適法な商品なので、使用しても違反対象にはなりません。
実際に、オートバックスで取り扱っているナンバープレートの装飾品は、フレームのみとなります。フレームの縁の部分も、昔に比べると非常に薄くなりました」
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2016年2月1日より、ナンバープレートに関わる法律がより厳格化し、ナンバープレートをカバーなどで覆うことを一切禁止するほか、一定の位置や方法において表示することがさらに細かく義務付けられました。
上記の新基準により、「ナンバープレートカバーの装着について、無色透明であっても原則禁止」、「ナンバープレートを回転させて装着すること」、「フレームなどを使って文字が認識できないほど被覆すること」、「折り曲げ行為」が禁止事項となっています。
また、装着位置や左右上下の角度は、クルマの運行中でもナンバープレートの位置や角度の識別ができることが求められました。
■2021年4月からナンバープレートのルールがさらに厳格に!
ナンバープレートに関する法律は、前述の2016年の改正以前から各都道府県の公安委員会で、道路交通法施行細則の一部を変更することが決まっていました。
実際に、2004年3月1日に石川県警では、「石川県道路交通法施行細則(石川県公安委員会規則)」の一部が改正され、ナンバープレートに赤外線を吸収するものや反射するものを取り付ける行為を違反としています。
また、2001年7月に警視庁では赤外線吸収カバーの装着を罰則対象とし、同年9月末から都内で摘発が開始します。
この背景には、1990年第後半に販売された、オービスの赤外線を吸収するカバーが要因となり、当時、こうした商品はオービスで撮影されてもナンバーが黒く映って検挙されにくくなるとして、スピード違反を逃れるために利用されていました。
この赤外線吸収カバーと同時に、純粋に汚れから保護するためのナンバープレートカバーが開発されたことで、検挙時に混乱を招く展開が起こりました。
また、全国自動車標板協議会や国土交通省がナンバープレートの透過率を調べる視認性試験をおこなった結果、可視光線透過率が80%に満たない着色カバーも出回っていることが発覚したことで、2016年の改正に繋がるのです。
そして、2021年4月からナンバープレートの移設や取り付け角度がさらに厳しく規定されます。これまでは「番号を見やすく表示すること」だけを定められていたものの、新基準の対象となる「2021年4月1日以降に初めて登録・検査・使用の届出があるクルマ」では、位置や角度も明確に規定されるのです。
具体的には、前面のナンバープレートの場合、上向き10度から下向き10度の範囲内、左右向きは左向き10度から左右向き0度の範囲内。
後面の場合、ナンバープレートの上端1.2m以下は上向き45度から下向き5度以内、上端1.2超は上向き25度から下向き5度以内、左右向きは双方ともに左向き5度から左右向き0度以内に定められています。また、前面・後面ともに回転させることは認められません。
さらにフレームは、幅が上部10mm以下・左右18.5mm以下・下部13.5mmとなり、厚みは上部6mm以下・その他30mm以下と定められ、ボトルカバーは直径28mm以下で番号に被覆しないもので厚みは9mm以下です。フレームとボトルカバーは、落脱の恐れがないことが大前提となります。