2020年も7月に入り、後半戦に突入した。上半期はドイツをはじめヨーロッパ諸国でロックダウンがおこなわれるなど経済的にも大きなダメージを受けたが、それでもニューモデル投入は着々とすすんでいる。2020年後半に日本にやってきそうなフォルクスワーゲン車を予想した。
■注目の新型ゴルフ8の日本上陸は2021年になりそうだ
2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国産車・輸入車ともに登録台数は前年にくらべて少なくなっている。
緊急事態宣言が全国的に解除されたこともあり、6月に入ってからの輸入車新規登録台数は4月、5月にくらべると若干良い数字にはなってきたものの、それでも前年同月比67.7%(外国メーカー車の乗用車)の2万1075台と厳しい状況には変わらない。
ドイツをはじめとしたヨーロッパ諸国でも、ロックダウンがおこなわれた影響で経済的にも大きなダメージを受けたが、6月に入ってからは各メーカーからニューモデルが発表されるなど、徐々にではあるが日常に戻りつつある現状だ。
2020年後半に日本に入ってくる予定の外国メーカーのニューモデルを予想していこう。今回はフォルクスワーゲンだ。
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●「新型ゴルフ」の日本上陸は2020年には間に合わない?
フォルクスワーゲンを代表するCセグメントハッチバックが「ゴルフ」だ。
初代ゴルフは1974年に登場。横置きエンジンの前輪駆動(FF)小型車というジャンルを築いたメガヒットモデルで、登場以来46年にわたり、Cセグメントのベンチマークとなっている。
そんなゴルフは、2019年10月にドイツ本国で8代目にフルモデルチェンジ、ゴルフVIII(8)として登場している。
全長4284mm×全幅1789mm×全高1456mm、ホイールベース2635mmというボディサイズは、従来型ゴルフVII(7)と比較して26mm長く、全高が36mm低くなっている。
2020年2月には、新型ゴルフ8をベースにしたスポーツモデル、ゴルフGTI/ゴルフGTD/ゴルフGTEも欧州で発表されている。
そんな新型ゴルフ8の日本上陸は、当初は2020年秋を予定していたようだが、どうやら雲行きが怪しくなってきている。
その理由は、やはり新型コロナウイルス感染拡大によるものという。世界各地にフォルクスワーゲンブランドの工場は16工場あるが、ドイツとヨーロッパでは約6週間、南米でも約10週間生産が停止された。現在ではすべて元に戻っているとのことだが、このことにより、日本への導入計画の見直しが余儀なくされたようだ。
ただし現行型のゴルフ7はいまもなお、日本において人気だ。日本自動車輸入組合の統計によると、2020年上半期(1月から6月)の外国メーカー車モデル別新車登録台数順位では、ゴルフは2位の5792台となっている。
これは、2019年8月に導入されたディーゼルモデル「ゴルフTDI」の人気が大きい。フォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)としては、現行ゴルフがモデル末期においても人気を維持しているため、新型ゴルフ8の導入をそれほど急ぐ必要がないのかもしれない。
横浜や世田谷などで、頻繁に左ハンドル仕様の新型ゴルフ8のテストカーが走っているという目撃情報が寄せられている。2020年内の日本導入は難しくなっているようだが、それでも2021年の早い時期には必ず上陸するだろう。
■もうまもなくコンパクトSUV「Tロック」が上陸予定
●コンパクト・クーペSUV「Tロック」は7月中に上陸する
2020年の日本におけるフォルクスワーゲンは、「SUV推し」になりそうだ。2020年1月に発売されたコンパクトSUV「T-Cross(Tクロス)」は、「T(てぃー)さいSUV」というキャッチコピーで日本でもヒット、2020年上半期の外国メーカー車モデル別新車登録台数順位でも4位の4865台という数字を残している。
そのTクロスの兄貴分となるコンパクトSUVが「T-Roc(Tロック)」だ。
Tロックは全長4240mm×全幅1825mm×全高1590mm、ホイールベース2590mmというボディサイズ。VWのSUVラインナップでは、Tクロスとティグアンの中間という位置づけになる。ちなみにTクロスの全長は4115mm、ティグアンの全長は4500mmだ。
アウディ「Q2」のようになだらかなルーフラインを持つ、いま世界的にも人気があるクーペSUVのようなデザインが特徴だ。ただしデザインだけではなく、VWモデルらしく実用性も兼ね備えるクロスオーバーモデルで、全長4.2mというサイズ感は日本の道にも合うため、人気が出そうだ。
当初は2リッター直列4気筒ディーゼルターボ「TDI」モデルのみが導入される予定で、駆動方式は前輪駆動(FF)のみとなりそうだ。
日本ではもうまもなく発表される予定で、ベースグレードの車両価格は、およそ380万円あたりからになると予想する。
●フルEV「ID.3」の日本上陸は2022年あたりになりそうだ
2019年9月に開催されたフランクフルトモーターショー(IAA)で世界初公開され、2020年6月から納車がはじまったVWのフルEV「ID.3」。
まず最初に納車されるのは特別限定モデル「ID.3 1st」。このモデルは58kWhのバッテリー容量を持ち、WLTPモードで約420kmの航続距離となる。電気モーターは最高出力150kW(約204ps)、最大トルク310Nmを発生、0-60km/h加速は3.4秒、最高速度は180km/h(リミッター)というパフォーマンスを誇る。
このID.3 1stの現地価格は4万ユーロ(約485万円)からとなっている。
全長4261mm×全幅1809mm×全高1552mm、ホイールベースは2765mmという、現行ゴルフと同じようなボディサイズのモデルとなるが、このモデルの日本導入はまだ進んでおらず、導入されるとしても再来年の2022年になりそうだ。
2020年末に北米や中国、欧州で製造・販売される予定のSUVタイプのフルEV「ID.4」についても、日本導入は時期を含め未定(VGJ広報部)とのこと。いずれにせよ、フルEV「ID.」の日本導入はまだ決まっていないという。