トヨタは、コンパクトSUVの新型「カローラクロス」を2020年7月9日にタイで世界初公開し、販売を開始しました。カローラの新シリーズとして追加されたカローラクロスとは、どのようなモデルなのでしょうか。
■トヨタはSUVモデルが盛りだくさん!?
2020年7月9日にタイでトヨタの新型SUV「カローラクロス」が世界初公開されました。世界150以上の国と地域で累計4800万台以上も販売されてきたカローラシリーズのSUVとなります。同じくグローバルで販売される「ヤリス」シリーズのSUVとなる新型「ヤリスクロス」とはどのような違いがあるのでしょうか。
1966年に登場した初代カローラ以降、世界中で愛されている同シリーズですが、常にその時代のニーズ、地域のニーズに即して進化を遂げてきました。
今回、新型カローラクロスは導入について、トヨタは「世界的に需要が高まっているSUVを新たに追加し、これまで以上に充実したラインナップとすることで、ユーザーのライフスタイルやライフステージに合わせた選択を用意しました」と説明しています。
一方の新型ヤリスクロスは、2020年2月10日に日本で発売されたヤリスと同じTNGAプラットフォームのGA-Bというカローラクロスのひとつ下となるサイズのSUVです。
ヤリスは、カローラ同様にトヨタのグローバルモデルではありますが、日本では先代モデルまで「ヴィッツ」という車名で販売されていたほか、国や地域によってベース車が異なっていました(北米ではマツダ「マツダ2」のOEM車)。
また、タイでは先代ヤリスをベースにしたヤリスクロスが販売されていますが、今回の新型ヤリスクロスとは別モデルとなるなど、グローバルでは少し複雑なシリーズとなっています。
●カローラクロスとヤリスクロスはスペックの違い
タイで発表された新型カローラクロスは、カローラシリーズを始め「プリウス」や「C-HR」と同じTNGAプラットフォームのGA-Cを採用。新型トーションビームサスペンションによる安定したフラットな走りとともに、快適な乗り心地や静粛性を実現しました。
ボディサイズは全長4460mm×全幅1825mm×全高1620mmとワイドなスタンスで、力強さのなかに、艶やかな質感・洗練された気品あるスタイルとし、現行のカローラシリーズとは一線を画するテイストを持っています。
一方の新型ヤリスクロスは、前述のGA-Bプラットフォームをベースにヤリスブランドが築いてきた「走る楽しさへのこだわり」「クラスを超えた質感」を受け継ぎつつ、都市型コンパクトSUVを再定義することを目指して開発されました。
見た目のデザインはシンプルながらも、SUVならではの頑強さが表現されているほか、強調されたフェンダーによって踏ん張り感を演出。ヤリスと同じく2トーンルーフの仕様が設定されていることも特徴となっています。
ボディサイズは、全長4180mm×全幅1765mm×全高1560mmとなり、ヤリスの全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mmよりひと回り大きなサイズです。
トヨタのコンパクトSUVでは、「ライズ」(全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mm)や「C-HR」(全長4385mm-4390mm×全幅1795mm×全高1550mm-1565mm)といったモデルの間に位置します。
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日本での両シリーズの展開は、カローラシリーズが2020年7月現在、コンパクトハッチバックの「カローラスポーツ」、「カローラ(セダン)」、「カローラツーリング(ワゴン)」の各現行モデルに加えて、先代モデルとなる「カローラアクシオ(セダン)」、「カローラフィールダー(ワゴン)」がビジネスユーザー向けに併売されています。
一方のヤリスシリーズは、すでに発売されているヤリスに加えて、2020年8月末にヤリスクロスが発売。同年9月には、トヨタが20年ぶりにスポーツ4WDを自社開発したことでも話題の「GRヤリス」が発売されます。
■カローラクロス&ヤリスクロスのパワートレインはどう違う?
タイで発表された新型カローラクロスのパワートレインは、1.8リッターガソリンと1.8リッターハイブリッドを設定し、日本で販売されるカローラ(セダン)/カローラツーリング(ワゴン)と同様の仕様と見られます。
なお、日本のカローラシリーズには1.2リッターガソリン、欧州向けのカローラシリーズには2リッターハイブリッドが用意されていることから、今後導入される国や地域によっては異なる可能性もあります。
駆動方式では、新型カローラクロスは2WD(FF)のみの設定ですが、日本のカローラシリーズの駆動方式は2WDのほかに、セダンとワゴンのハイブリッドモデルには電気式4WDシステムの「E-Four」、カローラスポーツのターボモデルには4WDが設定されており、これも導入される場所により異なるかもしれません。
一方のヤリスに搭載される1.5リッター直列3気筒エンジンのガソリン車(2WD/4WD)と、同エンジンにハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド車(2WD/E-Four)をラインナップ。
さらに、高い走破性を可能とする「AWD-i intelligent」を設定することで、通常時は前輪で駆動するものの加速時には後輪にトルクを配分、そして悪路などでは全輪で駆動します。
新型カローラクロスの安全装備は、タイ仕様のハイブリッドHighグレードに「トヨタセーフティセンス」を標準装備。タイ仕様のハイブリッドHigh/Midグレードには「ブラインドスポットモニター」「リヤクロストラフィックアラート」を搭載しています。
室内空間は、見晴らしの良い空間と充分なヘッドクリアランスを確保。子どもを抱えて乗り降りすることを想定し、後席のドア開口部を広くすることで乗降性を向上させるとともに、ラゲッジスペースはクラストップレベルの487リッターを実現しました。
また、リアバンパーに足をかざすことで開閉可能なパワーバックドアなど、あらゆるユーザーのニーズとライフスタイルにマッチする使い勝手を実現。
一方の新型ヤリスクロスの安全性や快適性では、トヨタの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を採用。カローラクロス同様に、手がふさがっていてもリアゲートが開閉できるパワーバックドアを採用しています。
ラゲッジスペースは、調節可能なデッキやトランク下の収納スペースの活用によって、自由な使い方が可能です。さらに、デッキボード自体をふたつに分割できるほか、トランク内にはフレックスベルトシステムも装備。さらに折りたたみ式後部座席システムは、3分割(40:20:40)が可能です。
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トヨタが日本で展開するSUVラインナップは、新型ヤリスクロスをはじめ、前述のライズやC-HR、「RAV4」や2020年6月17日に発売された「ハリアー」、「ランドクルーザープラド」、「ランドクルーザー」など大小かつ用途もさまざまなモデルが用意されています。
そのため、新型カローラクロスが日本に導入されるかは未定です。
ユーザーのニーズは年々細分化されているものの、トヨタは今後の国内ラインナップを減らしていく方針をすでに明かしていることから、カローラクロスが導入されとしたら、代わりに何かしらのラインナップが消えることがあるのかもしれません。