2020年6月20日から放映開始となったテレビ東京系「ウルトラマンZ」に、トヨタのコンセプトカー「LQ」 が特殊車両として登場しています。ウルトラマンとトヨタのコンセプトカーは、なぜ共演することになったのでしょうか。
■世代を超えたヒーロー「ウルトラマン」にトヨタ「LQ」が採用されたワケ
先日、孫と「ウルトラマンZ」を見ていたら、トヨタのコンセプトカー「LQ」が劇用車として--失礼しました。ウルトラマンは劇じゃなかった。
地球防衛軍日本支部の特殊車両として登場しているではありませんか。地球防衛軍の装備としては、私が子供の頃に地球を守ってくれていた初代ウルトラマン時代に活躍したポインター号以来の特殊車両だと思う。
するとどうよ。地球防衛軍の正式採用車LQを見せてくれるというオファーをトヨタから貰いました。
当日は、ウルトラマンZがM78星雲でトレーニング中ということから、ウルトラマンの通訳として長年活躍している隠田さんと、LQの開発責任者である井戸さんに話を伺う。任務以外ながら走らせてくれました。
まずLQは、東京モーターショー2019で公開されたトヨタが提案する「新しい時代の愛車」だといい、ベストカーという売れ行きNo1の自動車雑誌に「市販する」と紹介されたため、この秋にも発表されると思われているようだけれど100%間違いです。
確かに安全性を含め、市販車とまったく同じ基準で作られておりナンバーが取れる(実際、公道走行もしている)。ドアなど金型を作ったスチールのプレスで前後フェンダーもプレスという本格仕様のコンセプトカーはトヨタ初だという。
具体的には、市販車だとコストが掛かるようなデザインを始め、耐久性や整備容易度などの優先順位を低くしているそうです。確かにこれだけ凝った作りをしたら高価なクルマになることだろう。
しかし、井戸さんによれば「コンセプトカーと市販車の中間くらいだと考えていただければ間違いありません」という。そのため、市販前提だとメディアが間違えるのは仕方ないかもしれない。
特殊ダクトを採用しエアコンの室内吹き出し口が見えないようになっていたり、側面衝突基準を満たしながら前後にシースルーのドアを採用するなど、凝りまくっている。
開発途上ながら「YUI」という人工頭脳の役割も多岐に渡るという。すごいのはユーザーの表情や動作から、感情や眠気などの状態を常に推定し、会話を中心としたコミュニケーションをおこなうこと。
そして100%電気自動車です。走っている姿を見ると、未来感バリバリ。街中じゃ完全に存在が浮くと思う。さらに、LQの自動運転はレベル4相当で、駐車場など乗降場と駐車スペース間で無人自動運転ができるシステムが備わっている。
そんなLQを見た瞬間、ウルトラマンの日本ベースを任されている円谷プロダクションは「これだ!」と思ったという。
■なぜトヨタ「LQ」はウルトラマンZに採用されたのか
ポインター号以降、地球防衛軍は汎用車両しか使ってこなかった。怪獣と戦うという大事な役割があっても、我が国はナンバーが必要。ポインター号くらい性能を思い切り追求すると、少しばかり面倒になってくる。
なるほど。LQなら存分に未来感を持っているうえ、ウルトラマンを応援してくれる子供達も喜んでくれるだろう。
何度かウルトラマンZの活躍状況を、怪獣を怖がる5歳&7歳の孫と見ているが、LQが出てくると存在感大きい。
トヨタとしてもこういったクルマの活用方法としてこれ以上ないと考えたようだ。何の問題も無く正式採用車に決まる。
今後の展開はどうなるのだろう。
御存知の通りウルトラマンのバックボーンは、沖縄にある。怪獣は悪者なのだけれど、それぞれ理由あって怪獣になった。
私が好きなジャミラをひとつ取っても、アルジェリアの独立運動化の名前。見捨てられた宇宙飛行士で、アタマに来て復習のためやってきたのである。ウルトラマンにやられる前に泣く。
チブル星人(頭脳星人)のチブルは沖縄言葉の「頭」。ザンパ星人なんか注釈不要だと思う。沖縄の精神に「まぶやー」(性善説)というのがある。悪者はいない。
悪いことをするときはまぶやーを失ったとき、取り戻せば善人に戻るのだった。その精神がウルトラマンに流れてます。だから親も安心して子供に見せられるのだった。
円谷プロは、LQにもそういったコンセプトを入れたと思っているようだ。LQに搭載されている「YUI」が、人間をさまざまな方法で優しく助けてくれたら素晴らしい。
欧米式の事故回避策ではなく、人間の感情に対応した安全確保が出来たら素晴らしい。
この件、井戸チーフエンジニアもまったく同じ意見だという。今後の展開が楽しみです。(次はウルトラマンZに会わせてください。一緒に写真撮って孫に自慢したいです)
また、東京・お台場にあるメガウェブでは、ミニLQともいえる子ども向けの「LQ-PIUS」が8月7日からデモやパレードでお披露目。さらに、実際に乗れるアトラクションはライドスタジオにて9月12日から登場するという。このLQ-PIUSは実車をデフォルメしつつも、フロントやリアの再現度は高いです。