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中古価格は新車時以上!? 最終進化形「ランエボX」はどんなクルマだったのか

くるまのニュース 2020年7月24日 19時10分

三菱を代表するスーパースポーツカー「ランサーエボリューション」。その最終型である「ランサーエボリューションX(テン)」とはどんなモデルだったのだろうか。

■初代から9代目までは1〜2年ごとに進化していた

 三菱「ランサーエボリューション(ランエボ)」は、もともとWRC(世界ラリー選手権)のグループA参戦を念頭に置いたホモロゲーションモデルとして登場した。その起源は1992年9月に発売された「ランサーGSRエボリューション(通称エボワン)」となる。

 エボワンは、ギャランVR-4に搭載していた2リッターターボエンジンを、250馬力までパワーアップして搭載。2500台限定発売だったが、あっという間に売り切れて、さらに2500台が追加で販売された。

 ランエボがWRCで初優勝したのは、1995年のスウェディッシュラリーだ。これは初代ではなく「エボII」での参戦で、このときのドライバーはケネス・エリクソン選手、コドライバーはスタファン・パルマンダー選手だった。

 ランエボシリーズは、1992年のエボワンの後、1994年1月発売の「ランエボII」、1995年1月発売の「ランエボIII」、1996年8月発売の「ランエボIV」、1998年1月発売の「ランエボV」、1999年1月発売の「ランエボVI」、2000年1月発売の「ランエボVIトミ・マキネンエディション」、2001年2月発売の「ランエボVII」、2002年2月発売の「ランエボVII GT-A」、2003年1月発売の「ランエボVIII」、2004年2月発売の「ランエボVIII MR」、2005年3月発売の「ランエボIX」、2005年9月発売の「ランエボワゴン」、2006年8月発売の「ランエボIX MR」「ランエボワゴンIX MR」と続いていく。

 ほとんど1年から1年半に1モデルのペースで進化し続けたランエボだったが、2001年シーズンのWRCから「ランサーセディア」ベースのWRカーで参戦したこと、2003年シーズンは三菱チームはWRC活動をいったん休止したこと、その後復帰したものの、三菱のリコール隠し問題による経営の悪化にともない、2006年シーズンから再度WRCワークス活動を休止したことなどで、WRCホモロゲーション車両としての本来のランエボの立ち位置は変化していく。

三菱「ランサーエボリューションX」ファイナルエディションと歴代ランエボ

 そうしたなか、2007年10月に「ランサーエボリューションX(テン)」が発売された。

■最終モデル「ランエボX」は、およそ8年間進化を続けた

 いままでのランエボシリーズがすべて限定モデルだったのに対し、最終モデル「ランエボX」は発売当初からカタログモデルとして登場したのが特徴となる。

2015年4月に登場した特別仕様車、三菱「ランサーエボリューションX ファイナルエディション」

「誰もが気持ちよく、安心して『高い次元の走り』を楽しめる新世代ハイパフォーマンス4WDセダン」を商品コンセプトとして、2007年10月に登場したのがランエボXだ。
 
 280馬力/422Nmを発生する4B11型2リッターターボエンジンを搭載、車両運動統合制御システム「S-AWC」や高効率の2ペダルトランスミッション「ツインクラッチSST(6速DCT)」などを用意した。車両価格は299万7750円(消費税込、以下同)から349万5450円だった。

 発売から1年後、2008年10月には最初のマイナーチェンジをおこなっている。レカロ社製レザーシートやビルシュタイン社製ショックアブソーバー、BBS社製アルミホイール、HDDナビなどを標準装備したプレミアムグレード「GSRプレミアム」(5速MTモデルは479万8500円、6速DCTモデルは505万500円)を設定した。

 ここから、ほぼ1年に1度、ランエボXは年次改良をおこなっていく。

 2009年10月の一部改良では、新形状の大型サイドエアダムやカラー液晶マルチインフォメーションディスプレイ、クルーズコントロールを採用。車両価格は315万円から507万1500円だった。

 2010年10月の一部改良では、エンジン点火時期や燃料マップなどのエンジン制御を見直すことで、加速レスポンスの向上と燃費向上を実現。さらに6速DCT車の制御を見直すことで変速レスポンスの向上や減速時のスキップシフトを可能にした。車両価格は315万円から522万9000円となった。

 2011年10月の一部改良では、走行中にアクセルペダルとブレーキペダルを同時に踏んだ場合、ブレーキを優先する「ブレーキオーバーライド制御」を採用、またインパネからドアトリムに至るアクセントパネルの素材を変更、上質感の高い室内になった。車両価格は315万円から525万円だった。

 2012年10月の一部改良では、「GSR」と「GSR-Premium」のボディカラー展開を見直し、コズミックブルーマイカ、ホワイトパール(有料色)、クールシルバーメタリック、ファントムブラックパール、レッドメタリックの5色展開。車両価格は変わらず、315万円から525万円となる。

 2014年7月の一部改良では、ウインカー付きドアミラーに変更、さらにボディカラー展開を見直し、コズミックブルーマイカから鮮やかなライトニングブルーマイカに変更。このタイミングで、競技用モデル「RS」と6速DCTモデルの2014年度内での生産終了が発表され、同時に5速MTモデルは継続販売との発表もあった。

 そして2015年4月、特別仕様車「ランサーエボリューション ファイナルエディション」の先行予約が受付開始される。

 これは、1992年の初代ランエボ発売から約23年にわたる歴史の最後を飾る特別仕様車で、ランエボX「GSR」の5速MTモデルをベースにBBS社製18インチ鍛造アルミホイールを装備、内装ではレカロ社製レザーコンビネーションシートなどを標準装着していた。

 車両価格は429万8400円。販売台数は1000台限定だった。

 この特別仕様車が完売したのが2015年8月20日。2016年3月までに納車が終了した。

※ ※ ※

 このファイナルエディションのエンジンスペックは、313馬力/429Nm。パワーウエイトレシオは4.88kg/馬力という軽量ハイパワーのスポーツモデルだった。

 2007年の登場からすでに12年が経ったランエボXだが、生産終了から5年、いまでも現役で全日本ラリーや全日本ジムカーナなどで活躍している。

 また中古市場でも人気を誇り、車両価格は高値安定。低走行で程度の良い中古車では500万円を超えるものもあるなど、当時の新車価格よりも高い値段で取引されることも多いという。

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