昨今はコロナ禍により、かつて一世を風靡したドライブインシアターが注目を浴びています。緊急事態宣言が発令され、外出自粛が基本となった最中に再燃したドライブインシアターとはどのようなものなのでしょうか。
■懐かしのドライブインシアターが復活!
バブル期に大流行したドライブインシアターが、コロナ禍の影響により復活を遂げ、ソーシャルディスタンスを守りながら3密を防ぐ取り組みとして、幅広い層のユーザーに大きな注目集めています。
かつてのドライブインシアターを知らない世代にとって、車内で映画を楽しむ魅力とは、どのようなところにあるのでしょうか。
ドライブインシアターは、アメリカ発祥の娯楽として1950年から1960年代まで爆発的なブームを巻き起こしました。
その後、日本でも1990年代に大ヒットを起こしますが、シネマコンプレックスの普及やアイドリングストップの推進など、時代の流れとともに需要が低迷し、国内にあるドライブインシアターの数は減少します。
しかし、2020年現在では新型コロナウイルスの影響によって、各地の映画館が営業自粛したことにより、ドライブインシアターが復活を遂げます。
なかでも、復活のきっかけを作ったDo it Theaterは、野外シアターなどを手掛けるシアタープロデュースチームとして、2014年からドライブインシアターを8回手がけてきました。
今回のコロナ禍により、3密を回避しながら、クルマのなかで楽しめる特別な映画体験として、現代の若者たちに多くの反響を巻き起こしています。
なぜ、ドライブインシアターを復活させようと思ったのでしょうか。ドライブインシアターの開催を手掛ける「Do it Theater」の担当者は、次のように話します。
――ドライブインシアターをはじめようと思ったきっかけを教えてください。
新型コロナウイルス感染予防の啓発と映画をはじめとするカルチャーの活性化を目的として、『ドライブインシアター2020』をスタートしました。
2020年4月上旬、コロナ禍による時代にふさわしいドライブインシアターを実現するため、こちらのプロジェクト立ち上げに至りました。映画監督・俳優・女優など、総勢50名を超える人々に賛同をいただいています。
また、医師と契約を結ぶことで、安全面への監修をおこなってもらい、企画を進めています。
――現在、どれくらいの反響がありますか。
過去に開催された東京タワーイベントでは、1台1万円のチケットが40台分、販売開始約3分で売り切れとなるほど、大きな反響をいただきました。
また、東京タワーよりも規模を拡大して開催される大磯ロングビーチ(神奈川県)のイベントにおいても、販売と同時に売り切れるになる日程もあり、数多くの人から注目をいただいています。
――今後、どのように展望していきたいと考えていますか。
現時点では、8月の万博記念公園(大阪府)と千葉ニュータウン(千葉県)での開催を予定しており、中長期的に本イベントを開催していく方針です。
映画との接点は多種ありますが、まず映画自体が生まれて上映されるサイクルを正常にする必要があります。しかし、映画館への集客が正常に戻るためには、もう少し時間が必要です。
その間も、映画文化を継続して続けていくための環境として、ドライブインシアターを活用してもらえたらと考えています。
そして、今後はDo it Theaterとして、ドライブインシアター独自の映画の楽しみ方を追求していきたいです。
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Do it Theateのドライブインシアターでは、どんな作品が上映されているのでしょうか。
まず、東京タワーイベントでは「スパイダーマン:スパイダーバース」を公開。大磯ロングビーチでは、「ラ・ラ・ランド」、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」、「ミッシェル・ガン・エレファント “THEE MOVIE” ― LAST HEAVEN 031011」といったラインナップになっています。
2020年8月7日から9日予定されている大阪・万博記念公園のイベントでは、「ラ・ラ・ランド」、「サマーウォーズ」、「バーフバリ 王の凱旋」の上映を予定しています。
こうした作品の選定について、前出したDo it Theaterの担当者は、次のように話します。
「老若男女問わず楽しめて、世の中を明るく照らす体験として、いまの時代にふさわしい形で提供しながらエンターテイメント具業界に貢献することが、運営の方針です。
これをもとに、映画ファンはもちろん、子どもから大人まで多くの方に楽しんでいただけるよう、幅広いジャンルをピックアップしています」
■車内で映画を楽しむ魅力とは…
先述のとおり、ドライブインシアターは好調な動員数を誇っていることが分かりました。
過去に絶大なブームを巻き起こすも、一度は衰退したドライブスルーですが、その復活を遂げたことでここまで注目を集めるのには、何が要因となっているのでしょうか。前出のDo it Theaterの担当者は、次のように話します。
「やはり、クルマというプライベート空間で、好きな人と好きなボリュームで楽しめるのが人気の要因になります。
また、FMラジオを通して音を聞きながら、臨場感溢れるノスタルジックな世界観を味わえるドライブインシアターは、映画感では味わえない体験でもあります」
現在はソーシャルディスタンスの観点から注目されているエンターテイメントですが、全国での開催することで、今後もさらなる人気の再燃し、定着してほしいと担当者は語りました。
また、ドライブインシアターをより楽しむために、以下の3つのポイントがあげられます。
・作品の世界観に合わせたドレスコードで来る
・憧れのクルマを借りたり、洗車して会場に来る
・会場への往来でも、作品のサントラを聴いて余韻に浸る
このように、より映画の雰囲気を楽しむため、世界観に合わせた服装に統一するほか、ドライブインシアターならではの醍醐味としてクルマにこだわるのも楽むポイントだと担当者は話します。
かつて、バブル期に絶大な人気を誇ったドライブインシアターですが、コロナ禍の影響により再びそのブームが舞い戻ってきました。
ソーシャルディスタンスや3密回避はもちろん、クルマというプライベート空間で臨場感溢れる映画鑑賞を楽しめることから、幅広いユーザーに注目を浴びています。
ドライブインシアターの再燃により、こうした文化が定着するかもしれません。