2020年7月7日に日本に登場した、アウディのコンパクトSUVが新型「Q3」だ。今回クロスオーバーSUVの「Q3スポーツバック」と同時に日本で発表されている。初代Q3は、プレミアムコンパクトSUVの草分けとして2012年5月に日本に上陸したモデルで、世界中で人気となったモデルだ。Q3はどのように進化しているのか。新型と従来型を比較してみよう。
■初代Q3は日本では約8年販売されたロングセラーモデルだった
アウディジャパンは2020年7月7日、8年ぶりにフルモデルチェンジしたプレミアムコンパクトSUV、新型「Q3」、およびアウディ初のコンパクトクロスオーバーSUV、新型「Q3スポーツバック」を発表した。
今回登場したQ3は、2代目のモデルとなる。
初代Q3は、2011年4月に中国・上海モーターショーでワールドプレミアされた全長4400mmのコンパクトSUVだ。2011年から欧州で発売が開始されている。
プラットフォームは、アウディのCセグメントハッチバックである「A3」をベースにしていた。
いわゆるプレミアムブランドからコンパクトSUVが登場するのは、2009年にワールドプレミアされた全長4450mm×全幅1800mm×全高1545mmというスリーサイズのBMW「X1」があるが、初代X1はE90型3シリーズをベースにしたFRプラットフォームを用いていたため、車格的には初代Q3よりもひとつ上の「DセグメントSUV」という立ち位置となる。
FFプラットフォームを採用して登場したメルセデス・ベンツのコンパクトSUV、初代「GLA」は、初代Q3が登場した後、2013年のフランクフルトモーターショーで世界初公開されている。つまりQ3は、プレミアムコンパクトSUVの草分け的な存在ということができる。
初代Q3は、日本では2012年5月8日に発表・発売された。
当初は2リッターガソリンターボエンジン「2.0TFSI」を搭載したクワトロ(4WD)モデルのみの設定だったが、2014年8月に1.4リッターガソリンターボ「1.4TFSI」を搭載した、アウディのSUVラインナップ「Qシリーズ」として初の前輪駆動モデルが登場。そこから日本での人気を確かなものにしている。
2014年3月にはハイパフォーマンスモデル「RS Q3」が登場。こちらもQシリーズとして初となるRSモデルだった。2.5リッター直列5気筒ターボエンジンは310ps・420Nmを発生、0-100km/h加速は5.5秒、最高速度は250km/h(リミッター)というパフォーマンスを誇った。車両価格は698万円(消費税5%込)だった。
初代Q3は、2015年にマイナーチェンジを受けるとともに、2.0TFSIの出力をアップ。またRS Q3も最高出力を310psから340psに、最大トルクを420Nmから450Nmに向上、0-100km/h加速は4.8秒と、従来より0.7秒も短縮した。また燃費も13.0km/Lと約13%向上させている。
こうして初代Q3は、日本においてはおよそ8年にわたり販売されるというロングセラーモデルとなった。
■新型Q3は豊富なラインナップで選択の幅が広がった
2020年7月7日に登場した2代目となる新型Q3は、クーペSUVである「Q3スポーツバック」と同時に日本に上陸した。
じつは新型Q3は、欧州ではすでに2018年7月25日に登場している。またQ3スポーツバックはその1年後、2019年7月24日に発表された。つまり日本上陸はQ3で欧州登場から2年、Q3スポーツバックで1年かかったことになる。
新型Q3とQ3スポーツバックの大きな違いはデザインになる。オーソドックスなSUVスタイルの新型Q3に対し、ルーフが低くリアガラスがなだらかに傾斜するクーペスタイルとなるQ3スポーツバックとなり、ディメンションではQ3スポーツバックのほうが新型Q3よりも全長で10mm長く、全高で45mm低くなっている。
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では、新型Q3はどのように進化したのか。初代Q3と比較してみよう。
●ホイールベースは初代より75mm長くなった
新型Q3は全長4490mm×全幅1840mm×全高1610mmとなる。初代Q3は全長4385mm×全幅1830mm×全高1615mmというスリーサイズだったので、新型Q3は初代に比べて全長が105mm長くなり、全幅は10mm幅広く、全高は5mm低くなっている。
また新型Q3のホイールベースは2680mmで、初代Q3の2605mmと比較すると75mm長くなった。これにより初代よりも広い室内空間を確保している。
それにともない、荷室容量も広くなっている。通常時の荷室容量は初代Q3の463リッターに対して530リッターと、およそ70リッター拡大している。新型はさらにリアシートの前後スライドやリクライニング機能もあり、リアシートを格納すれば最大1525リッターという広大な荷室が広がる。
●新型はガソリン/ディーゼル、FF/クワトロを用意
新型Q3は、登場当初から豊富なラインナップを用意する。
「35TFSI」とよばれる1.5リッター直列4気筒DOHCターボエンジンは、150ps・250Nmを発生。7速Sトロニック(DCT)と組み合わせ、駆動方式はFFだ。
また「35TDI」は150ps・340Nmを発生する2リッター直列4気筒DOHCエンジンで、トランスミッションは7速Sトロニック、駆動方式はクワトロ(4WD)となる。
初代Q3は、2012年5月の日本上陸時には、「2.0TFSIクワトロ 170ps」と「2.0TFSIクワトロ 211ps」の2種類のラインナップだった。どちらも2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載するが、出力違いで170psと211psが存在していた。
初代Q3は、のちに150ps・250Nmを発生する1.4リッター直列4気筒ターボ「1.4TFSI」も用意された。2.0TFSIも出力が向上、従来の170psは180psに、211psは220psになっている。
●車両価格:新型は438万円から
新型Q3の車両価格は、ベースグレードの35TFSIで438万円(消費税込、以下同)となり、一番高い35TDIクワトロSラインで543万円となる。
ちなみにQ3スポーツバックのほうが新型Q3よりも車両価格は高く、ベースグレードのQ3スポーツバック35TFSIは452万円、トップグレードの35TDIクワトロSラインは563万円だ。
初代Q3が日本に上陸した際の車両価格は、「2.0TFSIクワトロ170ps」が409万円(消費税8%込、以下同)「2.0TFSIクワトロ211ps」が479万円だった。新型と初代で、価格の差は少ないように感じられるかもしれないが、初代Q3はクワトロ、対する新型Q3のベースグレードはFFなので、見た目以上に価格差はある。
ちなみに2019年での初代Q3「1.4TFSI」は369万円、「1.4TFSIスポーツ」は386万円だった。
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新型Q3は、オーソドックスなQ3とステイリッシュなQ3スポーツバック、FFとクワトロ、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンなど、日本登場当初からさまざまな選択肢が用意されているのが特徴といえる。
日本でも扱いやすいサイズのプレミアムコンパクトSUVだから、初代のようにヒットする可能性が高いだろう。