タイヤはクルマのなかで路面に接している唯一の部品だ。重量1トンを軽く超えるクルマを安全に運転するには、タイヤの存在は欠かせない。そこでタイヤの基本的な役割をあらためて考えてみたい。
■4本とも同じタイヤ銘柄で交換しないと本来の性能は発揮できない
クルマにとって大切なパーツはいろいろあるが、なかでも足元を支えるタイヤは重要な役割を担っている。
タイヤは路面に接している唯一の部品だ。だからタイヤがなければクルマは走ることも止まることも曲がることもできない。普段から運転している多くのドライバーにとって、クルマにとってタイヤが大切なパーツということは知っていることだろう。
では、実際はどれだけのドライバーがタイヤに対して関心があるのだろうか。
日本グッドイヤーが全国の20代から40代の男女400名の自動車保有者を対象に調査をおこなった「タイヤに関する意識・実態調査」によると、自動車ユーザーのうち男性の32.0%、女性の63.5%は、自分の愛車に履いているタイヤの「タイヤメーカーを知らない」と回答している。
つまり男性ドライバーでは3人に1人、女性ドライバーでは3人に2人が、愛車が装着しているタイヤがどんなものなのか知らない、という結果になった。
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乗用車用タイヤには、スポーツタイヤ、スポーティタイヤ、エコタイヤ、コンフォートタイヤなど、さまざまな特徴を持つタイヤが存在している。
タイヤはよく「バランスの商品」といわれる。タイヤに求められる性能は、ドライグリップやウエットグリップ、静粛性、転がり性能、直進安定性、操縦安定性などさまざまにあるのだが、すべての性能を同時に満たすことは難しい。
だから各タイヤメーカーは、静粛性を重視したり、おもにサーキットでのドライグリップを重視したり、燃費性能を重視したりというように、そのバランスを考えて商品化しているのだ。
まずは愛車のタイヤをチェックし、どんなタイヤなのか、どのメーカーのものかを確認しよう。また日常的にタイヤを点検することで、溝が減っていたり、傷がついていたりすることに気づくことができ、トラブルを未然に防ぐことも可能だ。
タイヤがパンクしたとき、パンクしたタイヤ1本だけを新品に交換するのか、4本換えるのか悩むこともあるだろう。
コストはかかるが、できるだけ4本同時に交換するようにしたい。1本だけ新品タイヤになるとグリップバランスが崩れ、操縦安定性が悪くなる可能性がある。ほか3本のタイヤの溝が十分残っている場合は1本交換でもいいが、その場合は4本同じタイヤ銘柄で揃えることをお勧めする。
また前後違う銘柄のタイヤを装着することも止めたほうが良いだろう。タイヤは4本セットで本来の性能が発揮されると考えておいたほうがいい。
■女性の3人に2人は夏タイヤか冬タイヤか知らずに運転
そのアンケートで、愛車が夏用タイヤを装着しているのか、冬用タイヤを装着しているのかを質問したところ、男性の18%、女性の66%が「知らない」と回答している。
つまり女性ドライバーの3人に2人は、愛車のタイヤがサマータイヤなのかスタッドレスタイヤなのかを知らない、ということになる。男性ドライバーでも5人に1人は理解していないということだ。
北海道や東北などの降雪地域に住むドライバーは、冬の季節には必ず冬用タイヤを装着しているはずなので、この結果はおもに東京や名古屋、大阪など、非降雪地域のドライバーになるはずだが、愛車が夏用タイヤを装着しているのか冬用タイヤを装着しているのかわからないということは、冬に突然降った雪の際に、サマータイヤで走行する可能性があるということになる。
雪道をサマータイヤで走行すると、自分が思っている以上にグリップしない。単独事故ならば「自己責任」という言葉で片付けられるのかもしれないが、歩行者や他のクルマを巻き込む可能性もある。愛車のタイヤがサマータイヤなのかスタッドレスタイヤなのか、あらためて確認したほうがいい。
では、スタッドレスタイヤとサマータイヤを見分ける方法はどんなものがあるのだろうか。
トレッドパターンを見れば、スタッドレスタイヤは複雑な細かい溝が刻まれているので、サマータイヤとの違いは一目瞭然だ。またサイドウオールに「STUDLESS」という表記があるので、それがあるタイヤはスタッドレスタイヤということになる。
最近流行している冬用タイヤ「オールシーズンタイヤ」の場合は、サイドウオールに「snow」表記や、「スノーフレークマーク」と呼ばれるものが付いている。このタイヤの場合、高速道路で「冬用タイヤ規制」となったとしても、スタッドレスタイヤ同様に走行することが可能だ。
逆に、夏の季節にスタッドレスタイヤを装着したままだとどうなるのだろうか。
スタッドレスタイヤはサイプが細かく刻まれているので、静粛性は基本的にサマータイヤに比べると悪くなる。またスタッドレスタイヤは比較的ウエット路面に弱いため、雨の季節はサマータイヤのほうが安全だ。
またトレッドゴムの減りが早く、コスト的にも夏場にスタッドレスタイヤを装着し続けるメリットはない。
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タイヤはゴムでできているため、走行が増えれば摩耗もするし、長い間使用すれば劣化も起こる。つまりタイヤは消耗品なのだ。そのことをまず理解することが、安全安心のドライブにつながるということを頭に入れておきたい。