直近の軽自動車販売台数で上位に位置する多くのモデルがスライドドアを搭載しています。ファミリー層を中心に支持されているスライドドア搭載車ですが、その要因はどこにあるのでしょうか。
■高い人気を誇るスライドドアモデル
近年、スライドドアを搭載した軽自動車の人気が高い傾向にあります。全国軽自動車協会連合会によると、2019年度の販売台数の上位5台中3台がスライドドアです。
最新の2020年7月の販売台数でも、上位5台中4台はスライドドア搭載モデルを設定(ムーヴはムーヴキャンバス)。なぜ、これほどまでにスライドドアのモデルが軽自動車市場を席巻しているのでしょうか。
なかでもホンダ「N-BOX」、ダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」は、近年の軽スライドドアモデルを代表しています。
ほかにもモデルの人気を支える要素はありますが、ユーザーから支持される理由のひとつにスライドドアがあるというのは間違い無いでしょう。
スライドドアには、手動式と電動式のふたつが存在し、近年のミニバンや軽ワゴンでは電動タイプのものが増えつつあります。
スライドドアが人気の理由について、ダイハツ販売店スタッフは以下のように話しています。
「一般的にいわれている狭い道や駐車場での開閉のしやすさは、やはり支持される大きな理由のひとつだと思います。
また、通常のヒンジ式ドアと比較しても手動式であれば修理費がそこまで高いわけではありません。電動式の場合はモーターの交換などが必要であればそれなりに掛かってしまいます」
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開口部が広くなることでファミリー層を中心に支持されているスライドドアですが、タントやホンダ「N-VAN」といったモデルは「センターピラーレスドア」を採用しています。
ボディ中央で天井を支えるピラーをドアに埋め込むことで、開口部がより広くなり乗降性が向上します。
またこれにより、タントの助手席側開口幅は1490mmとなり、ゴルフクラブなど長さのある荷物でも余裕を持って積み込む持ち込むことが可能です。
■良いことづくめではない!? スライドドアのデメリットとは
高い利便性から支持を集めるスライドドアですが、メリットは広く知られている一方で、デメリットは比較的認識されていません。
では、スライドドアにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
前述のダイハツ販売店スタッフは以下のように話しています。
「ヒンジ式ドアと比較して、スライドドアは複雑な構造をしています。また、電動式の場合には開閉用のモーターが搭載されるため、車体が重くなる点はデメリットといえます。
また経年劣化によって、雨漏りやカタカタという異音が鳴ることがあります。滅多に起こりませんが、こういった事例もあります」
タントは「HYBRID X」がパワースライドドア(電動式)を搭載、「HYBRID G」は非搭載となっています。
それぞれの2WD車のカタログ燃費(JC08モード)は、HYBRID Xが28.2km/L、HYBRID Gは30.0km/Lとなっているため、車体が重くなることで燃費が悪くなることはデメリットといえます。
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良いことづくめに思えるスライドドアにも、車体が重くなるなどのデメリットがありまが、それでも支持されるということは、やはりユーザーのなかではスライドドアの機能性が評価されているようです。