ランボルギーニの創始者フェルッチオ生誕100周年を記念して作られた「チェンテナリオ」。クーペとロードスターそれぞれ20台ずつの限定モデルのオークション落札価格は、新車当時のプライスを上回ることが出来るのだろうか?
■フェルッチオ生誕100周年を祝った「チェンテナリオ」とは
本来は、モントレー・カー・ウイークで賑わうはずの、8月半ばのカリフォルニア州モントレー。だが2020年の光景は、これまでとはまったく変わったものだったようだ。
ペブルビーチ・コンクール・デレガンスに代表される、いわゆるビッグ・イベントは新型コロナ・ウイルスの影響で中止となり、そのほかのイベントに併催されるオークションも、オンラインによるものがほとんどとなった。例年とは異なる、静かな1週間がそこにはあった。
●世界限定40台のレアモデル
だがオークショネアの各社が用意した出品車は、これまで以上に興味を引かれるものばかりだった。
例えばランボルギーニ「チェンテナリオ・クーペ」がそうだ。
チェンテナリオは、ランボルギーニの創始者であるフェルッチオ・ランボルギーニの生誕100周年を祝して製作された。クーペが20台、オープン仕様のロードスターが20台という限定車である。
2016年のIAA=フランクフルト・ショーで発表され、クーペがまず最初にお披露目された。
最近では、多くのスーパースポーツやメーカーの限定車がそうであるように、このチェンテナリオもフランクフルトでの発表時には、クーペもロードスターも、すべてが完売していた。
参考までに、この時に発表された価格は175万ユーロ(当時の邦貨換算で約2億2000万円)。いかに限定車とはいえ、それだけの高額車が瞬時にソールドアウトになるまでに成長を遂げたランボルギーニを、フェルッチオが生きていたとしたら、はたしてどう見ただろうか。
■予想落札価格は2億1000万円から、果たして落札されたのか!?
チェンテナリオが一番のインパクトを持つのは、やはりそのスタイリングだ。
とくに前後セクションのディテールは見事で、フロントのバンパースポイラーから吸入されたエアは冷却という仕事を終えた後に、ボンネット上に設けられた一対のアウトレットから放出され、ここでもダウンフォースを得る仕組みとなっている。
●2億1000万円の予想落札価格に届かず!
ヘキサゴン=六角形は、近年のランボルギーニが好んで使用してきたデザイン・モチーフだが、それはこのチェンテナリオにも数多く見られる。
たとえばサイドウインドウや前後フェンダーとサイドステップによって構成されるラインでも再現されている。またエンジンカバーにもやはりヘキサゴンの要素が数多く見受けられる。
リアミッドに搭載されるエンジンは、「アヴェンタドール」用の6.5リッターV型12気筒自然吸気をベースとするもので、最高出力はアヴェンタドールの高性能仕様である「SV」と比較して、さらに20psアップの770psと発表された。
基本構造体となるモノコックをはじめ、このチェンテナリオは軽量かつ高剛性なカーボン技術が惜しみなく使用され、最終的に1520kgという乾燥重量を実現。これから計算されるパワー・ウエイト・レシオは1.97ps/kg。参考までにモノコックのねじり剛性値は、3万5000Nm/度という驚異的な数字を確保している。
プッシュロッド方式のサスペンションなど、シャシの構成はアヴェンタドールと基本的には共通だ。ただしランボルギーニ初となる後輪操舵システムが採用されたことや、磁気粘性ダンパーのセッティングなどはチェンテナリオ独自のものとなる。
前後のホイールはフロントが20インチ、リアが21インチ。スポークには鋳造圧延アルミニウム製による、ブレーキからの熱排出を効果的におこなうためのファンが装着されているのが特徴的だ。
このチェンテナリオを出品したボナムス1793は、予想落札価格を2億1000万円−2億5000万円と提示。為替の影響もあるが、新車時からほとんどプレミアムはついていない。
だが残念ながら入札締め切りの8月14日までに、このチェンテナリオの売買は成立しなかった。特別ななかにも特別な限定車であるだけに、残念に感じるファンも多いことだろう。
ボナムス1793は、今後もこのチェンテナリオのセールスを継続するという。日本のファンに落札してもらえれば、それは何よりの幸せだと思うのだが。
ちなみに日本では、新車としてクーペが1台、ロードスターが2台、正規ルートで販売されている。