Infoseek 楽天

2代目のジンクスに苦労!? 初代ほどインパクトがなかった日産車5選

くるまのニュース 2020年8月20日 6時10分

すべてのモデルに当てはまるわけではありませんが、完全な新型車が出ると話題性もあり、メーカーの力の入れ方もすごいのでヒットにつながる傾向にあります。しかし、話題性があった初代と比較して、2代目も継続して話題となるのは難しいといえます。そんな苦労があった2代目を、日産車のなかから5車種ピックアップして紹介します。

■偉大な初代に隠れた日産の2代目たちを振り返る

 毎年、各メーカーから新型車が発売されますが、その多くは既存のモデルのフルモデルチェンジで、まったくの新型車というのは、数少ないものです。

 そうしたまったくの新型車は話題性も豊富で、メーカーもかなり気合を入れて開発しているため、すべてのモデルに当てはまるわけではありませが、ヒットする傾向にあります。

 しかし、初代があまりにも話題になると、2代目が超えるのは相当難しいようです。そこで、日産車のなかから、苦労があった2代目を5車種ピックアップして紹介します。

●セフィーロ

初代と比べると、すっかりオヤジセダンとなってしまった2代目「セフィーロ」

 1988年にデビューした日産初代「セフィーロ」は、プロジェクターヘッドライトを配したモダンなフロントマスクや、流麗なフォルムのデザインを採用するなど、それまでの日産製セダンとは一線を画するモデルで話題となりました。

 また、糸井重里氏が考案した「くうねるあそぶ。」のキャッチコピーや、井上陽水氏を起用したCMも話題セフィーロは幅広い年齢層から支持を得ます。

 初代は全グレード2リッター直列6気筒エンジンのFR車で、「セフィーロコーディネーション」というセミオーダープランを展開。3種類のエンジンとサスペンションによる9通りの組み合わせを選択できるだけでなく、車体色と室内色の組み合わせが選べたことも特徴でした。

 そうしてヒット作となった初代の跡継ぎとして、1994年に2代目セフィーロを発売。シャシ、エンジンともに一新され、新開発のV型6気筒DOHCエンジンを搭載するFF車となっています。

 ボディサイズは全長4760mm×全幅1770mm×全高1410mmと大型化し、FFとしたことと相まって広い室内空間を実現。実用性を重視したセダンとして高く評価され、当初は販売も好調でした。

 しかし、初代セフィーロの斬新でスポーティなセダンというイメージは無く、FFへの変更と直列6気筒エンジンを廃止したことや、ボディサイズの大型化によって、初代とは異なるユーザー層へと変化。

 後に初代が再評価される結果となり、中古車市場では初代の人気が高まる結果となってしまいました。

●シーマ

絶大な人気を誇った初代は越えられない壁となっていた2代目「シーマ」

 1988年、日産は高級セダン「セドリック/グロリア」の上級モデルとして、初代「セドリックシーマ/グロリアシーマ」(以下、シーマ)を発売。

 バブル景気という時代背景や、1985年頃から始まった国民の中流意識の高まりから、ユーザーの高級志向の流れに乗って大ヒットを記録しました。

 そして、バブル絶頂期の1991年に2代目シーマが登場。初代のイメージを踏襲しながらも、英国車をイメージさせる外観へと変貌。

 トップグレードに搭載されたエンジンは、初代の3リッターV型6気筒ターボから4.1リッターV型8気筒自然吸気に換装され、出力の向上を図りつつ高級車らしいマイルドな出力特性を実現。

 また、2代目は好景気中に企画、開発されたことで、内装も初代よりも豪華に仕立てられています。

 足まわりには油圧式アクティブサスペンションが上級グレードに設定され、優れた乗り心地と高いロードホールディング性能を両立するなど、初代よりもあらゆる性能が向上しています。

 しかし、初代は「シーマ現象」という言葉が誕生したほどの話題性がありましたが、2代目では多くのライバル車の登場や、発売から1年ほどでバブル崩壊という経済の混乱もあって、初代を超えるヒットには至りませんでした。

 現在もシーマは販売されていますが、もはや話題性という点では風前の灯火です。

●ステージア

高性能なエンジンとシャシながら、ブームが去っていたのが痛かった2代目「ステージア」

 昭和の頃は1車種につきセダン、クーペ、ステーションワゴン、ライトバンと、複数のボディタイプをラインナップするのが一般的でした。

 日産もスカイラインに7代目までステーションワゴンを設定していましたが、8代目(R32型)からは、セダンとクーペだけになっています。

 そこで、日産はスカイライン系のコンポーネンツを流用することで、1996年にステーションワゴン専用車の「ステージア」を発売。

 ボルボ「850エステート」といった、ハイエンドかつスポーティなステーションワゴンが売れていた背景もあり、ステージアも話題となりました。

 また、オーテックジャパンから、R33型スカイラインGT-Rのコンポーネンツをステージアに移植した「260RS」が登場するなど、注目されます。

 そして、2001年に新FRプラットフォームを採用した2代目が登場。エンジンは3リッターと2.5リッターのV型6気筒を搭載し、なかでもステージア専用のエンジンとして、最高出力280馬力を発揮する2.5リッターV型6気筒ターボエンジンが設定されるなど、260RSを彷彿とさせる高性能モデルをラインナップ。

 ほかにも、SUV的要素を取り入れた「AR-X FOUR」が設定されるなど、意欲作となっていました。

 しかし、ステーションワゴン人気の低迷もあり、初代ほどの話題性や人気を獲得できず、2007年に生産を終了。2代目をもってステージアは消滅してしまいました。

■伝説の初代とはまったく異なる2代目とは!?

●フェアレディZ

初代が偉大すぎたことで苦労した2代目「フェアレディZ」

 1969年に登場した初代「フェアレディZ」は、斬新なファストバックスタイルと優れた足まわり、高性能なエンジンを搭載した生粋のスポーツカーとしてデビュー。

 日本でヒットしたことに加え、アメリカではダットサン「240Z」の名で大ヒットを記録。アメリカでは英国製スポーツカーを駆逐し、ポルシェを本気にさせたと、いまも語り草になっているほどです。

 実際に生産されたフェアレディZのほとんどが、アメリカへ輸出されていたといわれています。

 そして1978年に、初代からキープコンセプトとした2代目フェアレディZを発売。アメリカでの展開は1979年からで、ダットサン「280ZX」の車名が与えられました。

 搭載されたエンジンは初代を踏襲する直列6気筒のみで、トップグレードには2.8リッター自然吸気、さらに2リッターターボも追加。

 全体のフォルムは初代のイメージを残しつつ、ボディサイズを全長4420mm×全幅1690mm×全高1295mmと、大きく伸びやかなフォルムになりました。

 また、1980年にはルーフセンターを残しながらもオープンエアドライブが楽しめる、左右独立の脱着式グラスルーフを持つ「Tバールーフ」をラインナップするなど、華やかさも取り入れています。

 しかし、初代よりも大きく重くなったボディや、豪華になった室内、レースにも出場していなかったなどから、スポーツカーよりもGTカーのイメージが強くなり、初代ほどの人気とはなりませんでした。

 現在、旧車人気が高まっていますが、やはり初代フェアレディZの人気は別格です。

●シルビア

ロータリーエンジンを搭載していれば違った運命だった!? 2代目「シルビア」

 1965年に発売された初代「シルビア」は、2シーターオープンスポーツカーの「フェアレディ」をベースに、美しいデザインの2ドアクーペボディを架装したスペシャルティカーとしてデビュー。

 内外装のデザインを優先したことで、製造工程の多くが手作業でおこなわれるなど、量産できる状況ではなく、当時の価格はセドリックを超える120万円に設定されるなど、とても若者には手が出せるクルマではありませんでした。

 そのため、1968年には生産を終え、わずか554台しか販売されず、後に幻の名車として名を馳せます。

 ここで一旦はシルビアの系譜は途絶えますが、1975年に2代目シルビアとして正式名称「ニュー・シルビア」がデビュー。

 2代目は大衆車の「サニー」のシャシをベースに開発された新時代のスペシャルティカーで、外観のデザインはアメリカ市場を意識した流麗なファストバックスタイルとなっていました。

 しかし、ちょうど排出ガス規制が強化された時期に発売されたことで、速そうな見た目ほどのパワーもなく、販売は低迷します。

 さらに外観のデザインも、美しい初代と比べ日本人の好みではなかったようです。

 3代目ではパワフルなターボやDOHCエンジンを搭載し、外観も直線基調のシャープな印象となったことで人気を回復。

 歴代シルビアでは、話題性という点で2代目がもっとも苦労したのではないでしょうか。

 ちなみに、2代目シルビアは日産製ロータリーエンジンの搭載が予定されていましたが、オイルショックなどの影響で計画は白紙となってしまいました。

 もし、2代目にロータリーエンジンが搭載されていたら、違った歴史になっていたかもしれません。

※ ※ ※

 話題性に富んだ初代を2代目が超えるのは難しいのですが、2代目が大ヒットした例はいくつもあります。

 たとえば、トヨタ「プリウス」や、三菱「パジェロ」、ホンダ「プレリュード」などです。

 なかでもプリウスの場合、初代の方が圧倒的に注目されたものの、価格が高く、ユーザーの環境意識もそれほど高くなかったことからヒットしませんでした。

 新型車がヒットするには、さまざまな要因が重ならないと実現しないので、いかに新型車開発が難しいかが伺えます。

この記事の関連ニュース