高速道路において、合流するクルマが本線のクルマとの速度差をなくすために必要な加速車線。では、日本の高速道路の加速車線は一体どのくらいの距離があるのでしょうか。また、本線へ合流するときにはどのような部分に気を付ければよいのでしょうか。
■スムーズな合流には加速車線での充分な加速が大切
日本の高速道路には、本線を走るクルマと合流するクルマの速度差を無くすために「加速車線」が存在します。しかし、場所によって加速車線の長さは異なります。
本線では渋滞時などを除けば、通常ほとんどのクルマが制限速度に近いスピードで走行しているため、それに近い速度まで加速し、速度差を埋めてから合流する必要がありますが、軽自動車や大排気量車など加速性能に差があるクルマが混在するなかで、すべてのクルマが円滑に合流出来るのでしょうか。
標識などで指定のない高速道路であれば、基本的に本線の最低速度は時速50キロと定められており、それ以上の速度に達していれば違反にはなりませんが、それでは本線のクルマとの速度差がありすぎて、追突事故の原因にもなりかねずとても危険です。
そのため、安全にスムーズに本線へ合流するためにも、加速車線を使ってしっかり加速することが大切です。
日本の高速道路の加速車線とは何処をさすのか、どんなクルマでも充分な速度まで加速できるように設計されているのかについて、NEXCO西日本の担当者は次のように話します。
「高速自動車国道への加速車線とは、本線と平行で走っている部分を指します。例えば、ジャンクションやインターチェンジなどでぐるっと曲がっているような部分は加速車線には含まれません。
加速車線の長さは、本線の設計速度(道路設計の基礎となるクルマの速度)によって異なります。例えば、本線の設計速度が時速100キロの場合は、240メートル以上の加速車線長を確保できるように設計しています。
いずれにしても、どのようなクルマでも本線に合流できる速度まで加速するための長さを確保しております」
では、加速車線から本線に合流するときはどのような点に注意して合流すれば良いのでしょうか。また万が一、充分に加速出来なかったりうまく本線に入り込めなかった場合はどうすれば良いのでしょうか。
本線に合流する時の注意点について、前出の担当者は次のように話します。
「加速車線でしっかりとアクセルを踏んで加速すると同時に、本線を走っているクルマの動きを見て『あのクルマの後ろに入ろう』と目標を定めてください。もし横並びになった場合はアクセルを離して減速し、そのクルマのすぐ後ろに合流してください。
本線へ合流する動作は加速車線の範囲内でおこなう必要があり、ある程度の運転技術が必要な部分ではあります。
もし合流できなかったり、妨害されて怖くなったりしたら、最悪止まることもやむを得ません。その際は絶対に後退はせず、本線を走るクルマが来ないことを確認して、しっかりとアクセルを踏んで加速しながら本線に合流してください」
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なお、合流時は充分な加速や目標を定めてタイミングを測ることも大切ですが、合流しやすいよう本線の合流車線をあけてもらえるようにアピールすることも大切です。
加速車線に入ったらウインカーを操作して合流する合図を出し、周囲に知らせることも忘れないようにしましょう。もし、後続車がいる場合には、後続車が先に合流してしまう可能性もあるので、後続車の動きにも注意が必要です。
また、うまく本線に入り込めても、充分に加速が出来ていないと、後続車が詰まってしまったり、速度差によっては追突事故にもなりかねません。
そういった点からみても、合流できずに本線合流前で停止してしまい、事前加速無しで本線へ合流するのは危険なため、しっかり加速して本線のクルマの流れに乗ることが大切です。
■合流してくるクルマが見えたときはどうする?
本線への合流時の方法や注意点を見てきましたが、一方で本線を走行しているときに合流してくるクルマが見えたときはどう対処すると良いのでしょうか。
本来であれば、高速道路において本線と加速車線では、本線側が優先となります。しかし、実際には、優先だからといって本線を走行するクルマが合流してくるクルマを一切気にかけずに走行しているということはなく、本線を走行する側からも合流してくるクルマの動きを考慮した運転をしているのが現状です。
では、本線走行中に合流してくるクルマが見えたときはどう対処すればよいのでしょうか。
対処方法としては、合流してくるクルマは本線を走行しているクルマより速度が遅いことも多いため、道路状況的に可能なのであれば車線変更をおこなうことが一般的です。
車線変更が出来ないときは合流してくるクルマの速度やタイミングを見て、自身のクルマの速度を調整するなどして合流スペースを空けてあげることもあります。
こういった合流してくるクルマがいるときの対処や注意点について、NEXCO中日本の担当者は次のように話します。
「車線変更が出来ない場合、合流スペースをあけようとクルマの速度を落とし過ぎると後続車との追突のリスクがあるので注意が必要です。逆に、前を走るクルマが速度を落としてくる可能性もあるので、前後合わせて周囲の状況には注意してください。
また、自身のクルマの前後どちらに合流してもらうのかについては、状況にもよるので一概にはいえません。しかし、もし合流するクルマが十分に加速出来ているようであれば、自身のクルマの速度を落として前へ、充分に加速できておらず速度が遅いようなら、後ろへ合流してもらうようにスペースを空けるのが良いでしょう」
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高速道路では本線が優先ではあるものの、合流する側が正しい方法を守るだけでなく、本線を走行する側の協力も必要です。
双方が互いに周囲の状況に注意を払い、配慮しあうことで、安全でスムーズな合流が可能となるのです。