かつて流行した金色エンブレムも、現在は流行の波に飲まれて衰退しました。しかし、現在もなおホンダでは純正パーツとして取り扱われています。なぜ、いまもなお金色エンブレムを残し続けるのでしょうか。
■ホンダはいまだに金色エンブレムを設定
かつて、クルマのエンブレムを変更するドレスアップが流行った時代があり、セダンやミニバンといったモデルではロゴや車名のエンブレムを金色にしていましたが、近年では見かける機会が減っています。
実際にトヨタや日産では純正パーツによる取り扱いを廃止していまが、ホンダでは現在も取り扱いを続けているといいます。なぜ、いまもなお金色エンブレムを販売し続けているのでしょうか。
かつての金色エンブレムは、メーカーにより異なりますが「ゴールドエンブレム」などという名称で純正パーツとして販売されており、各メーカー系の販売店などで新車購入時などに取り付けることが可能でした。
しかし、現在は金色のエンブレムを使用しているクルマがめっきり減っています。当時は、日産、トヨタ、ホンダなどの各メーカーでも純正パーツとして取り扱われていたものの、いまではほとんどのメーカーで見かけることがありません。
金色エンブレムは、なぜその姿を消してしまったのでしょうか。金色エンブレムの取り扱いについて、日産の販売店スタッフは次のように話します。
「現状、販売している新しいクルマについては、金色のエンブレムに関する設定はおこなっていません。ひと昔前は流行していたものの、現在はそのトレンドも廃れたため、5年ほど前から純正パーツとしての取り扱いが取りやめられている状態です。
純正パーツとしての取り扱いはないものの、要望があれば別注パーツとして、専門の塗装業者さんに手配していただくことも可能です」
また、トヨタの販売店スタッフは、以下のように話します。
「確か12代目クラウン(18系)にオプション設定されていましたが、最近では設定がありません。唯一の金色エンブレムとしては、2020年5月に発売されたアルファードの特別仕様車『S“TYPE GOLD”』が金色エンブレムを採用しています
現在の新しいクルマに金色のエンブレムを純正パーツとして取り扱っている車種がないため、社外品を探して取り付ける形になります。
しかし、いまのクルマはグリルにレーダーが搭載されているものもあり、そこだけ取り替えるというのは非常に難しいです。
また、昔のエンブレムは両面テープ式で簡単に取外しができたものの、近年のものについてはしっかりと固定されているものも多く、無理に剥がすとクルマを傷つけてしまう恐れがあります。
このように、エンブレムの交換はリスクを伴い兼ねないこともあり、金色エンブレムを装着するユーザーが減った要因のひとつとして考えられます」
※ ※ ※
このように、日産やトヨタでは金色エンブレムの取り扱いを廃止する傾向にあるといい、一部のユーザーやSNSでは、金色エンブレムに対して「下品」「ダサい」といった声も多く、ユーザーのなかには「金色エンブレムを付けたクルマを見かけたらマイルドヤンキーといった人達が乗っていると思いできるだけ避けています」という人も少なくないようです。
■減りゆく金色エンブレム…それでもホンダは採用継続!?
一方で、ホンダでは一部のモデルで、前後のホンダマークと車名エンブレムをセットで販売。ホンダ車の純正パーツを開発・販売しているホンダアクセスは次のように話します。
「ホンダ車では、金色エンブレム(製品名:ゴールドエンブレム)をいくつかの車種に設定してオプションパーツとして販売しています。
現在は、金色だけでなく黒色のタイプをクルマ自体のデザインなどに合わせて設定している車種もあります。購入の地域特性としては、関西圏において売れているようです。
ただ、ホンダでも昔よりはエンブレムのオプションパーツを設定していない車種も増えています。そのひとつの要因として、一部の車種では安全運転支援システム『ホンダ センシング』のミリ波レーダーのセンサーがエンブレム位置と干渉して誤作動する可能性があるため、エンブレムを付け替える必要があるオプション設定をやめています」
また、実際の販売状況について、ホンダの販売店スタッフは次のように話します。
「車種によって異なるものの、現行モデルのなかでも金色エンブレムを取り扱っているモデルはあります。現在も、ある程度の需要があるため、純正パーツとしての取り扱いをおこなっています。
しかし、具体的にどれくらい出ているかなどの数は不明です。とはいえ、昔に比べてその需要は大きく落ちているのも事実です。最近クルマを購入された人のなかで、金色エンブレムを頼まれるお客さまは非常に少ないです。
過去には、ステップワゴンや軽自動車のN-BOXでも設定があったものの、いまは設定が無くなっています」
※ ※ ※
このように現在でも一部のモデルで金色エンブレムを設定しているホンダですが、その需要は減りつつあるといいます。
しかし、別のホンダ販売店によれば新車に乗り換える際には「必ず金色エンブレムをつける」というユーザーも存在するといい、ホンダオーナーのなかではいまでも定番化しているパーツなようです。