個人間カーシェアサービスを手掛けるAnycaが、アルファードをリース契約した人へ月額最大4万円を支援します。政府による国民への給付金などとは異なり、民間企業が支援金を設定するという新たな試みとは、どのようなものなのでしょうか。
■アルファードが月2万円台!? さらに安くなるかも?
コロナ禍でのクルマの使用に関する支援金が、ついに出るようです。月額最大4万円だということですが、政府による一律10万円の定額給付金や、店舗などの休業補償とは違います。
月額最大4万円の支援は、民間企業がユーザー向けに設定したものです。
実施するプログラムは、IT企業のDeNAと損害保険の損保ジャパンが合弁事業として展開している、個人間カーシェアサービス「Anyca (エニカ)」と、マイカーリースサービス「SOMPOで乗ーる」を組み合わせたもの。
どういうことなのか、概要を見ていきましょう。
ユーザーは、Anycaで車両をカーシェアすることを前提とし、SOMPOで乗ーるでリース契約。そしてAnycaに加入します。
今回支援金を得られるモデルは、トヨタ「アルファード」と「ランドクルーザープラド」の2種類。リース期間はそれぞれ3年間で、月額リース料はアルファードが6万830円でランドクルーザープラドが5万4340円です。
アルファードの場合、月4万円の支援で月額2万830円、ランドクルーザープラドは月2万円の支援で月額3万4340円となり、アルファードのほうがお得にリースすることができます。
カーシェアが成立すれば、シェア受取金額も発生するので、月の支払額がさらに安くなるというわけです。ただし、カーシェア成立時、予約成立料が発生します。
また、「定額支援」は解約可能なのですが、「SOMPOで乗ーる」自体は途中解約ができません。
応募資格は、住居および駐車場が、東京都中央区、港区、新宿区、江東区、品川区、目黒区、世田谷区、渋谷区、中野区にあることです。
募集期間は2020年8月25日から2020年9月30日で、実施人数は30人とされています。
詳細については、同社ウェブサイトを確認してください。
■コロナ禍でカーシェアの流れが変わった?
今回の企画はさまざまな条件があるために、少し分かりにくいかもしれませんが、次世代型モビリティサービスとしては革新的な印象があります。なにせ、リースで借りているクルマを、第三者に貸すというのですから。
そもそも、個人間カーシェア自体がまだ一般的ではありません。日本に限らず、世界市場でもまだ定着していない、次世代型のビジネスモデルです。
海外でカーシェアというと、ウーバーやリフトなど個人が所有車をタクシーのように使う、ライドシェアリングが主流です。
日本でのカーシェアは、タイムズやオリックスが所有する駐車場などの空きスペースにあるクルマを立会人がいない状態で借り出す仕組みが一般的です。貸し手と借り手が非対面でのレンタカー形態で、1時間単位で利用可能です。
そうしたなか、DeNAはモビリティビジネスに風穴を開けるための挑戦として、2015年9月から個人間カーシェアのAnycaを開始しました。
Anycaの場合、個人所有のクルマを個人向けに貸し出し、DeNAはアプリなどサービスを提供して仲介者となります。
現在までに累計登録台数は1万6000台以上、車種は750モデル以上、登録会員数は35万人を超えています。
その一方、個人間カーシェアに対しては当然、賛否両論がありますが、最大の課題である事故の際の補償について、SOMPOジャパンとの協業によってさまざまなサポート事業が盛り込まれるようになり、貸し手と借り手のリスクは軽減されたと思います。
一般的に、コロナ禍でカーシェア利用が増えたといわれていますが、個人間カーシェアが主体のAnycaはどうだったのでしょうか。
DeNA SOMPOモビリティによると、2020年4月、5月は外出自粛のため利用が約半分に落ち込みましたが、その後は公共交通機関を避ける動きが始まり、6月は昨年比124%、7月は132%と増加傾向が見て取れるといいます。
Anyca事業責任者の馬場光氏は、新企画への抱負について次のように語っています。
「シェアリングを前提にクルマを購入し、Anycaで維持費を軽減しているユーザーがすでにいらっしゃいます。今回の応募条件に合わない人でも、この取り組みをきっかけに、Anycaによってクルマ保有の実質負担額を抑えることが可能だということを知っていただきたいです」
第二弾の実施時期や内容は未定ですが、第一弾のさらに上をいくビックリ企画の登場に期待したいところです。