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トルクは3Lエンジン並み!? 新型「ホンダe」 初の量産EVでもホンダイズムはあるのか

くるまのニュース 2020年8月31日 14時10分

ホンダ初の電気自動車「ホンダe」が2020年10月末に発売されます。先進機能とともにホンダらしさが込められた量産EVに仕上がったといいますが、いったいどんなクルマなのでしょうか。

■動力性能は「アコード」譲り? 小型ボディに大パワーを搭載

 ホンダは、2020年8月27日に新型「ホンダe」を発表しました。発売は10月30日を予定しています。ホンダ初の量産EV(電気自動車)として発表される新型ホンダeは、ホンダらしさに溢れたクルマになったと開発責任者は語りますが、果たしてどのようなポイントにホンダらしさが込められたのでしょうか。

 新型ホンダeは、ボディサイズ全長3895mm×全幅1750mm×全高1510mmで4人乗りの小型EVです。一充電走行距離は、WLTCモードで283km(標準グレード)を達成しており、30分程度の急速充電で約80%まで充電が可能となります。

 開発責任者を務めた一瀬智史氏によると、新型ホンダeの開発にあたっては、「街なかベスト」というキーワードが重要だったといい、次のようにコメントします。

「都市間交通など、遠くへの移動は公共交通機関やハイブリッド車などに任せることによって、(電気自動車は)街なかでより使いやすいものになると考えました。

 従来のEVは、ガソリン車の性能を達成しようとして、大きくて重いバッテリーを搭載しています。街なかを考えたとき、本当にそれが合理的なのか、という疑問が湧いてきました。

 適正なバッテリーサイズにすることによって、街なかベストのサイズや、人に優しいたたずまい、誰もがストレス無く運転できる取り回しなどが実現できます。

 そこに新たな価値を付加することによって、新型ホンダeはより魅力的なものになると思い、開発してきました」

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 合理的な考え方を元に開発されたことによって、新型ホンダeは多くの付加価値を実現しています。

 まず駆動用モーターとして、同社の大型セダン「アコード」に搭載されるハイブリッドシステム「e:HEV」のモーターをリアに配置。3リッタークラスに匹敵する最大トルク315Nmという大パワーを発揮します。

 駆動輪は後輪で、走行状況に応じてNORMALとSPORTというふたつの走行モードが選択できるほか、シングルペダルコントロールも搭載されます。

 モーターをリアに搭載したことによって、一般的な軽自動車より小さい最小回転半径4.3mを実現したほか、ホンダ車で初搭載の駐車支援システム「Honda パーキングパイロット」をはじめ、運転の楽しさだけでなく、運転しやすさにもこだわっています。

 また先進装備として、5つのスクリーンを水平配置した量産車世界初のワイドビジョンインストルメントパネルや、中央に2画面並べた12.3インチの「ワイドスクリーン Honda CONNECT ディスプレー」、音声認識と情報提供をおこなう「Hondaパーソナルアシスタント」、スマートフォンをデジタルキーとして使用できパワーオンまでおこなえる機能(国産車初)、サイド/センターカメラミラーシステムなどを装備しています。

 遠隔エアコン操作にも対応しており、「エアコンは最初の温度調整に一番エネルギーを使うので、プラグイン状態で温度調整をすることによって、バッテリーの電力を走行用に効率よく使うことができる」(一瀬氏)といいます。

 安全運転支援システム「Honda SENSING」は、全車標準装備となりました。

 外観は円を基調とし、新しい時代になじむシンプルでモダンなデザインを実現。内装は、移動しているときだけでなく止まっている時の心地よさも重視し、心安らぐリビングのような空間としました。

 なお、新型ホンダeの登場にあわせて開設されるアプリセンターでは、「バーチャルプレイリスト」や「radiko」、「ナビタイムコネクト」などのほかに、ディスプレイを水槽に見立てて魚を飼える「アクアリウム」というアプリも用意されます。

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 ホンダ 商品ブランド部 商品企画課の河津健男氏は、新型ホンダeについて「未来を見据えて先進装備を多数搭載したクルマとなっています。新型ホンダeを通じて、未来のホンダへの期待感をつくっていきたいと考えています」と話します。

 また、前出の一瀬氏は、新型ホンダeの“ホンダらしさ”について「ホンダらしさは、エンジンだけではありません。これまでもVTECに代表されるように、常識を見直して開発してきた歴史があります。新型ホンダeも常識を見直して作られた、それが非常にホンダらしいクルマになっていると思います」とコメントします。

 常識を見直して開発するというホンダイズムは、新型ホンダeにも充分に受け継がれているようです。

 新たな時代のホンダらしさが表現された新型ホンダeは、標準グレードが451万円、「アドバンス」グレードが495万円です(ともに消費税込)。

■新型ホンダeとの暮らしを考えるプロジェクトが始動

 新型ホンダeの登場にあわせて、クルマによる移動と人々の暮らしがシームレスにつながる未来の生活を想像できるプロジェクト「“with”Project ホンダe」を8月27日より開始すると発表されました。

 プロジェクトでは、全部で4つのプログラムが展開されます。

新型「ホンダe」

 まず、「もしものときも with Honda e」では、電気自動車である新型ホンダeが非常時の電源として活用できることに着目。「突然の災害時、少しでも日常と変わらず過ごせることを」をテーマに、新型ホンダeを活用した車中での避難生活の紹介や、ホンダが持つ防災グッズ等の展示がおこなわれます。

 開催日時は8月28日から30日の11時から17時。場所は「Hondaウエルカムプラザ青山」です。

「自分らしい働き方 with Honda e」では、新型コロナ禍で在宅勤務やコワーキングの普及が進むなか、鎌倉市をはじめ、リモートワーカーを積極誘致する地方都市が登場していることを受け、2020年11月から12月(予定)に鎌倉市への移住を検討している対象者に新型ホンダeと住まいを貸し出す、という企画がおこなわれます。

 詳細は後日発表される予定です。

「はじめての地元 with Honda e」では、近年注目を集める「マイクロツーリズム」と新型ホンダeの相性の良さに注目。2020年11月から12月(予定)に、アートの街として知られる金沢市や周辺スポットを舞台に、地元の方に「Honda e」を無料で貸し出し、地元の魅力を再発見してもらう、という試みがなされます。

 こちらも詳細は後日発表予定です。

「未来のクリエーター with Honda e」では、雑誌「Pen(ペン)」と共同で、アートを通じて、これからの未来を担う若者と共に人と社会とクルマがつながる未来、すなわち新型ホンダeのある未来を考えるプロジェクトが展開されます。

 美術を学ぶ大学生・大学院生・専門学校生を対象に「『Honda e』がある未来の風景」をテーマに作品を募集。学生は8月29日から9月13日に代官山T-SITE GARDEN GALLERYで開催される体感イベント「Honda eとつながるWeek」で新型ホンダeを体験し、作品を制作。

 優れた作品は「Pen」本誌、「Pen Online」特設ページ、Hondaの特設サイトで紹介されます。

 また、新型ホンダeを手軽に体験できる機会として、ホンダが運営するカーシェアリングサービス「EveryGo」に新型ホンダeが登場。全車両が上級グレードの「アドバンス」を採用し、8月末より東京・神奈川・大阪・福岡のステーションで順次オープンしていきます。

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