マセラティが新たなスーパースポーツ「MC20」を発表したが、それはマセラティの新時代の幕開けに過ぎない。2021年以降、マセラティが進めているプロジェクトを紹介しよう。
■マセラティの新SUVは「グレカーレ」!
2020年9月9日に、マセラティはブランドの新時代を告げる「MC20」のワールドプレミアを果たし、さらに今後のプロジェクトも発表した。
●グレカーレ:新たなSUV
マセラティには「レヴァンテ」というSUVがすでにラインナップされているが、第2のSUVの登場がすでに決定している。その名前が明らかになった。
新SUVは、地中海の猛烈な北東の風にちなんで「グレカーレ」と名付けられた。マセラティはこれまでも伝統的に「風」にちなんだ車名を付けてきた歴史がある。
それは1963年に登場した「ミストラル」からはじまり、「ギブリ」、「ボーラ」、「メラク」、「カムシン」などがそうであり、2016年にデビューしたマセラティ初となるSUV「レヴァンテ」も風に由来したネーミングである。
●フォルゴーレ:マセラティの電動化戦略
マセラティの電動化のための新たな戦略「フィルゴーレ」の第一歩は、2020年7月に発売された「ギブリ ハイブリッド」である。
電動化においてマセラティが直面した課題は、ブランドの核となる哲学や価値観を犠牲にすることなく、電動化の世界に参入することであった。その結論として、マセラティのDNAに忠実に、主にパフォーマンスを向上させることに重点を置いたハイブリッド・ソリューションを選択。さらに燃費向上や排出ガスの削減も実現している。
次なるフィルゴーレの戦略が、マセラティ初の100%電気自動車となる新型「グラントゥーリズモ」と「グランカブリオ」である。これらはモデナで設計され、トリノのファクトリーで生産されることが決定している。
さらに、MC20にもEVバージョンが用意されており、こちらの生産はモデナのファクトリーとなる。
■本気でマセラティは電動化へ!
MC20に続き、新型SUVであるグレカーレの開発、そして電動化のための新たな戦略「フィルゴーレ」を進めている中心的な役割を果たしているのが、モデナにある「マセラティ・イノベーション・ラボ」である。
●マセラティ・イノベーション・ラボ
マセラティ・イノベーション・ラボでは、デジタル・プロセスの導入により製品開発をより効率化させている一方、初期段階からドライバーを優先した統合的なアプローチを採用するという独自の手法を採用している。
このイノベーション・ラボから誕生した第1号となるMC20においては、車両ダイナミクスの90%以上は、ラボ内の「バーチャル・ビークルダイナミクス開発」と呼ばれる革新的なアプローチによって、バーチャルモデルを用いて開発している。
マセラティの未来を語る場所こそが、イノベーション・ラボなのである。
●フオリセリエ:あらたなカスタマイズプログラム
新たなカスタマイズプログラムが「フオリセリエ」だ。このプログラムではすべてのマセラティをカスタマーの好みに合わせてカスタマイズすることが可能となった。
モデナ本社に新設される新しい「カー・テーラリング」ショップでユニークな体験をする機会が提供される。何千通りもの組み合わせのなかから、3つの基本的なコレクション、「コルセ」、「ユニカ」、「フューチュラ」が用意されている。
このように未来に向けたプロジェクトが進行する一方で、新たなクラシケ・プログラムの提供もスタートしている。モデナから生まれてきたさまざまな名車が復活、または後世に残るように保存されることになるだろう。
モデナで開催されているイベント、「MMXX: Time to be a audacious」では、マセラティ製の新型エンジン「ネットゥーノ」の解剖セッションがおこなわれ、エンジンの細部に至るまで検証することも可能だ。中世の大学での解剖学教室のような演出が、なんとも心憎い。