日産が2020年9月16日に公開した新型「フェアレディZ」のプロトタイプは、スペックが全長×全幅×全高の3サイズなどしか公開されておらず、デザイン以外は不明な点が多く残されています。新型フェアレディZはいったいどんなスポーツカーとして登場するのでしょうか。
■デザインの公開だけで大反響となった新型「フェアレディZ」
日本のクルマ好きにとって「フェアレディZ」というブランドは大切なのでしょう。新型コロナウイルス対策のため、中継でニューモデルのデザインだけお披露目するというイベントをおこなったところ、驚くほどのアクセス数になりました。ネット記事の反響だって大きい。
考えてみれば20年前に日産が経営破綻しかけた際、再建の象徴にしたのもフェアレディZでした。
今回公開されたのは、内外装デザインと全長、全幅、全高の3サイズのみ。それ以外、質問されても公式に答えません。
そこでさまざまなルートから新型フェアレディZのアウトラインを調べてみたので、紹介したいと思います。
まず基本骨格。車体設計を全面的に見直そうとすれば、巨額の投資が必要です。フェアレディZの販売台数を考えると採算が取れません。
既存のシャシを使っても、弱点を改良してやることで良いクルマになります。名車ポルシェ「911」すら、2世代から3世代は同じシャシを改良して使っています。
今回のフェアレディZも同じ方法だと考えればよいです。前述の通り日産再興のために開発された「Z33」(2002年発表)や「Z34」(2008年発表)と同じ「FMプラットフォーム」を使うと思います。
ただ、デザインは全面的に変更されています。
フロントを見ると、初代フェアレディZの雰囲気を伝えるべく、あえて素朴な四角いラジエターグリル形状を採用。
それでいてボディ後半は最新世代のアストンマーチンやなどのようなシャープさを出すという、ややボッテリして大きく見させた現行フェアレディZ(Z34)とまったく違う方向性です。
これまでのフェアレディZとまったく違うのは、ボディの中央部をコカ・コーラの瓶のように絞って見せている点。コークボトルデザインといったりもするのだけれど、ボディが引き締まって見えます。
そのほか、すべての部分で贅肉をそぎ落とした結果、一回り小柄でシャープな雰囲気を持つことになりました。とっても上手なデザイン手法だと思います。
それでいてボンネットを少し高くしています。というのも今回のフルモデルチェンジの目的は「法規対応」です。
歩行者と接触した時の傷害値に代表される安全基準の進化や、厳しくなる一方の騒音規制に代表される環境基準をクリアさせようというもの。ボンネットに歩行者が衝突した際、衝撃を吸収するため高さを必要とするのでした。
さまざまな法規対応をクリアしなければならず、それでいて基本骨格はそのままという条件が付けられる。そのうえでガラリとイメージを変えようというのだからデザイナーとしてはやり甲斐のある仕事だったことでしょう。
現行のZ34をライザップ(コレも基本骨格は変えられないです)で鍛え上げたようなもの。大成功といって良いのではないでしょうか。
■新型「フェアレディZ」はどんなスペックで登場する?
中身はどうでしょうか。漏れ伝え聞くところによれば、「スカイライン」の400R仕様と同じ405馬力の3リッターV型6気筒ターボが搭載されるようです。
いや、これまでのケースだと、フェアレディZは同じエンジンでも馬力を上げてきます。ライバル関係となるトヨタ「スープラ」を大きく凌ぐ、420馬力以上もありえます。しかも6速MT仕様まで用意されると公表されました。
ここまで読んで、「そんな大出力エンジンを積んで企業平均燃費規制は大丈夫か?」と思う人もいることでしょう。
日産は平均燃費をググッと引き上げる電気自動車を持ちますし、2020年後半から燃費の良いe-POWER搭載モデルとして「ノート」や「エクストレイル」などを連続して出してきます。
フェアレディZで平均燃費の足を引っ張っても問題無いということなのだと思います。
気になる価格はどうなるのでしょう。現行モデルを見ると、336馬力の3.5リッター6速MT仕様で396万円スタートで、スカイラインの400R仕様が652万円。
今回公開された車両を見たら、高そうなブレンボの対向6ポッドブレーキなんかも付いていました。
エンジンラインナップなど不明ながら、ターボ無しあるなら400万円台前半スタート。展示された仕様の車両で700万円くらいではないでしょうか。