トヨタ、日産が相次いでスポーツモデルをお披露目しました。トヨタは、ル・マン24の場で開発中の「GRスーパースポーツ」を走行。日産は次期型「フェアレディZ」を正式発表前に公開しています。昨今のスポーツモデルは、直接的な利益に繋がりづらいとされていますが、それでもなぜスポーツモデルを開発するのでしょうか。
■スポーツカーが自動車産業を熱くする! トヨタ、日産渾身のスポーツモデルをお披露目!
環境や安全の時代を迎え、性能を売りにするスポーツモデルが伸びる余地などないように思えるなか、自動車メーカーは次々とニューモデルを発表している。
2020年9月16日に日産は、次期型「フェアレディZ」のデザインを公開。そして伝統のモータースポーツである「ル・マン24」のスタート日である同年9月19日、トヨタが究極のスポーツカーを走らせました。
まだ正式な車名は公表されていないものの、トヨタ社内で(正確にはトヨタのGRカンパニー)「GRスーパースポーツ」と呼ばれているモデル。
中身はほとんどレーシングカーといって良い。車体骨格を最新式戦闘機のようなカーボンで作っており、パワーユニットもル・マンで走っているレースカーに準ずる。販売予想価格2億円ともいわれています。
レーシングカーを作っているドイツのTMGで生産し、販売台数は極めて限られるようです。
どこで性能を発揮出来るかといえば、おそらくサーキットなどに持ち込まない限り不可能。いや、エンジンとモーターを合わせた最高出力は1000馬力級ともいわれており、平均的なレベルのドライバーだとサーキットですら限界に届かないかもしれません。
今まで販売を前提に開発していることは公表されていたものの、市販に向けた実走可能なプロトタイプがお披露目されたのは初めてで、しかもオープンモデルだった。
写真を見るとわかるけれど、ドライバーのヘルメットがフロントガラスより上に出ている。運転するアレックス・ブルツ氏は大柄のため、あえてオープンにしたのかもしれません。
ところが助手席に座っているGRの村田チーム代表は標準的な身長(それでも同じに見えるのは座高の差ですね)。
市販車は側面衝突をクリアしなければならないため、ある程度ドライビングポジションが高くなってしまうということなのかもしれません。
いずれにしろナンバーを取得するとなれば、安全基準は満たさないとならない。もしかするとキャビン周辺は横幅や(あまりに左右席が近すぎると思う)、ルーフ形状など見直される可能性があります。
ただ手作りに近いため、そういった変更は難しくないように思う。ちなみにGRスーパースポーツのべースとなった「TS050」は思い切り低い位置に、寝そべるような姿勢で座るため何の問題もないです。
また、今回GRスーパースポーツも4WDであることが判明した。今まで駆動方式などすべて未公表。
おそらくTS050と同じく前輪をモーター。後輪はモーター+エンジンということなんだろう。ハイブリッドで、モーターだけの走行も可能になっていると考えていい。今まで作られた自動車のなかで燃費と速さのバランスをもっとも高い次元で両立している。
■なぜ自動車メーカーはスポーツカーを作り続けるのか
環境や安全の時代、なんでスポーツカーを発表するのだろうか。
もちろんトヨタも日産も量販して利益を出そうとは考えていない。ただ自動車産業に絶対必要な「華」を感じさせる点で素晴らしい象徴になる。
実際、フェアレディZは業界関係者も驚くほどメディアに取り上げられ、露出した。凄い人気です。
逆にスポーツモデルを止めてしまった三菱の場合、長い間元気なし。
そういえば三菱も間もなく発表の「エクリプスクロスPHEV」のティザーで、今まで禁じ手だったパリダカやWRCの動画を使うようになった。
三菱も「華」が必要だと考え直したんだと思う。確かに街中でカッコ良いスポーツカーを見ると気持ちがウキウキします。
フェラーリやランボルギーニを見ると「カッコいいね!」と思う。GRスーパースポーツくらい飛び抜けたクルマが走っているのをみたら、きっと楽しい。