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北米は標準も国内はなぜ少数!? 子供の車内放置を防ぐ「後席リマインダー」が必要な訳

くるまのニュース 2020年9月24日 9時10分

後席にのせた子供や荷物の置き忘れを防ぐ機能として「リアシートリマインダー」があり、アメリカではさまざまなモデルへ導入が進んでいます。国内では一部の車種のみに搭載される機能ですが、今後導入が進んでいくのでしょうか。

■アメリカではリアシートリマインダーを2025年までに標準装備化

 日本ではあまり注目されていないクルマの機能として、「リアシートリマインダー」があります。

 猛暑が続く異常気象とあって、ユーザーにとっては気になる装備だと思いますが、リアシートリマインダーとはどのようなものなのでしょうか。

「リマインダー」とは、「再確認する」ことを指し、リアシートリマインダーは、走行後にエンジンを切った後、リアシートに荷物の置き忘れがないかどうかダッシュボードに表示が出るものです。

 スーパーマーケットやコンビニに寄った後に買った食品をリアシートに置き忘れることや、複数のカバンを持って出かけたところ、カバンのひとつをリアシートに置き忘れるなど、こうした状況は、ひとり乗車のときに起きる可能性が高いといえます。

 また、決してあってはならないことですが、子供やペットをリアシートに乗せたことを忘れてクルマから長時間離れる、といったことが起こらないとは限りません。

 実際、アメリカでは2018年から2019年夏までの約1年半で、なんと90人の子どもが、ドライバーがリアシートをしっかり再確認しなかったことで車内に置き去りとなり、死亡するという事故が起きています。

 こうした現状に対して、アメリカでは自動車メーカー各社が自主的に協議したうえで、2025年までに新車のほぼすべてに、リアシートリマインダーを装着することで合意しています。

 アメリカ政府としても、「ホットカー法」(仮称)として、運輸省・道路交通安全局(NHTSA)が法案整備を進めている模様ですが、アメリカの各種報道では法案が成立するまでには少なくとも5年以上はかかる見込みだといいます。

 アメリカでは近年、夏季の異常気象が続いています。とくに2020年の夏の状況は厳しく、西部カリフォルニア州ロサンゼルスでは9月7日に観測史上最高となる49.4度を記録。州内の山火事も拡大しました。

 このような状況では、自動車メーカーはもとより、ユーザーもリアシートリマインダーの必要性を強く意識するようになってきていると感じます。

 そこで自動車メーカー各社は法案成立を待たず、業界としてコンセンサスを取りまとめて、リアシートリマインダーのいち早い装着化に乗り出しています。

■トヨタやスバルなど、国内モデルへ徐々に搭載

 日本では、2020年9月上旬、高知県高松市内で女児2人が車内に長時間置去りとなり、熱中症が原因で死亡するという痛ましいことが起こりました。警察は女児2人の母親を放置死の疑いで逮捕し取り調べを進めています。

国内でリアシートリマインダー初搭載されたトヨタ「シエンタ」

 こうした故意の長時間の置き去りだけではなく、急いでいてつい忘れてしまったというケースは日本でも十分にあり得ると思います。

 日本でも今夏は、一部地域で最高気温40度を超える猛暑となり、リアシートリマインダーの必要性について、自動車メーカー間で議論が高まる可能性があるでしょう。

 トヨタは、2018年にマイナーチェンジしたコンパクトミニバン「シエンタ」に、国内初のリアシートリマインダーを採用。

 後席ドアの開閉でシステムが作動し、走行後、車両を停車しイグニッションをオフにすると、マルチインフォメーションディスプレイに荷物置き忘れ防止の通知メッセージが表示されます。

 またスバルは、2019年7月に一部改良した「フォレスター」にリアシートリマインダーを採用しています。

 スバルによると、アメリカでは「レガシィ」から採用を始めており、「日本国内向けにも状況を応じて採用を検討していく」とのこと。

 ちなみに、2020年10月15日に国内で発表される新型「レヴォーグ」には、リアシートリマインダーが標準装備されています。

 日産は、アメリカで2018年、SUVの「パスファインダー」で「リアシート・アラート」という名称でリアシートリマインダーの採用を開始。

 さらに、北米日産は、2022年までに4ドア車という位置付けで、ピックアップトラック、セダン、SUVの12モデルにリアシート・アラートを標準装備することを2020年7月11日に明らかにしました。

 日本国内については、2020年6月の「キックス」導入の際、日産関係者は日本でも今後、リアシート・アラートの導入について検討の余地があると発言しています。

 ホンダも2020年10月に発売される電気自動車「ホンダe」へ搭載するなど、まだ少数ではあるものの、採用される車種が増えています。

 今後、日本でもアメリカでのメーカー間での自主的採用の流れを汲み、日本自動車工業会や日本自動車技術会など業界団体を通じて、リアシートリマインダー標準装備化の動きが加速する可能性があるのではないでしょうか。

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