ランボルギーニが、「Yohji Yamamoto」とコラボレーションすることを発表した。常に時代のエッジにいる両ブランドから、どのような芸術作品がうまれるのだろうか。
■時代のエッジにいる両ブランドがコラボ!
2020年9月28日、アウトモビリ・ランボルギーニは、世界的ファッションデザイナーの山本耀司氏が設立したファッションブランド「Yohji Yamamoto」との画期的なコラボレーションを10月末に発表することを明らかにした。
このコラボレーションは、伝統とDNAを守りつつも、常に未来を見据え革新を続ける時代の最先端にあるランボルギーニと、1981年のパリコレクションデビュー以来、時代に疑問を投げかける服作りに哲学と美学を宿すYohji Yamamotoの姿勢が融合され、互いのパッションとクラフトマンシップがぶつかり合って誕生したアイコニックな芸術作品(ピース・オブ・アート)である。
現在公表されているのは、Yohji Yamamotoによるプリントのみ。
プリントには、「文明開化」「ろまんすぐれー」「百発百中」「呵呵大笑」などの毛筆文字が踊っているが、このプリントがランボルギーニのいずれかのモデルのボディ全体に描かれるのか、もしくはまったく異なる表現で作品が作られるのかは、はっきりしていない。
もし、公表されているプリントのパターンがボディ全体に描かれるとしたら、ロイ・リキテンシュタイン作の有名なBMWのアートカー「320i グループ5レーシングバージョン」を想起させるようなものになるかもしれない。
ランボルギーニ版アートカーといえるものは、直近では2019年のモントレー・カーウィークで発表された、ストリートアートのプリンスと呼ばれるスカイラー・グレイがペイントした「アヴェンタドールS」であろう。
もともとアヴェンタドールの彫刻的なボディラインや造形は、アートと称されることもあるが、このボディをキャンバスに見立てて、当時弱冠19歳のスカイラー・グレイがストリートアートのテクニックである、エアブラシ、スプレーガン、ローラー、ステンシルを駆使してポップスタイルの1台に仕上げた作品である。
しかし、今回のコラボレーションは、純粋なポップアート界のアーティストではなく、セレブなファッション界でも著名なブランドYohji Yamamotoである。どのようなコラボ作品になるのか、非常に楽しみだ。
■ランボとヴェルサーチがコラボした「ムルシエラゴ」とは?
実は、ランボルギーニがファッションブランドとコラボしたクルマが、過去にもあった。
ランボルギーニがコラボレーションしたファッションブランドは、イタリアのヴェルサーチである。2006年に発表した「ムルシエラゴLP640ヴェルサーチ」は、シートやセンターコンソールなどのステッチがいかにもヴェルサーチらしい仕立てとなっていた。
インストルメント・パネル下部、ドア、ルーフパネル、センターコンソール、シートには、最高級フルグレーン・ナッパ・レザーが用いられ、ヴェルサーチの代表的なギリシャ装飾のサンダー・ラインがモチーフとしてあしらわれている。
このほか、本来のオプショナル・アイテムのほか、ブラック「ヘルメラ」ホイール、カーボン・フィニッシュ、リブ入り透明ガラス製エンジンフードなどの専用デザイン品が装着されていた。
パリサロンに出展されたホワイト・バージョンには「アイシス」、ミラノで公開されたブラック・バージョンには「アルデバラン」の名称が付けられていたのも話題になった。
興味深いのが、今回のYohji Yamamotoとのコラボを発表したリリースでは、ランボルギーニは自社のことを「スーパースポーツカー・ブランド」と称しているのに対し、ヴェルサーチとのコラボ時のリリースでは、「プレステージ・ラグジュアリー・スポーツカー・メーカー」と称している点だ。
確かに、「プレステージ・ラグジュアリー」をブランドイメージとして掲げていたことは、コラボの相手にヴェルサーチを選んだことでも充分に納得できる。
現在、山本耀司氏が手掛けるアディダスのスポーツブランドに「Y−3」があり、「スーパースポーツ」というブランドイメージとのマッチングもよさそうだ。