2020年9月に、トヨタのコンパクトカー「タンク」が廃止され、兄弟車である「ルーミー」に統合されました。新規オーナーから戸惑いの声もあるなか、既存オーナーの心境はどうなっているのでしょうか。
■アナウンス無しの廃止に「失礼」との声も
突如として、トヨタ「タンク」が廃止され、兄弟車である「ルーミー」に統合されました。
新規オーナーから戸惑いの声もあるなか、既存オーナーの心境はどうなっているのでしょうか。
2020年9月15日、トヨタのコンパクトワゴン「ルーミー」にマイナーチェンジが施されたのと同時に、兄弟車である「タンク」が消滅。現在では、ルーミーの1グレードの外観デザインにタンクの面影を見ることが出来ます。
今回の車種統合は、以前からトヨタが示していた「今後の車種を半減するために車種整理をおこなう」という方針や、2020年5月から開始されたトヨタの全販売店での全車種併売化が関係しています。
タンクは、2020年4月から9月の新車販売台数ランキングにおいて、18位(1万6136台)にランクインするほどの人気車種です。
人気モデルが突然廃止されたことについて、首都圏のトヨタ販売店スタッフによれば、女性ユーザーを中心にいくつかの問い合わせがあったとのことです。
その内容は、突然廃止されたことへの驚きや、今後の購入についてが中心のようでした。それに対し、タンクのデザインはグレードとして残っていることを伝えると、「ひとつになってわかりやすくなった」という反応があったと話しています。
では、車種統合に対してはポジティブな声があったものの、すでにタンクに乗る既存ユーザーからは、どのような反響があったのでしょうか。
前出とは別のトヨタ販売店スタッフは以下のように話します。
「この約1か月、タンクを所有するお客さまからあった問い合わせは、今後のサポートについてがほとんどです。
タンクユーザーはファミリー層が多いですが、奥様やお子様からの連絡が多い印象でした。これまで通りサービスをおこなう旨を伝えると、皆様安心されています。
また、問い合わせ頂いた人の多くは、SNSなどネット上で話題になったことで初めて廃止されたことを知ったと話していました。
今後も車種統合があるとするなら、事前の公式アナウンスがあったほうがお客さまは安心すると思うのですが、なかなか難しいのが現状です」
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今回の車種統合は、ルーミーのマイナーチェンジとしておこなわれました。メーカー公式では、タンクを廃止することをアナウンスしておらず、間接的に情報を得たユーザーがほとんどのようです。
それが原因となり、別の販売店スタッフによれば、突然の廃止にあわやクレームへと発展しうる例もあったといいます。
サポートなどのサービスは今後も継続することを伝えても、「失礼だ」の一点張りでかなり怒り心頭だったと話しています。
トヨタではほかにも、コンパクトカーの「ポルテ/スペイド」、セダンの「プレミオ/アリオン」、ミドルサイズミニバンの「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、ラージサイズミニバンの「アルファード/ヴェルファイア」といった兄弟車において車種統合の噂が流れています。
今後の「車種整理」は、新規顧客への説明だけでなく既存オーナーへのサポートも、重要な課題となるでしょう。
■ノアヴォク、アルヴェルはどれが残るのか。
今回のタンク廃止により、ほかの兄弟車オーナーからもいくつかの問い合わせがあったようです。
前出とは別のトヨタ販売店スタッフは以下のように話します。
「5ナンバーミニバンの3兄弟は、ノアへの統合が有力といわれています。
各メディアでも報道されていますが、先日それを見たヴォクシーオーナーから、『なぜヴォクシーのほうが売れているのにノアなのか』という問い合わせがありました。
また、メーカー側の判断であるため統合について詳細な説明は難しいと伝えると、『今すぐ売りに行く』といい残し、電話を切られてしまいました。
その後、その人がどうされたのかはわかりませんが、自分のクルマが消滅してしまうことの悲しさは理解できるため、何もいえませんでした」
5ナンバーミニバンの3兄弟は、2020年5月の全車種併売開始のタイミングで、ヴォクシーとエスクァイアで一部グレードが廃止されました。これにより、ノアへの統合が濃厚と見られています。
しかし、売れ行きではヴォクシーがトップです。2020年上半期(1月から6月)の新車販売台数ランキングを見ても、5ナンバーミニバン3兄弟で最も上位にランクインしているのは、ヴォクシーの13位(3万3818台)に次いで、ノアが16位(2万647台)、エスクァイアが23位(1万6095台)となっています。
販売台数という「結果」を出しているにも関わらず廃止の噂が流れていることは、既存ユーザーが納得できない理由としては妥当でしょう。
また、販売店によればトヨタの高級ミニバンとなるアルファード/ヴェルファイアについても問合せが来ているようです。
「ヴェルファイアを検討している数名のお客さまからも、今後の展開について問合せを頂いています。アルファードのほうが販売台数が多いため、ヴェルファイアが廃止されるという見方が強いため、いつまでヴェルファイアが販売されるのか、という部分に関心があるようです」(都内の販売店)
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タンク同様に、廃止された車種はデザインを残したままグレードの一部となることが予想されています。
しかし、クルマのアイデンティティである「名前」が失われることに、既存ユーザーにとってはショックを隠しきれないようです。